「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2003年12月02日

ラム爺に「わけわからん大賞」from Plain English Campaign

おめでとーございます。>ドナルド・ラムズフェルドさん。
Rumsfeld Ramble Wins 'Foot in Mouth' Award

受賞理由は,「わけのわからん発言をしたこと」です。

受賞を決めた発言は:
Reports that say something hasn't happened are interesting to me, because as we know, there are known unknowns; there things we know we know. We also know there are known unknowns; that is to say we know there are some things we do not know. But there are also unknown unknowns -- the ones we don't know we don't know.

ってゆーかロイターまで間違ってて,there are known unknowns; there things we know we knowじゃなくてthere are known unknowns; there are things we know we knowのはずですが,まあいいや。

ジャーナリストのジョン・ピルジャーさんもこの発言がお気に入りだとおっしゃっています。(この発言の拙訳も←このページを参照してください。)

お祝いの気持ちをこめて,「様」とメガミックスしてみましょう。
You know, reports that say something hasn't happened are, you know, interesting to me, because, you know, as we know, there are, you know, known unknowns; there are things, you know, we know we know. We also know there are known unknowns, you know; that is to say, you know, we know there are some things we do not know. But, you know, there are also unknown unknowns -- the ones we don't know we don't know, you know.

なお,Plain English Campaign とは,難解な言い回し(役人言葉とか)をなくして,誰にでも意味がわかる英文ライティングを推進するという主旨の運動。plain English自体は言語学的(だと思う)概念です。

Plain English Campaignのリスター様(笑)は次のようにコメントしておられます。(※リンク先はPECとは無関係です。)
John Lister, spokesman for the campaign which strives to have public information delivered in clear, straightforward English, said: "We think we know what he means. But we don't know if we really know."


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■追記(12月2日)
BBC記事。「音声もお楽しみいただけます」仕様,オススメ♪
Rum remark wins Rumsfeld an award
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/americas/3254852.stm

今更ながらの語註:
rum ((主に英略式古)) = rummy 「奇妙な,おかしな」

また別の発言:
I believe what I said yesterday. I don't know what I said, but I know what I think... and I assume it's what I said


意訳(ただし品質無保証):
「昨日わたくしが述べましたことは正しいことと思っております。何を申しましたかはわかりませんが,何を考えたかはわかっておりまして……おそらくそれがわたくしが申し上げたことかと。」

There are dozens of websites dedicated to the "poetry" of Mr Rumsfeld and there is even a book, entitled Pieces of Intelligence, dedicated to interpreting his statements as a form of existential writing.


実存主義とは,冗談もいいかげんにしなさい(笑)と思ったけれど,

The Poetry of D.H. Rumsfeld

尤もらしく見えるから不思議。っていうかひょっとしてこれなのでしょーか?

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■関連過去記事
「悪文大会」(2003年7月28日)
昨年の受賞作「もしも私がヘビならば……」(超有名ハリウッドスターにしてチベット解放サポーターによる)がちょっと出てきます。

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■追記
例の「おしゃべりブッシュたん」人形シリーズ新作・ラム爺人形で,I believe what I said yesterday. I don't know what I said, but I know what I think... and I assume it's what I saidの音声がサンプルで聞けます!(there are things we know we knowは長すぎるのかサンプルになっていません。)http://www.talkingpresidents.com/products-af-rummy.shtml

※このことは,「ブッシュ大統領おしゃべり人形 新作登場」(どらいかぷさん)で知りました。

人形シリーズにはいっちゃってる発言でおなじみの「共和党のマドンナ」のAnn Coulterもあります。声を聞くのは初めてでしたが……早口。なお私はひそかにこの美女と都知事の対決の実現を望んでいます。(笑)

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追記:

oot in mouth について
上では「わけのわからんこと」と書きましたが,英語そのものについての説明をしておきます。

put one's foot in one's mouthは慣用表現で,英和辞典では「失言する,しくじる」というような定義が書かれていると思います。

実際,googleで検索して出てくるものを見ると,患者さんのカルテをよく見てなかったお医者さんの反省の弁とかが出てきます。
http://www.richardwinters.com/richardwintersmd/2003/05/foot_in_mouth_s.html

ただし,PECが毎年出しているfoot in mouth awardの場合は,「失言」というよりむしろ,(plain) English的におかしい(「変」であると同時に「笑える」)ものに与えられているので(昨年のリチャード・ギアもすごかった),「意味のわからない発言」と捉えた方がよいかと思いました。

なお,there are things we know we knowを含むラムズフェルド発言は,「イラクの大量破壊兵器」についてのものです。こういうわけのわからない発言をしてのらりくらりとかわしていたのでしょう。実存主義でもなければ無知の知でもない。あまりにすごいので笑っていますが,私は根底ではこれはとてもおそろしい,言語のabuseだと思っています。

余談:
googleでの検索結果に出てくるfoot-in-mouth diseaseという表現は,foot-and-mouth disease(口蹄疫:2001年でしたか,英国で大発生して大変なことになりました)をもじったものと思われます。
at 2003 年 12 月 04 日 16:33:05

※この記事は

2003年12月02日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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