……とBBCが報じている。現在もまだ、同じ記事で状況をアップデート中だ。
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-17426313
※「ヨーロッパ」のカテゴリーのニュースなのに、URLがなぜか「北米」のカテゴリーになっているが、問題なく閲覧できるはず。
TwitterではToulouseがトレンディング・トピックスに入っているし、ハッシュタグ #Toulouse もある。ここを見ているとフランス語と英語のたくさんのツイートが流れてくるが、フランス語のほうが圧倒的に多い。英語のは「ニュース」っぽい内容がほとんどだが、フランス語のは「事件について一言」のような怒りのコメントもけっこうある。
また、#Toulouse と同様、 #Fusillade というハッシュタグも用いられている。
このfusilladeという語が、フランス語として用いられるか英語として用いられるかで「意味」が変わる語のようなので、事件とは関係ないが少々メモっておく。
http://en.wikipedia.org/wiki/Fusillade
A fusillade is the simultaneous and continuous firing of a group of firearms on command. It stems from the French word fusil, meaning firearm, and fusiller meaning to shoot.
つまり英語では、fusilladeというと、「同時でなおかつ継続的な射撃で、なおかつ指揮下にある火器の一群によるもの」。日本語の訳語としては「一斉射撃」だ。語源はフランス語にある。
念のため英和辞典も見ておこう。
http://ejje.weblio.jp/content/fusillade
【名詞】【可算名詞】
1. 一斉射撃,連続射撃.
2. 〔質問・非難などの〕 一斉射撃 〔of〕.
(研究社、『新英和中辞典』)
一方で、フランス語ではfusillerは単に「射撃する、撃つ」の意味である。「複数の銃が一斉に」とか「命令を受けて」という意味合いはない。
http://en.wiktionary.org/wiki/fusillade
おそらく、英語で「一斉射撃」を言いたいときにしっくりくる用語が、英語の語彙にはなかったのだろう。あるいはこの言い方が定着したときに、イングランドの軍隊の用語がフランス語だったのかもしれない。いずれにせよ、英語でfusilladeと言うとき、それは「単なるshooting」とは別のものを意味する。
しかしフランス語では、(多くの場合は)「単なるshooting」だ。
……ということが確認できたので、メモしました。下記は根拠のひとつ。
[BREAKING] Three killed in #shooting at Jewish school in #Toulouse (south-western #France) f24.my/svFBJc
— FRANCE 24 (@FRANCE24) March 19, 2012
[URGENT] #FRANCE : fusillade devant une école juive de #Toulouse, 3 morts (police) f24.my/s7Q9Aw
— FRANCE 24 (@FRANCE24) March 19, 2012
[BREAKING] Gunman opens fire at Jewish school in Toulouse f24.my/AfvAAa
— FRANCE 24 (@FRANCE24) March 19, 2012
See also:
French-English False Friends
http://www.francejunction.com/french-english-false-friends/
http://www.orbilat.com/Languages/French/Vocabulary/French-English-False_friends.html
※英語と日本語の例でいうと、日本の「クリーニング屋」は「窓の清掃」はやってない、みたいなことがあります。あと、サッカーの「シュート」で言い表されていることを表す英語はshotである、みたいな例もあります。そのshotと表すフランス語は、fusiller系の語ではなく、tirだったりします。
False Friends: Bk. 1: Faux Amis Ellie Malet Spradbery Matador 2009-06-01 by G-Tools |
※この記事は
2012年03月19日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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