kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2005年03月13日

thanは接続詞なのか前置詞なのか。

先日,「スーのチャンネル」さんで「He is taller than I (me, I am). (その1)」というエントリを拝読し,自分でも10年くらいはずっと気になってたことなので,英米の文法解説サイトを参照してみました。

文法解説サイトは,Googleでgrammarをキーワードにして検索すると見つかりますが,私のメインのサイトのリンク集にもいくつかあります(ちょっと古いけど)。

「スーのチャンネル」さんでの記述は,簡単にまとめると,He is taller than I.よりもHe is taller than me.の方が「自然natural」だという意見のネイティヴ・イングリッシュ・スピーカーが多く,中にはthan Iは「間違い」とさえ言う人もいる,とのことです。Iを使うのであれば,He is taller than I am.とすれば「自然」です。

than Iに違和感を抱く人が多いのは,「文の最後に主格があること」に座りの悪さがあるからではないかと思います。

ですが,私は無意識に喋る・書くときには,100パーセントHe is taller than I.と,〈than+主格〉を使います。私はthanを「接続詞」として認識しているためです。(でも「変だ」という指摘を受けたことはありません。)

言うまでもなく,「接続詞」は「接続詞+S+V」というかたちになります。ですから,thanを「接続詞」と考えれば,〈than+主格(+動詞)〉となります。この場合,文全体は「複文」になると考えられます。
eg.
He is taller than I.
He is taller than I am.


一方で「前置詞」は「前置詞+名詞・代名詞の目的格」というかたちになります。ですから,thanを「前置詞」と考えれば,〈than+目的格〉となります。この場合,文全体は「単文」です。
eg.
He is taller than me.

参照した文法解説のサイトに書いてあったことをまとめると,結論から言えば,これらはいずれも「正しい」文です。

どれが「自然natural」に感じられるかという度合いの違いはあるにしても,どれも「間違い」ではありません。そして,「自然」に感じられるかどうかは,どのような相手とのコミュニケーションなのか,に依存します。

ちょっと話をわき道にそらしますが,日本語の「すみません」のことを,ネイティヴ日本語スピーカーではない人に対して「すいません」と教えるかどうか,という話題が,何年か前に読んだ雑誌の記事にありました。「すいません」の方が「自然」である,という意見がある,という内容でした。

「すみません」の音が訛ったものが「すいません」です。「すみません」が「済み+ません」であって(元々は「それでは私の気が済みませんがありがたく」というような意味,と記憶してます),「吸い+ません」ではないことをしっかり覚えてもらうには,「すみません」を教えるのがよいでしょうけれど,実際の場面では「すいません」が大半なのだから,聞いたときにすっと理解できるようにということなら,「すいません」の方がいっそう実用的かもしれません。

閑話休題。

参照した文法サイトの記述をざっと列挙しておきます。

1)米Rutgers Universityの英語学部のAssociate ProfessorであるJack LynchさんのGuide to Grammar and Style……基本的にthanは「接続詞」とする立場:

[Than I versus Than Me.]
Than, as used in comparatives, has traditionally been considered a conjunction; as such, if you're comparing subjects, the pronouns after than should take the "subjective case." In other words, "He's taller than I," not "He's taller than me"
_
*snip* ...
_
The problem, though, is that in all but the most formal contexts, "than I" sounds stuffy, even unidiomatic. Most people, in most contexts, treat than as a preposition, and put all following pronouns in the objective case, whether the things being compared are subjects or objects. "He's taller than me" sounds more natural to most native English speakers.


2)英ケンブリッジの行なった何かの調査(だと思われるもの)の質問および回答
内容まとめ:
問題:「He runs faster than I. という文を見て,直感的にどう思うか,Correct, Dubious, Incorrectの3つから選んでください」
回答ページの記述:
People usually try to avoid using the subject pronoun in this position. They prefer faster than me or faster than I do. Some people consider this 'incorrect'.


