「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2006年05月31日

北アイルランドのdirty war、根深すぎ。

あんまり時間がないのではしょるが、今週日曜日、アイルランドのタブロイドが、「シン・フェインのナンバー2のマーティン・マクギネスが英国のスパイ」と報じた。マクギネス本人とシン・フェインはもちろん、DUPあたりも、警察も政治家も、「くだらない」「ナンセンス」とカテゴリカリーに否定した。

関連記事@はてブ:
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/Martin%20McGuinness/
※とりあえず見たもの全部ブクマしてあるけど、概略を把握するためにどれか1つだけ読みたい人はテレグラフ(ベルテレではなく)かタイムズ、さらにそれをどう読むべきかの指針が知りたい人はスラオさんのWould I spy?(コメ欄も)をどうぞ。

マーティン・マクギネスといえば、泣く子も黙るリパブリカンだ。
http://en.wikipedia.org/wiki/Martin_mcguinness

仮に彼が「英国のスパイ」であったとすれば、IRAのテロのどんだけの部分が「英国」の仕業なんだ、という話にもなる。dirty warはどこまで根深いのか。

はてブに入れてあるATWというブログ(ユニオニストのブログ)の記事は、コメント欄でその点での戸惑いが率直に出ていたりする。

一方で、もちろんリパブリカン/ナショナリストにとっても、マーティン・マッギネスが「英国のスパイ」であるなどということがあっていいはずがない。

実際「英国のスパイ」はIRAおよびシン・フェインの中にたくさんいると言われている。というか、すでにスパイではなくなった当事者がそう語っている。(例えば、IRAに爆弾の作り方を教えた人がいたり。)

ただ、多くの場合において、組織に属する人物をスパイとして徴募するのは、下っ端を対象としていたという。ぶっちゃけた話、貧乏人にいくばくかのカネをつかませて、情報を引き出す、ということだ。(ただしスパイとして働いていることが知られると、その人物はtoutと呼ばれ、アイリッシュ・リパブリカン・アーミーの“軍規”にもとづいて、生命が脅かされることになる。)

しかし、シン・フェインの最上層部に位置していたデニス・ドナルドソンが「英国のスパイ」であったことが明らかになった後は、「ひょっとしたらもっと上まで・・・」という疑念が渦巻いていたらしい。「もっと上」なんて数えるほどしかいない。

実際、ごりごりのリパブリカン(南北の「国境」を認めない、32カウンティ主義)から見れば、1998年のベルファスト合意(グッドフライデー合意)は「妥協」より悪いもので、ジェリー・アダムズはBritと罵られている。「シン・フェインの最上層部は英国のスパイだ」という説が、そういう方面でどう受け取られているかまでは私は知らないが(情報源がありません、当然ですが)、デニス・ドナルドソン以降、いわゆる「非主流派リパブリカン」(Real IRA等)が何をどう解釈しているか、またその解釈に基づいてどのような言動をとっているかは、誰かが依然として大量の肥料爆弾を作っている以上、警戒は必要なはずだ。

そういう中で、あえて「マーティン・マクギネスはスパイ」という記事を印刷したタブロイドの意図はどこにあるのか。

・・・という点になると、「陰謀論」の様相を呈してくるかもしれない。
(今、アセンブリーがけっこうごたごたしている。)

事実としては、スラオさんなどによると、この話はいくつもの媒体で書かれているにも関わらず、「マーティン・マクギネスがスパイなのだ」と語っているのは、マーティン・イングラムという人物ひとりである。つまり、たったひとつの情報源の「主張」が、あちこちのメディアに取り上げられて、「大ニュース」になっているらしい。(実際、日曜から月曜のNIおよびアイルランドのメディアは、ものすごい騒ぎになっていたようだ。)

イングラムはスパイの管理役で、IRAの人間爆弾攻撃(<これは「自爆」よりよほどひどい。関係のない人を連れてきて脅して車を運転させるのだが、その車には爆弾が仕掛けてあって、英軍の検問所でドカン。で、運転手や検問所の兵士が死ぬ。IRAのテロが「民間人は巻き込まない」というのはプロパガンダである)のときのスパイとその他の人々との会話を記録した書類を持っているという。

その書類にある「J118」というコードネームのスパイはマクギネスである、というのが、イングラムの主張だ。

しかしそれをサポートする証拠は、イングラムは出していない。

このことについて、マクギネスは当然、「その証拠は存在しない(私はJ118ではない)と反論。記者に「100%断言しますか?」質問されたマクギネスは、「1ミリオン%断言する」と、ケタをものすごく大きくして答えている。

さらにまた、地元デリーの新聞のインタビューに答えてIn fact, the former Mid-Ulster MP, Willie McCrea, raised these unfounded allegations in the British House of Commons on February 8 and no-one paid them any attention.(2月8日に英国下院でウィリアム・マクリー議員がそういった根拠のない疑惑を持ちだしたが、誰も注目しなかった)とも述べ(これは探そうと思えば議事録から探せる)、DUPによる撹乱だと断言している。

時間がないのでこのへんで。

とにかく私の頭の中はぐちゃぐちゃだ。「北アイルランド」は北アイルランドに終わらない。そこでとられたタクティクスもストラテジーも、過去のものにはなっていない。昨年9月のバスラでの事件(アラブ人に変装したSASが2人バスラ警察に身柄確保され、英軍がバスラ警察に戦車で突入した件)はその一例だ。

そして、バスラは今、とても大変なことになっている。
http://news.google.co.uk/news?hl=en&ned=uk&q=basra&ie=UTF-8





※この記事は

2006年05月31日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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