「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2012年05月27日

ユーロヴィジョンでヨーロッパを見る。もれなくアゼルバイジャンの宣伝を見ながら。

http://www.irishtimes.com/liveblog/da1eb0f1df図は、アイリッシュ・タイムズのユーロヴィジョン・ソング・コンテストのグランドフィナーレのテキスト実況ログより(Eurovision live | Live Blog | irishtimes.com via kwout)。

日本時間で今朝方、「決勝」が行われたユーロヴィジョンは、端的に言えば、ヨーロッパの「国別対抗歌合戦」である。ステージの様子はUTVの写真集が私が見た中では充実していた(なぜか)。BBCのはキャプションが「ニュースニュース」しくて役立つ。時間がある人はYouTubeのEurovision公式チャンネルにたくさんのクリップがアップされている。

このコンテストで、ステージに上がるのは各国で活動するポップス歌手が主だ。アメリカのポップス歌手は日本も含め各地で「世界的なスター」と呼ばれることが多いが、同じようなスタイルで同じような歌を歌い、同じように踊っているこれら芸能人のみなさんは、「世界的」な存在とはみなされていない。自分自身、レディ・ガガとかテイラー・スウィフトとかジャスティン・ビーバーといった人々を「知ってる芸能人」と認識している一方で、ここに出てくる人たちのことは、英語圏(欧州ではごくごく一部である)でよく見かけている「彼ら」を除いては、誰も知らない。もとより「すべてを知っている」などとは眉毛1本分ほども思っていないが、ステージに立つ人の、例えば年齢やこれまでの活動歴を知ろうとすればどんだけでも時間が費やされることに驚きを禁じ得ない。優勝したスウェーデンの貞子ロリーンはオーディション番組出身だそうだ。

そんなユーロヴィジョン、見どころは演奏される楽曲よりむしろ、大会そのものの成り立ちやコンセプト、特に「ヨーロッパとは何であって何でないか」をめぐる大衆的把握のされ方、大会を締めくくる投票での、華やかな照明と芸能人スマイルに隠された生臭い「国際関係」などだ。たとえばキプロスとギリシャ、トルコとアゼルバイジャン、モルドヴァとルーマニア、ロシアとベラルーシ……。しかしそこに「アイルランドと英国」が入るのかどうか……その答えが、このエントリ冒頭のキャプチャだ。

ていうか、その時間帯のTwitterだけ見てたら、ジェドワードが優勝しかねない勢いですた。(^^;) (ありえないありえない)

それと、英国からアイルランドへは10ポイントが与えられたのに、アイルランドから英国へは……(^^;)

そんなのは「コップの中の嵐」程度の「小さな問題」に見える。そのくらい、ユーロヴィジョンで見えるヨーロッパは「濃い」。そりゃそうだ。ふだん、メリケン経由の水で薄めたような「ニュース」に慣れていると、飲めないくらいに濃いのがヨーロッパ。今年のユーロヴィジョンは例年に比べれば薄かったらしいが(開催地が「ヨーロッパ」の濃い場所ではなかったので)、それでも十分に「濃い」。

それから、前回優勝したために今回の開催地となったアゼルバイジャンは、国家による人権侵害が平然と行われている国のひとつで、そのために、ユーロヴィジョン開催で注目を集める機会をとらえて、「啓発・啓蒙」のキャンペーンがかなり盛り上がった。トルコのジャーナリストのMahir Zeynalovさんは25日に次のようにボヤいていた。



実際、Eurovisonの中継(私はウェブ中継を見ていた)で、各国代表が出てくるたびに挿入される間つなぎの映像は開催地、アゼルバイジャンの「観光ビデオ」のようなもので、「豊かな資源、豊かな生活、豊かな未来、アゼルバイジャン」みたいなプロパガンダ・ビデオだった。歴史的な建造物や美しい自然はまだしも、「国力」を見せつけるようなものは、繰り返し見せられれば誰だって辟易とする。「カスピ海に浮かぶオイル・リグ」などという直接的なものであれば、なおさらだ。


ほかに、美しい町並みの夜景の映像(見るからに長時間露光でめちゃくちゃ明るくなってるような感じのギラギラした映像)に「エネルギーはたっぷり、バクー」(←うろ覚え)みたいなキャッチコピーがかぶせられてるというのもあった。

で、各国代表の歌手のみなさんによる歌の披露と、上記のような宣伝映像が交互に流れるようなのをなまぬるく見ている横で、Twitterでは(英語で)「アゼルバイジャンに言論の自由を」という署名のURLが断続的に、だが途切れてしまうことなく、流れていた。今からでも興味のある方は。


http://azerbaijanpetition.org/

On 18 April, Idrak Abbasov, an investigative reporter who won the Guardian/Index Award, was beaten unconscious by private security guards while the police looked on.

Other journalists have been attacked, abducted and tortured. In November 2011, writer Rafiq Tagi was attacked outside his home and later died. No one has been brought to justice for his murder. In fact, in the last seven years, there have been no arrests or prosecutions related to violence against journalists.

But it’s not just journalists – musicians, gay rights campaigners and political activists are also under attack.


この「問題」について、大会で優勝したスウェーデンのロリーンは、決勝の前にすでに、現地の人権活動家と会っているとの報道も(ロイター)。手際よく、お見事である。



ちなみに私はこのトルコのサーシャ・バロン・コーエン似のお兄さんのバックダンサーのみなさんに拍手を送りたい。かっこよくやれば「アダム・アントっぽく」もできるコンセプトを、あえて「仮装大賞」という選択も、突き抜けていて粋だ。

※この記事は

2012年05月27日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼















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