ということで,"than I"よりは"than me"や"than I do"が好まれる傾向があり,"than I"は「間違い」と考える人もいる,とのことです。

3)BBCの英語学習サイト(「第二言語としての英語」の学習サイト):
比較級ではなくbe動詞の説明の例文として,Are you taller than me?という例文が使われています。〈than+目的格〉です。

4)英サセックス大,論文の書き方ガイドの記述では:
In informal English than may take either the objective or the subjective case in sentences where the subjective case would be used were a verb to be supplied:
She is more conscientious than me/than I (= than I am).
_
But than is strictly a conjunction, not a preposition, and so in formal contexts you should use the subjective case. If this strikes you as stilted, complete the phrase.


ここは,「thanは厳密には接続詞であって前置詞ではないので,フォーマルな場合には〈than+主格〉を使うべき(should)であり,落ち着かない気がするのなら複文にしなさい」という態度ですが,「アカデミックな英語」という文脈です。

5)米コネティカット大のAsk Grammarというサイト
When making a comparison with "than" do we end with a subject form or object form, "taller than I/she" or "taller than me/her." The correct response is "taller than I/she." We are looking for the subject form: "He is taller than I am/she is tall." (Except we leave out the verb in the second clause, "am" or "is.") Some good writers, however, will argue that the word "than" should be allowed to function as a preposition. If we can say "He is tall like me/her," then (if "than" could be prepositional like like) we should be able to say, "He is taller than me/her." It's an interesting argument, but -- for now, anyway -- in formal, academic prose, use the subject form in such comparisons.


つまり,コネティカット大も英サセックス大学と同じで,「〈than+目的格〉でよい場合もあるが,フォーマルな場合や学術論文においては〈than+主格〉が無難であろう」という感じの説明ですね。

言葉というものは,実際に使用する場合には,結局は「どのような場面なのか」次第のように思います。

フォーマルな文で,なおかつ〈than+主格〉で文を終わることに抵抗があるのならば,〈than+主格+動詞〉(He is taller than I am.)にすれば絶対に安全。

一方で会話をするときには〈than+主格〉は生硬な響きがあると当事者が思うのであれば,〈than+目的格〉(He is taller than me.)を使って問題はない。

ということだと思います。どちらが「正しく」てどちらが「間違い」ということではないし,また,こういったように「フォーマルなのかどうか」がキーになるケースでは,「どちらがよりネイティヴっぽいか」ということは判断不能なのではないかと私は思います。

そうそう,ここまでの下書きを書いたあと,土曜日に夜中のテレビの映画を何となく見ていたら,... is stronger than I という台詞がありました。

映画は「時代劇」です。題名はわからないのですが,14世紀のイングランド(大陸に進出していたころなので主人公はフランスにいるのですが)が舞台で,... is stronger than I. という台詞の話者はロンドンのチープサイド(下層階級の町)出身で騎士になってみせると修行を積んでいる若者。

「14世紀の」と判断した根拠は,ジェフリー・チョーサーが重要な人物のひとりとして登場してたからです。あとエドワード黒太子も出てきてました。半分寝ながら見ていたので,細部はよくわかりません。音楽は,クイーンとかデイヴィッド・ボウイとかAC/DCがかかってました。

↑この映画、ポール・ベタニーが出てる『ロック・ユー』とかいう映画です。

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転記前コメント:

いろいろありがとございます
nofrillsさんのご意見に同意いたします。私が存在すること自体知らなかった
英米の文法解説サイトまで教えていただき、本当によろこんでいます。
投稿者:スー
at 2005 年 03 月 14 日 22:45:44

スーさんこんばんは。コメントをありがとうございます。

私こそ,調べものをする機会を与えていただいて感謝しています。

英会話学校の宣伝が盛んになってきたころから,何となく雰囲気が,「日本人英語」と「ネイティヴ英語」の二項対立になってるような気がしているのですが,それはそれでまるで的外れというわけではないにしても,すべての場合に有効というわけでもない,と常々考えています。

「第二言語としての英語」においては,文法は,「ネイティヴはこう言う」という実例至上主義ともいうべきかたちではなく,「どういう場合にも対応できる言語運用力」をつけることを明確な目的として教えるのがよいのではないかというのが私の考えなのですが,「どっちでもいい」というのもそれはそれで混乱するかもしれませんね。
投稿者:nofrills
at 2005 年 03 月 15 日 01:19:53
タグ:英語

※この記事は

2005年03月13日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 英語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