http://www.bargainbook.jp/
昨年この企画で「うひょー、この本が半額に!」というのがあったのでにやにやしながら注文したものの、完売御礼とのメールを受け取るという無残な敗退を経験しているので、今年はリベンジマッチを心したいものである。
というわけで今年のラインナップをざっと見てみた。ベレ出版さんやNOVA出版局さん、明日香出版社さんといった英語の実用書の出版社さんのところは、何か教材を探している人は見てみる価値はあると思う。英語系というか英文学系では研究社さん。また、何となく諸般の事情をかんがみて個別に名称は挙げぬことにするが、有名な和英辞典も出ている。
英国系では、
・櫻庭信之、『英国パブ・サイン物語 酒場のフォークロア』(1993年、研究社)が半額で1,530円(税込)
・ジョン・ファーマン、『とびきり愉快なイギリス史』のハードカバー(1993年、筑摩書房)が半額で1,014円(税込)
・ティツィアーノ・テルツァーニ、『反戦の手紙』(2004年、WAVE出版:この前の記事を参照)が半額で840円(税込)
などがある。(ちなみに、私はどれも持っている。)テルツァーニの本は英国系ではないが、インドとパキスタンについて、またアフガニスタンについての考察の部分は「英国の植民地政策」のひとつの側面を、静かなことばで雄弁に説明している。
『英国パブ・サイン物語』は写真とエッセイの本。2000年代に入ってからの取材ではないので、今はもう消えてしまったかもしれないパブ・サイン(看板)の写真があったりする。3000円だと買うのに悩むが、1500円なら、興味のある人は買って損はないと思う。
下記はファーマン『とびきり愉快なイギリス史』の文庫版。
とびきり愉快なイギリス史 ジョン ファーマン John Farman 尾崎 寔 筑摩書房 1997-04 by G-Tools |
文庫でもよいのではあるが、この本はハードカバーのほうが「もったいぶった」感がプラスされる分、おかしみが増す。こういう「意味のなさ」がそれなりに好きな人はハードカバーで持っておいてもいいだろう。
内容としては「歴史の授業は退屈だが、歴史はほんとはおもしろい」という主旨の本で、シリアスな目的で真面目に読む本ではない(が、British humourという点では真面目に読んでもいい)。英国の歴史をまるで知らないと何がおもしろいのかさえわからないので、その点ではマニア向けでもある。また、これを読んだところで歴史の勉強にはならない。しかしながら、喩えれば、織田信長がクローゼットから出てくる東京ガスのCM(「茶でも入れてよ」、「利休呼んでいい?」と「信長風きまぐれ炒め」)のような感じで笑える本だと思う。イラスト(カートゥーン)がいいし。
ただ、マニアには原書のほうが日本語訳よりおもしろいかもしれない。何しろ本のタイトルが、The Very Bloody History of Britain (without the boring bits) である。bloodyはもちろん掛詞だ。
この書物の原書は友人から無料で譲り受けた。(このような幸運に恵まれたい場合、持つべきものは「引っ越しをする蔵書家」の友人である。)続編(現代編)はやはり原書で所有している。確かまだamazon.co.jpがなかったか英書の扱いがなかったころに紀伊国屋の英書売り場で少し内容を見て即買いした。文章よりもむしろイラストに財布の紐がゆるんだかたちだったが、かなり楽しんだ。
The Very Bloody History of Britain (Red Fox Humour) John Farman Red Fox 1992-01-16 by G-Tools |
↓は改訂新版であろうか。
The Very Bloody History of Britain John Farman Red Fox 2001-08-02 by G-Tools |
「現代編(1945年から)」はこれ↓だが、amazon.co.jpでは「在庫切れ」。co.ukでもマーケットプレイスだけになっている。表紙でにやにやしているボクサー姿のタフガイは、まさに当時のトニー・ブレアのパブリック・イメージそのものと言えよう。
The Very Bloody History of Britain (Red Fox Humour) John Farman Red Fox 1997-05-01 by G-Tools |
# 研究社の書籍一覧を見ると反射的に論文調で書きたくなるのだが、これは一体何なのであろうか。
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※この記事は
2006年10月13日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。