「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2006年09月28日

so 〜 as to ... の構文、such as to ... の構文

偶然だが、Omagh bomb trialについてのベルテレさん記事に、ついつい拾いたくなるようないい例文があるのでメモ。(ただしベルテレさんなので、数日で記事は有料化されます。)

http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/story.jsp?story=707783
"It will be the prosecution case that the warnings given were wrong and so lacking in detail as to be meaningless.

"In fact, it will be submitted that it is proper to infer that the warnings, as given, were such as to make it inevitable that any evacuation was likely to be away from the court house and given the topography, the police were going to evacuate to the area they did, and that inevitably placed the public present on that day in the area where the bomb had been planted," said Mr Kerr.


2番目の文(such as to ...)はitばっかりでわけわかんないけど、1番目の文のthat節はきれいだ。

so 〜 as to ...は、「…なほどに〜」、「たいへんに〜なので…」。つまり、複文でのso 〜 that ...と同じような意味を表す。

the warnings were so lacking in detail as to be meaningless.
= the warnings were so lacking in detail that it was[would be] meaningless.
「警告は無意味なほどに細かい部分に欠けていた。」

such as to ...も「たいへんに〜なので…」系。ただしso 〜 as to ...ではsoの直後は形容詞または副詞またはその相当語句である一方、suchは直後に何かくる場合は名詞がくる(such a thingのように)。あるいはsuchだけが代名詞として用いられる。このため「訳」として現れる日本語は多少変化して、「そのようなものなので…」となる。(わかりづらい説明だな、おい。)

the warnings were such as to make it inevitable
「警告があのようなものだったので、それは避けられないものとなった。」

ついでなので第2文のitの嵐を解きほぐしておこう。めんどくさいなこれ。itとthat多すぎ。

it will be submitted ←このitは直後のthat節を受ける形式主語。「〜ということがsubmitされよう」

that it is proper to infer ←このitはto inferを受ける形式主語。「〜と推測することが妥当である」

※ここまでで、「〜と推測することが妥当であるということがsubmitされよう」となる。

that the warnings, as given, were such ←inferの目的語の節の出だし。「実際に警告はあのようなものであったので」

as to make it inevitable ←itは直後のthat節を受ける形式目的語。「〜ということを避けがたいものとするほどだった」

that any evacuation was likely to be away from the court house ←make it inevitableのitの真目的語。「避難はコートハウス(裁判所)から離れる方向になる可能性が高かった」

※ここまでで、「実際に警告はあのようなものであったので、人々はコートハウスから離れる方向に避難する可能性が高くなることは避けがたいことであった」となる。

and given the topography, ←「そして地理的条件を考えれば」(givenも複数回出てきてややこしい。)

the police were going to evacuate to the area they did, ←「警察はそのエリアから人々を退避させようとし、またそうした」(they didの直前にasか何かがあってもよさそうだが)

and that inevitably placed the public ←このthatは「そのことが」

present on that day in the area ←the publicにかかる修飾語

where the bomb had been planted ←動詞placedの、目的語ではないが目的語のようなもの(place the book on the deskのon the deskの部分に相当)。whereは関係副詞で先行詞の省略がある。

つまり、「警告があのようなものであったために、人々は必然的に警察の指示でコートハウスから離れる方向に退避することとなり、そのために爆弾が仕掛けられたあのエリアに移動したのである」ということ。

といってもこの意味を取るためにはこの英文だけでは無理かも。私はOmagh爆弾のときに何がどうだったかを、多少は知っているので読めたのかも。(むろん、法廷ではその知識は共有されている。)

http://cain.ulst.ac.uk/events/peace/pp9899.htm
Saturday 15 August 1998
The Omagh Bomb

... the Royal Ulster Constabulary (RUC) directed people towards the bomb rather than away from it.


このことについてはずっと前からニュースになってきたし、Real IRA側もこの点について弁解しているというか警察の主張とは逆方向のことを主張している(つまり、爆弾の方向に避難させたのは警察の失態である、と)。あるいは警察は、爆弾事件のずっと前から爆弾事件のことを知っていた、とも。

Inquiry into bomb 'early warning'
Friday, 17 August, 2001, 12:44 GMT 13:44 UK
http://news.bbc.co.uk/1/hi/northern_ireland/1495410.stm

RUC 'knew about' Omagh attack plan
Thursday, 6 December, 2001, 22:31 GMT
http://news.bbc.co.uk/1/hi/northern_ireland/1695813.stm

