中村俊輔の年間最優秀選手受賞のせいか、「スコットランドの新聞」で検索してこの記事に来られる方がものすごく増えています。「スコットランドの新聞」についてはこの記事ではちょっとわかりづらいので、新記事立てました。よろしければそちらをご覧ください。
http://nofrills.seesaa.net/article/39889478.html
▼以下、オリジナルの記事▼
メディアを見る限り、「スコットランド・フットボールの栄光の日々ふたたび」とか「デニス・ロー以来」どころの騒ぎではないようだ。The Scotsmanのトップページのキャプチャ:

http://news.scotsman.com/
政治系の記事を読みに行ったのに、トップニュースがサッカー。。。しかもあの結果ではあんまり読みたくない、個人的に。
The Herald (the Sunday Herald) も「メアリ女王が首をはねられて以来のショック」とか書いてるし。16世紀末以来のショックかいな。(メアリ・ステュアートとフランスの関係もあるにせよ、これじゃまるで「先の戦争」が意味するものは応仁の乱、みたいだ。)
http://www.sundayherald.com/58427
いやそりゃあね、すごいですよ、快挙ですよ。あのフランス(こないだイタリアに勝ったばかり)に勝って、Group of Deathと呼ばれるグループBの首位ですから。しかも相手を0点に押さえて。しかもフランスのメンバーは:
France: Coupet, Abidal, Thuram, Boumsong, Sagnol, Ribery (Wiltord 74), Vieira, Makelele, Malouda, Trezeguet (Saha 62), Henry.
http://news.bbc.co.uk/sport1/hi/football/internationals/5397614.stm
しかし、NEWSもSPORTSも両方ともこのニュースって、どんだけお祭り騒ぎしてんですか、Scotsmanは。
Newsのほうにある記事はこれ:
Scotland 1, France 0 - Hampden becomes the park de triomphe
JEREMY WATSON
http://news.scotsman.com/index.cfm?id=1488862006
Scotsmanの記事はたいがいどれも読者がコメントをつけられるようになっているのだけれど、この記事のコメント欄がまた何となくおもしろい。
なんでも、スコットランドではSKYでしか放送がなかったそうで、しかもBBCの"Match of the Day"のメインはイングランド対マケドニア、スコットランド対フランスは番組の最後のほうでちょこっとしか取り上げられなかったのだそうです。で、「またイングランド優先のBBC」に文句タラタラ。(しかもイングランドはスコアレス・ドローという、アンチ・イングランドにとっては心底どうでもいいであろう結果。しかも相手はマケドニア。)
カナダ在住のスコットランド人(あるいはスコットランド系のカナダ人)は「植民地のスコットランド人ですが、中継で見れました。ここ、フランス語地域です。音声はオフにしてたんですが、ゴール決まってからは音声上げてました」。
ただし実際には、別のコメントにあるんですが、スコットランドでふつうのテレビで試合が見れなかったのは、スコットランドのFAが放映権をSKY独占にしたことに根本的な問題があるらしいです。
一方で上海にいる人は「イングリッシュ・パブにいました。イングランド人がイングランドの試合を見ている中、自分ひとり、ちっちゃいテレビでスコットランドの試合を見てました。でも試合後いい気分になれたのはイングランド人ではなく」。
要するに、「スコットランドがフランスに勝った」だけではなく、「同じ日の試合でイングランドがマケドニアを相手に得点できなかった」ことで、お祭り気分が何倍にもふくらんでいるということのようです。
しかしこのコメント欄、いろんなところから書き込まれてますね。カナダ、上海、ドバイ、サウジ、アルジェリア・・・。
一方のSPORTSの方に出ている記事は試合の詳細なんですが、でかでかと掲示されている写真が「4人に囲まれる12番」という、個人的に見てて楽しい写真ではないので、読んでません。
で、あのシアトリカルな監督は「ボールボーイのせい」って発言してるって? 「スコットランドのチームはフェアプレイで知られているのに、ボールボーイが愚図愚図していて、あれでは試合遅延だ」というのが発言の要旨のようです。むろん、スーパースターを揃えたはずなのに、攻撃陣がふがいなかったことが最大のフラストレーションのようで。(こういう報道の仕方、ジーコの「試合時間のせい」発言の報道を思い出すよね。)決定的なチャンスを逃した12番は「ボールが来たときに頭でいけるかどうか迷いがあった」と弁解。
Blame it all on the ball boys, says Domenech
