「北アイルランド和平」の今後を具体的に決定する非常に重要なセント・アンドリューズでのサミットの3日間の間に、英陸軍参謀総長が「英軍がいることでイラクの情勢は悪化している」とデイリー・メールのインタビューで述べ、早期撤退の必要性に言及、というか「いつまでも駐留していても何らプラスにならない」との考えを示し、セント・アンドリューズでの記者会見においてブレアも"Our strategy is to withdraw from Iraq when the job is done."と述べて参謀総長の発言に同意していることを示した。(しかしこれ、いわゆる「玉虫色の発言」だと思うけれど……とりあえず、保守党系のデイリー・メイルではかなり色つけて報じているはずだ。)
一方、今週はイラク戦争をはさんだ重要な時期に内務大臣(2001〜2004年)をしていたデイヴィッド・ブランケットの口述日記(だよね:tapeと表現されている)がガーディアンとデイリー・メールで公開。
ブランケットという人は「対テロ戦争」に応じた英国の法整備を主導した人で、Banksyの手にかかるとこう表現される。(<何の説明にもなってないかもしれないが。)Stop This Mad Man! と書いている犬はブランケットの盲導犬(ブランケットは生まれつき目が不自由である)。
* a CC Licenced photo on Flickr by OwenBlacker
で、今回公開されたこの人の日記(内務大臣在任中のもの)がまた、「精神的に追い込まれて病的な状態になっていた」とか「党内ではブレアがブラウンを」とかいった「赤裸々告白」系で、新聞では連載だから情報が小出しにされていて(「引っ張る」という感じ)、正直、どーでもいいやと思って読んでなかった。連載がちょうどアンナ・ポリトコフスカヤ殺害のニュースと重なっていたし。
あと、「ブレアは30代のころから心臓が悪くて」とかいう発言があって、それが嘘だとかなんとか……いやもうどうでもいいから、と思うでしょ。さすがレイムダックという感慨はあるにせよ。
そしたらこんな話が出てきた。
開戦時にアルジャジーラ爆撃を進言 英の前内相がブレア首相に
【アルジャジーラ特約12日】中東の衛星テレビ局、アルジャジーラが12日報じたところによると、英国のデビッド・ブランケット前内相は地元テレビ局とのインタビューの中で、2003年のイラク侵略の際、「バグダッド市内のアルジャジーラ送信設備を爆撃すべき」とブレア同国首相に進言したと明らかにした。
ブランケット氏は英国のチャンネル4とインタビューし、その内容は16日に放映される予定。
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2568159/detail
デイリー・ミラーに記事がありましたよ、と。
BLUNKETT: WE MUST BOMB AL-JAZEERA TV
Shock war advice to Blair
By Rosa Prince
http://www.mirror.co.uk/news/tm_headline=blunkett--we-must-bomb-al-jazeera...
ほかの新聞でも記事があるかもしれないけれど、とりあえずGoogle Newsで最初に見つかったのがミラーなのでミラーだけ。
それからテリー・ロイド。unlawful killingだったという法的な結論が出た。
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/Terry%20Lloyd/
それからグアンタナモ。
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/Guantanamo/
あと、ジャック・ストローの「ムスリマのヴェール」をめぐる発言(というより明らかに「議論開始」が目的、ディベイターだし)も1週間くらい経ってようやく感情的な反発や支持が落ち着いてきて、読むべき記事がちらほらと。例えば下記。
http://commentisfree.guardian.co.uk/john_williams/2006/10/post_507.html
で、これらがわずか数日の間に、まるで「ハックニーのMare Streetのバスは同じ路線のが3台まとまって30〜40分おきに来る」というあの不思議な現象を思い起こさせるかのように、まとまって出てきた。ブレアがセント・アンドリューズにいっていて、ダウニングストリートにいないときにね。
第一印象としては、この数日は「英国と米国の特別な関係」の終わりの始まりだろう、というかそういう感じ。
とりあえずブレアは「アイルランド問題」というディズレイリ/グラッドストンからの遺産をきれいに解決することに集中したいだろうな。来年3月26日というターゲットが公表されたから、それまではブレアは首相のままだろう。来年3月までに何がどこまで「終わり」になるか。
※この記事は
2006年10月14日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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