外部の者として私たちが何気なく「紛争地」と呼び、そう認識している場所に、存在しているとは思っていなかったものがあることを知らされると、何かほんの少しの真空状態のようなものが、思考の過程に生じる。
「戦車がばりばりと通る道ばたに、きれいに手入れされた花壇がある」とか、「野営する兵士たちが、犬や猫をかわいがっている」とか、「サッカーボールを蹴っている」とかいった光景があった場合を想像すると、わかりやすいかもしれない。ひょっとしたらそういったものに接したときの「意外さ」は、「ちょっとなごんだ」といった言葉で表現されるかもしれない。
あるいは、「西洋化」されているなどと思ってもいないような場所で、非常に「西洋的な何か」を見た場合は……
「まとめ」の中にも書いたが(リンクもつけた)、この建物は、9月にえらい長時間にわたってタリバンのファイターが立てこもった、建築中の高層ビルだと思う。
高層ビルといっても日本の大都市の基準から見れば「普通のビル」だ。しかし周りにそういう建物が皆無のカブールでは、完成前のこの建物は「敵」に「見晴らしの良い、絶好の攻撃拠点」として利用されてしまった。9月のリアルタイムの現地からのツイート(英語を使うジャーナリストたちがほとんど)で、「やっぱりこうなった」というようなため息のようなものがけっこう多かったのが印象に残っている。
リアル。
東京では、車道に車の姿がなくても、横断歩道の信号が赤だったら、人々は立ち止まって待っているのが当たり前だ、とか(ただし地域によっては赤だろうが何だろうが渡る、というところもあるだろう)、そういう「当たり前のリアル」。それが「隙間」のように感じられるとき。
※この記事は
2012年01月31日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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