kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2012年03月27日

Twitterに人種差別の罵詈雑言を書き込んで、投獄された大学生(英国)

3月17日に、サッカーの試合中に突然プレイヤーの1人が倒れたあとに、彼の肌の色(人種)をネタに罵詈雑言をTwitterに連投したバカが英国にいた。

私はTwitter上で、倒れたプレイヤー(ボルトンのファブリス・ムアンバ)のニュースをリアルタイムで追っていたが、彼のツイートそのものは見ていない。ただ、そういう内容のくだらない投稿をしているバカがTwitter上にいるということは、他の人々の反応からはっきりわかった。

そのバカ者は即時、警察に通報されていたようで、すぐに身元が割れ、逮捕・起訴された(inciting racial hatred: 人種差別/憎悪感情の煽動)。ウェールズのスウォンジー大学で生物学を学ぶ21歳の男子学生だった。

彼への判決が今日、申し渡された
A student who admitted posting racially offensive comments on Twitter about footballer Fabrice Muamba has been jailed for 56 days.

彼のツイート内容は、事後的に、どこかの「まとめ」で読んだ。ひっどい内容だった。ネイティヴ英語話者ではない私でも「歴史的文書か」と思うほどの言葉遣いに、倒れたプレイヤーやご家族、ファンへの思いやりのカケラもない、何らの余地のない罵詈雑言。あんまり不快で、読み終わったあと歯を磨いたほどだ(口の中にいやな味がした)。

それでも、56日間投獄というのは、どうなのか。

判決理由について、判事は次のように語っている。

Jim Brisbane, chief crown prosecutor for CPS Cymru-Wales, said: "Racist language is inappropriate in any setting and through any media.

"We hope this case will serve as a warning to anyone who may think that comments made online are somehow beyond the law."

http://www.bbc.co.uk/news/uk-wales-17515992


「レイシストな言葉遣いは、あらゆる状況において、いかなる媒体を通じても、不適切 inappropriate である。この事件が、ネットの書き込みくらいは法的に大目に見られるだろうと考える可能性のある人たちにとっての警告として作用するよう、望んでいる」

つまり、見せしめ的な。

illegal ではなく inappropriate で語られているのも、ちょっと私には意外だった。そのへんはもう少しつっこんで調べてみないと何ともいえないのかもしれない。

【追記】
あらやだ、私2010年にこれ条文読んでるじゃない。《私が参照したソースが不適切で、このケースはこの法律じゃなかった。けど書いたので残してはおく。》ただしinappropriateではなくimproperなんだけど:
法律そのものを見てみよう。
http://www.legislation.gov.uk/ukpga/2003/21/section/127
127 Improper use of public electronic communications network
(1) A person is guilty of an offence if he -
  (a) sends by means of a public electronic communications network a message or other matter that is grossly offensive or of an indecent, obscene or menacing character; or
  (b) causes any such message or matter to be so sent.

【内容】
127 公共の電子通信網の不適切な利用
(1) 次の場合、違法行為で有罪となる:
  (a) 公共の電子通信網を用いて、他者の気分を著しく害するような、あるいは破廉恥・猥褻または脅迫的性質のメッセージ等を送信した場合
  (b) そのようなメッセージ等が送られるようにした場合

こんなざっくりした条文が、「2003年」ということにも驚くが、この127条は「2003年」の改定には関係のない部分だったようだ。10月4日のガーディアン記事に詳しく説明されているが、元々は1935年の法律で、しかも当時のシステムに不可欠だった電話交換手(多くは若い女性)への(多くの場合性的な内容の)いやがらせを取り締まることが目的だったそうだ。

2010年11月13日 英国の司法にはただの軽口と「脅威」の区別がつかなくなっている
http://nofrills.seesaa.net/article/169276485.html

【追記ここまで】

【追記2】
この大学生が有罪となったのはThe Crime and Disorder Act 1998:
http://en.wikipedia.org/wiki/Crime_and_Disorder_Act_1998
Racially or religiously aggravated offences

Fear or provocation of violence and intentional harassment, alarm or distress

Section 31(1)(a) creates the distinct offence of racially or religiously aggravated fear or provocation of violence. A person is guilty of this offence if he commits an offence under section 4 of the Public Order Act 1986 (see fear or provocation of violence) which is racially or religiously aggravated within the meaning of section 28.

Section 31(1)(b) creates the distinct offence of racially or religiously aggravated intentional harassment, alarm or distress. A person is guilty of this offence if he commits an offence under section 4A of the Public Order Act 1986 (see intentional harassment, alarm or distress) which is racially or religiously aggravated within the meaning of section 28.

A person guilty of either of these offences is liable on conviction on indictment to imprisonment for a term not exceeding two years, or to a fine, or to both, or on summary conviction to imprisonment for a term not exceeding six months, or to a fine not exceeding the statutory maximum, or to both (s.31(4)).

