「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2012年02月07日

今日の毎日新聞一面トップは「シリア」だ。

えーこく系ブロガーのあたくしたるもの、お紅茶いただきながら女王のダイアモンド・ジュビリー(即位60年)の話でもすべきなのだが、とてもそんな感じではない。

パレスチナの意思決定に対するイスラエルが無茶苦茶だ。エジプトもひどい(サッカー場で70人以上も死んでからまた本当にひどいことになっている)。

しかし何がひどいって、シリアだ。一昨日から私の頭の中では「サブラ・シャティーラ」とか「カナ」といった文字というか概念がぐるぐるしている。そこに、例えば「バリーマーフィー」、「マッガーク・バー」のように、2010年以降ようやく言及されるようになった北アイルランド紛争での未解決の「虐殺」事件も加わる。(そしてそれはそれとして、着実に、入手できる情報が増えているのをチェックしている。この作業がslow and painfulでね……)

今のBBC Newsのトップ:



はてブ&Twitterで書いているのだが、BBCはポール・ウッド記者(戦争・紛争取材の多い記者)がホムスに潜入していることを明らかにしたばかり。そういうタイミングで、アサド政権はホムスに砲撃を加え、しかも停止しようとする気配がない。

ここに至るまでもずっと、BBC Newsのトップはシリアだった。

6日夕方6時頃:


7日の午前2時ごろ:


これら、ブログに投稿しようと思ってキャプチャはしたのだが、文章が書けなくて……。何を書いたらいいのか、わからない。「ひどいことが起きている」ということしかわからない。先刻書いた通り、シリアは情報戦がひどい。過去において、書いた端から「嘘」もしくは「著しくミスリーディングな情報」とわかって書いたものを捨てる、ということが何度か生じている。こんなふうでは、ネットで情報を受け取る末端にいる私には、何もできない。

ダマスカスに亡命していたハマスが、この「暴力的弾圧」の継続に首肯しかねて、ダマスカスを引き払ってヨルダンに移ったとか、米国が大使館を閉鎖して職員を引き上げたとか(米大使は明確に「反アサド政権抗議デモ」を支持しており、米大使館はずっと前から親アサド政権派の標的だった)、英国が大使を呼び戻したとか(コンサルテーションのため、ということだが)、英外相が議会でかなり強い語調のスピーチを行ったとか、外交の面でもいろんな動きがある。(それらはTwitterで書いている。)

アサド大統領が2001年に結婚した夫人が英国生まれで英国籍(シリアとの二重国籍)だったりということから、少しは……と期待していたときが私にもあったが、もうそういう局面はとっくに通り過ぎていることは明らかだ。

どうして自国の都市に、民間人がいるままの状態のところに、砲撃を加えられるのか。

こんなことが起きているにも関わらず、昨日(6日)は全世界的にslow news dayだった感じだ。Twitterでの印象ではトップニュースは米国のスポーツ・イベントだったりするような。なんだかね。

通りすがりに売店をちょっと見ただけだが、日本(東京)でも新聞各紙のトップの記事はばらばらだった。これは日本というかなり閉鎖されたニュース空間でもslow news dayだったことの証だ。

だからだろうが、と言うのも申し訳ないが、毎日新聞の一面トップは「シリア」だった。(在日米軍関連のスクープがあったので、それが一面トップだろうと思っていたので、正直、かなり驚いた。)



(和田さんGJ)

ずうっと、何ヶ月もずうっと、シリアについての情報を細かく見ておられる野口雅昭さん(元外交官)のブログも、今日のエントリは読むのが痛々しい。



しかしシリアについて難しいのは、エンドユーザーとしては、マスメディアの外で「シリアから」として伝えられる英語の情報が、ほとんどすべて信用できない、ということだ。

それにマスメディアも、例の「ダマスカスのゲイ・ガール」騒動で明らかになった通り、シリアについてはものすごくダメだ。

「ダマスカスのゲイ・ガール」を真に受けていた数多くのメディアのひとつ、ガーディアンは、この数日、ブライアン・ウィテカーの言葉が「人道的介入」に向けてビルドアップしつつあるような印象。リビアのときも、まずこの人からビルドアップが始まってたんだけどね。あとBBCのジョン・シンプソン(今回はこの人は出てきていない)。

とにかくもう、死なないでほしいし殺されないでほしいし、殺さないでほしい。

しかし、何を書いたらいいのか、ほんとわからない。

※この記事は

2012年02月07日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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