「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2012年04月15日

「ゴースト・ステーション (ghost station)」という表現の実例(ビジネスマンの発言)

先日、東日本大震災の津波にさらわれた日本の漁船が北米の沖を漂流しているのが見つかった(後に爆破され沈められた)というニュースのときに、その漁船について「BBCが『幽霊船』と報じている(。日本のレピュテーションを低めようとする策謀だ、きぃきぃ)」という動きが少し観測された。

そのとき私はすかさず、できる範囲でだが、BBCの記事の見出しにある「幽霊船」との表現はカナダの当事者の発言の引用であること(記事の見出しに引用符が用いられているということ)、また「幽霊船 ghost ship」という表現は英語の成句で、現在は「無人であるにもかかわらず動いている船」を指すということを、事実として指摘した

今日、「無人の、見捨てられた」(「ゴーストタウン ghost town」の「ゴースト」)を意味するghostの用例をまた新たに見たので、それのメモをしておく。



ブロンプトン・ロード地下鉄駅は、Hidden London系の名所としては定番中の定番である。特別な機会でないと中には入れないと思うが、駅舎は外から見ることができる。ピカデリー・ラインのサウス・ケンジントンとナイツブリッジ(市南西部の高級エリア)の間(というか、V&Aのすぐ脇)にある。設計はレスリー・グリーンで(この時期のロンドン地下鉄の駅舎はこの建築家の仕事が多い)、モーニングトン・クレセント、ラッセル・スクエア、レスター・スクエア、コヴェント・ガーデンなどなどの駅舎とそっくりな外見だ。(Google Mapsでは何かの作業中の塀に隠れていて見えない。)
http://en.wikipedia.org/wiki/Brompton_Road_tube_station

1906年に開業したが、開業の3年後には既に、通過する列車があるというマイナーな駅になっていた。そして隣のナイツブリッジの駅の設備が整えられた後、1934年には、駅としては廃業した。その後、第二次大戦前に戦争省が駅舎の建物を買い取り、第二次大戦中にはロンドンの防空作戦室として利用されていた(ルドルフ・ヘスが連行されてきた建物がここらしい)。

現在はUniversity Air Squadronが使用しているが、公共に開かれた施設として再利用しようという計画もある。その計画がアナウンスされた、というのが、この駅を "ghost station" と描写しているBBCの記事である。(ウィキペディアには「2012年五輪までに」とか書かれているが、今ごろ告知されているようでは間に合わないだろう。)

いわく、Ajit Chambers というビジネスマンが駅舎を買い取る手続きを開始した。観光施設(屋上にレストラン、駅そのものは体験型ミュージアムかな)として再開発される予定である、という。(えらい大風呂敷広げてますけど、大丈夫か……。バタシー発電所のようなバカでかい規模ではないから、施設の転換自体はさほど心配ないと思うのだけど。)

Brompton Road Tube ghost station resurrection plans announced
By Andy Dangerfield
BBC London News
14 April 2012 Last updated at 11:10 GMT
http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-london-17699680

(記者さんのお名前がすてき。)

記事によると、ロンドン市内の地下鉄廃駅は21件。それらすべてについて再利用するのは難しいというが、一部は何らかの形で生まれ変わるのかもしれない。

で、"ghost station" という表現は、このビジネスマンの発言から。
Mr Chambers is working with the Ministry of Defence (MoD), which owns many of the stations, to lease the sites, he calls "ghost stations".


ブロンプトン・ロード駅は、1995年に建物の通気孔を通じて中に転落したと思われる人が死体となって発見されてから(合掌)、「穴」がふさがれて密かに忍び込むということもなかなかできなくなってしまったそうだが、何らかの機会に構内に入った人が撮影した写真は、Hidden London系のサイトにたくさんアップされている。例えば:
http://underground-history.co.uk/brompton.php
http://www.silentuk.com/?p=3428
http://www.abandonedstations.org.uk/Brompton_Road_station.html



お。Londonistが昨年夏に見学会に参加しているが、その報告の記事でも "ghost station" という表現を使っている。(この見学会が、今回プランを発表したビジネスマンによるものだったとのこと。)

Inside A Ghost Tube Station: Brompton Road
http://londonist.com/2011/08/inside-a-ghost-tube-station-brompton-road.php

ロンドン地下鉄マニアのサイトを運営して10年以上になるAnnie Moleも参加している。
http://www.flickr.com/photos/anniemole/sets/72157627484482739/with/6120908822/

このビジネスマン、Ajit Chambers さんのTwitterのプロフィールにも、"to transform London's Ghost stations into Value for London" とある。



Ghostという語は、辞書には「無人の」、「見捨てられた」の意味は掲載されていないのだが、ghost town, ghost shipから転用された「形容詞のghost = 無人の、廃用となった、見捨てられた」の実例がけっこうあるので、そのうちに「新たな語義」として定着するかもしれない。

※この記事は

2012年04月15日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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