ソースはテレグラフ (A student in Wales has been jailed for 56 days for a "racially-aggravated public order offence")。
【追記2ここまで】

ただこの被告、当初「アカウントは自分のものだが、書き込んだのは自分ではない。誰かにハッキングされた/勝手に使われた」と言い逃れをしようとしていて(Twitterでもそういう申し開きをしていた)、それからようやく自分で書き込んだと認めた。

それが「心象を悪くした」ことは間違いないだろう。

(書き込んだのは自分だと認めた後、この大学生は「あの日は昼からずっと飲んでいた」、「したたかに酔っ払っていて覚えていない」と事情を説明していた。)

それに彼のアカウントは、その日の前も、同じようなbigotな言辞であふれていた。たとえそれが「ネット人格」(オンラインのキャラ)だとしても、「自分ではない」という申し開きは通用するはずのないものだ。(幼稚な21歳。)

彼は大学のラグビー部の一員だが、そこからも縁を切られたそうだ。

さて、判決への反応だが、Twitter上は、あのTwitter Joke Trialのとき(2010年11月)の盛り上がりが嘘のような状態。Justice done! とか「いい気味だ」、「メシウマ」みたいなのが多くって、「言論の自由」という語はいかにも頭がアレそうな差別容認の言説(「ヨーロッパにはフリー・スピーチはない」とかいうやつ)しか見当たらないといっても過言ではない状態。

起訴されたときの文章だが、Spikedのブレンダン・オニール(右派リバタリアン)が「確かにひどい暴言だが、こんなことで国家権力を介在さすな」と書いているのが目立つくらいか。
http://blogs.telegraph.co.uk/news/brendanoneill2/100145045/yes-those-anti-muamba-tweets-were-depraved-but-that-doesnt-justify-the-police-getting-involved/

今回のバカな大学生の投獄で「いい気味だ」と言ってる人たちが、Ali GとかBoratをどう見ていたのか、ちょっと気になる。

以下、ツイートをいくつか集めたもの。
http://matome.naver.jp/odai/2133285880988159701

【追記】この「NAVERまとめ」に入れてあるけど、今回この卑劣な大学生はネット民の「特定しますた」、「通報しますた」の対象となったようだ。だからネット上で人々が冷淡。

そうなった理由は、彼が話しかけられた人にとんでもない暴言を浴びせていたからで、その暴言に人種差別がたっぷり含まれていたという次第。BBCなどの記事はかなり説明不足だ。(なお、この大学生のツイートはものすごく不快になるものだけど、「一方日本では」ということを考えると、他人事ではないわけで……)





上にURL貼ったけど、ブレンダン・オニールのコラム:
http://blogs.telegraph.co.uk/news/brendanoneill2/100145045/yes-those-anti-muamba-tweets-were-depraved-but-that-doesnt-justify-the-police-getting-involved/

いかにも彼らしい、「左派」嫌いが基調の人を見下したような書きっぷりなのだが、言っている内容はきわめてまっとうな保守主義だと思う。

ただし、コラムの最後で参照されている「19歳男子による英軍兵士に対する罵倒」は、リンクされているベルファスト・テレグラフの記事だと内容がわからないのだが、ガーディアンでLenin's Tombのシーモアが書いたコラムで文面がわかる。
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/libertycentral/2012/mar/15/azhar-ahmed-treason-army-facebook-comments

これはね、違法性のある「憎悪の煽動」ではないものをそうであると裁判所が判断した嘆かわしいケースであって、オニールの言っていることは「ほら、どうした、左派は今回は黙ってるのかよ」というだけで、くだらない。

オニールのコラムのコメント欄には極右みたいなのもいるし読んでて「場違いなところにいる自分」を感じざるを得ないが、このコメント欄に、今回投獄されることになった大学生のバカな発言が一部コピペされている(また気分が悪くなった)。

あと、コメント欄で誰かが言っているのだが、ラグビーをやっていて突然倒れて亡くなった方がいるとのこと。調べてみたら15歳だったという。気の毒に。
http://www.google.com/hostednews/ukpress/article/ALeqM5hmEj9We8FYA64ji7vgX9Zv8pnxwQ?docId=N0013031332326704529A
http://www.kidderminstershuttle.co.uk/news/9604495.Tributes_to_teen_who_died_after_Kidderminster_rugby_match/

英国ではムアンバの容態についてはかなりの「過熱報道」になっていたようで、その一方でこういうニュースが語られない、というのは、確かにいびつだ。英メディアにはよくあること、なのかもしれないが。

(英国のメディアも、特に高潔だったりするわけではない。わかりやすい「社会面」ネタの過剰報道があり、その影で深刻な問題はほとんど報じられないということがよく起きては問題だ、問題だ、マスコミはなぜ報じないのか、みたいなことになっている。そこに政治性が絡むので、かなりめんどくさいことになったりも。「BBCなど民営化してしまえ」とか。)

※この記事は

2012年03月27日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