Heart-scare Paisley out of hospital
Tuesday, 28 February 2012
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/local-national/northern-ireland/heartscare-paisley-out-of-hospital-16123669.html
関連の過去記事:
2012年02月07日 イアン・ペイズリーが倒れた。
http://nofrills.seesaa.net/article/250826995.html
2012年02月10日 イアン・ペイズリーの入院について
http://nofrills.seesaa.net/article/251472756.html
イアン・ペイズリーといえばサニングデール合意、アングロ・アイリッシュ条約など「北アイルランド紛争」時の「和平」への取り組みにずっと「No」を言い続けていた、「0か1か」の極論主義者であった。
特に1970年代から80年代、北アイルランドの一般の人々(労働者階級の、政治家とは別の階層の人々)の間での「議論」の基本をセットしたのは、ペイズリーらの極論だった。ユニオニスト側でその「極論」が主導権を握り、対立するもう一方の勢力(ナショナリスト側)でも「極論」が主導権をとった。(特にナショナリストの側では「論」よりも「実力行使」が、いろいろな意味で優先されたのだが。)
Neverを連発するペイズリーさん:
2002年から「ストーモントにIRAのスパイがいる」騒動(後にその事実はなかったと判明)でサスペンドされていた自治議会を一新した2003年の北アイルランド自治議会選挙で、まだまだNo, no, noしか言ってなかったペイズリーのDUPがユニオニスト最大政党になったときは、時の英国首相トニー・ブレアが「最も極端な極論主義者をメインストリームに持ってくることで和平がなる」みたいな苦しいコメントをしていたが、結局は、2006年の後半に自身が主役となって進められた交渉でNoを言うことをやめ、仇敵であるジェリー・アダムズと直接会談し、そして2007年に再起動した北アイルランド自治議会&自治政府で、サニングデールのころから2006年まで一貫してNo, no, noを言って来た「自治議会・政府におけるシン・フェインとのパワーシェアリング」という形式を受け入れ……というか、受け入れたばかりでなく自身がそのトップになった。NI自治政府は2トップ体制で、ペイズリーの隣には常にシン・フェインのマーティン・マクギネスがいて、彼ら2人の、というか特にペイズリーの、「紛争」時代が幻であるかのような笑顔の振りまきっぷりに、「チャックル・ブラザーズ」(子供番組のキャラクターで、いつもチャックル=にこにこしている)というあだ名がつけられたほどだ。
最近になって政界から引退したペイズリーは、宗教指導者としても引退し、以降は自宅で回想録を執筆しているという。今回の退院でしばらく静養して、また執筆を再開することだろう。
「議論」の主導権を、ああいう過激派というか、「極論」でしか考えない人、別の話題を話しているときも必ず、相手がその問題意識を共有しているかどうかで相手の人格までも判断する人が握った場合に社会全体がどうなるか、という点で、ペイズリーとその周辺の軌跡はもっと検討されてよいと思うし、これからその取り組みが開始されることになるのだろうが、そのために、本人の回想録は非常に貴重なものとなりうる。書き上げていただきたい。
ところで、ピーター・ヘインの回想録も、かなりおもしろそう。
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/Peter%20Hain/
Outside In Peter Hain Biteback 2012-01-19 by G-Tools |
※この記事は
2012年02月28日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
【todays news from uk/northern irelandの最新記事】
- 【訃報】ボビー・ストーリー
- 【訃報】シェイマス・マロン
- 北アイルランド自治議会・政府(ストーモント)、3年ぶりに再起動
- 北アイルランド紛争の死者が1人、増えた。(デリーの暴動でジャーナリスト死亡)
- 今週(2019年3月3〜9日)の北アイルランドからのニュース (2): ブラディ..
- 今週(2019年3月3〜9日)の北アイルランドからのニュース (1): ディシデ..
- 「国家テロ」の真相に光は当てられるのか――パット・フィヌケン殺害事件に関し、英最..
- 北アイルランド、デリーで自動車爆弾が爆発した。The New IRAと見られる。..
- 「そしてわたしは何も言わなかった。この人にどう反応したらよいのかわからなかったか..
- 「新しくなったアイルランドへようこそ」(教皇のアイルランド訪問)