http://sport.scotsman.com/topics.cfm?tid=1213&id=1490102006
何でthe Scotsmanを見たかというと、政治系で読みたい記事があったからなのです。
11月24日の最終期限を前に、正式に「IRA (Provisional IRA) はもうテロ組織ではないと確認されました」宣言が出され、週明けにはいよいよサミット。英国とアイルランド共和国両政府の首脳(つまりトニー・ブレアとバーティー・アハーン)と、DUPとSinn Feinの両政党の党首(つまりイアン・ペイズリーとジェリー・アダムズ)の4人がメイン・プレイヤー。ピーター・ヘイン(英国政府の北アイルランド担当大臣)もメイン・プレイヤーに入れてもいいかもしんない。
で、例によって情報が断片化していて、あのメディアとこのメディアで全然別々のことを伝えているとか別な風に伝えているとかで、わけわかんない。一応記事のクリップだけはしたのだが。
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/Northen%20Ireland/peace%20process/
なので、the Scotsmanならもうそろそろ事前のまとめ記事とか出てるんじゃないかと思ったのだ。サミットの会場はセント・アンドリューズ、つまりスコットランドにあるし、「北アイルランド問題」とはほぼすなわち「アルスターのスコットランド人」の問題である、というか、スコットランド系とアイルランド系の間の問題が、「英国の植民地たるアイルランドの解放・独立」の中で誰もが納得できるような解決策を持たなかったことにある。DUPは「アルスター・スコッツ」な集団だしね。
しかし、Google Newsを利用してScotsmanでIan Paisley関連記事を探してみても、日付の古いものしかない。というわけで、http://news.scotsman.com/に行ってみたのだが・・・うーん、結局「4人に囲まれる12番」の写真を見て涙することになるとは。
ついでなのでスコットランドの新聞のリスト:
http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_newspapers_in_Scotland
スコッツマンは保守系というか基本的にスコットランド・ナショナリズムでUK全体に置けば中道右派の新聞です。
※この記事は
2006年10月08日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
【todays news from ukの最新記事】
- 英国での新型コロナワクチン認可と接種開始、そして誤情報・偽情報について。おまけに..
- 英ボリス・ジョンソン首相、集中治療室へ #新型コロナウイルス
- "Come together as a nation by staying ap..
- 欧州議会の議場で歌われたのは「別れの歌」ではない。「友情の歌」である―−Auld..
- 【訃報】テリー・ジョーンズ
- 英国の「二大政党制」の終わりは、「第三極の台頭」ではなく「一党優位政党制」を意味..
- ロンドン・ブリッジでまたテロ攻撃――テロリストとして有罪になっている人物が、なぜ..
- 「ハロルド・ウィルソンは欧州について中立だった」という言説
- 欧州大陸から来たコンテナと、39人の中国人とされた人々と、アイルランドのトラック..
- 英国で学位を取得した人の残留許可期間が2年になる(テリーザ・メイ内相の「改革」で..
そりゃお祭り騒ぎだろうな。table見て目が点になりました。1位かよーうらやましい…
いい酒を飲める話題であり続けるんではないかと思います。
France 0-1 Scotland
Last Updated: Wednesday, 12 September 2007, 20:53 GMT 21:53 UK
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/internationals/6986781.stm
Scotland secured an incredible Euro 2008 double over France courtesy of a James McFadden strike in Paris.
順位表:
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/internationals/tables/default.stm
うわぁ、グループB厳しい。グループFはNIが勝ち上がったらまさにペイズリー&マクギネスの和気藹々に捧げるにふさわしい「奇跡」(<宗教的意味合いなしで)だと思っていたのだけれど、さすがに厳しくなってきたか……。
詳細は新規エントリで:
http://nofrills.seesaa.net/article/55163105.html