The truth: RUC was given 48-hour Omagh bomb warning
The Sunday Herald, Dec 9, 2001
http://findarticles.com/p/articles/mi_qn4156/is_20011209/ai_n13963053

Omagh tip-off report 'hidden' for a year
Henry McDonald, Ireland Editor
Sunday December 9, 2001
http://www.guardian.co.uk/Northern_Ireland/Story/0,2763,615886,00.html

事件当時のガーディアンの記事:
Ulster carnage as bomb blast targets shoppers
Henry McDonald
Sunday August 16, 1998
http://www.guardian.co.uk/Northern_Ireland/Story/0,,615238,00.html
The circumstances of the bombing have added to the sense of horror. According to the RUC Chief Constable, Ronnie Flanagan, the bombers 'deliberately' planned for terrified shoppers to be directed into the path of the blast, after an inaccurate warning 40 minutes earlier.

The police said a telephone warning suggested that the bomb was in a car next to Omagh 's courthouse. In fact, it was located almost 500 yards away, outside a crowded shopping centre, and exploded as security forces ushered shoppers away from the court.

警告電話から、爆弾はコートハウスの脇にあると警察は判断した。しかし実際には500ヤード離れたショッピングセンターにあった。この爆弾で負傷したのは数百人にのぼるが、重傷者の多くは警察の張った「立ち入り禁止ゾーン」の外側(つまり安全な側)にいた。

警察とRealIRAのそれぞれの主張は、「ショッピングセンターを狙うとは卑劣な」対「無能な警察だ、こっちはちゃんと警告したのに」という図式だ。そもそも爆弾仕掛けるなよ、というのは別として。

ともあれ、警察は少なくとも誤解はしたわけだ。何がこの誤解の原因になったのかは私にはわからないけれども、ショッピングセンターじゃなくて、コートハウスみたいな政府系機関が狙われると思うことに不自然さはない。ただし事前の情報が本当にまったく不足していたとすれば、だが。(警察というか治安当局のスパイは、Real IRAに入り込んでいた。)

※この記事は

2006年09月28日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 02:27 | Comment(1) | TrackBack(0) | 英語/実例 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
"so as to" で検索してこのエントリに到着される方が大変に多いので書き加えておきます。

"so 〜 as to ..." と、"so as to ..." とは別の「構文」です。(便宜上、「受験英語」的用語を使います。)

"so 〜 as to ..." は、soの直後に形容詞や副詞が入って、「大変に〜なので...」という意味を表します。エントリ本文で言及したso lacking in detail as to be meaninglessという部分は、「細部がまったく貧弱なので、意味がない」という意味。(この場合、オマー爆弾事件のときの予告電話はまったく具体的ではなかったので意味がなかった、ということです。)

例文:
Busy busy busy today,... but not so busy as to fail to note this: Flickr has gone into gamma.
「今日はいろいろと忙しいんですが・・・これを告知できないほど忙しくはありません。Flickrはガンマ版になりました」
http://blog.flickr.com/flickrblog/2006/05/alpha_beta_gamm.html

一方、"so as to ..." ですが、これはsoの直後には何もはさみません。意味としては "in order to ..." と同じで、「...する(できる)ように」です。

例文:
I got up at four so as to catch the first train.
「始発の電車に乗るために4時に起床した」

なお、"so 〜 as to ..." には「...できて〜だ」という意味を表す例も実例としてあります(古風な表現ですが)。ただしこれは「〜」に入る形容詞次第。

例文:
Sir, we are all so happy as to have a fine, fresh, cool morning
http://www.ebooks.com/ebooks/book_display.asp?IID=191879

なお、こういうことを調べるときはネットで検索エンジンで調べるのではなく、英和辞典か文法書を見たほうがいいですよ。>検索でいらっしゃる方。英和辞典なら『リーダーズ』などの実用辞典ではなく、『ジーニアス』や『ルミナス』など学習者向けのもの。文法書は江川泰一郎著『英文法解説』や旺文社の『ロイヤル英文法』など。

『ジーニアス英和辞典』(第4版)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/446904170X/nofrills-22/ref=nosim/
『ルミナス英和辞典』(たぶん第2版)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4767415314/nofrills-22/ref=nosim/
『英文法解説』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4760820094/nofrills-22/ref=nosim/
『ロイヤル英文法』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4010312785/nofrills-22/ref=nosim/

辞書は特に、書店の店頭で見比べて、自分にとって使いやすそうなものを探してみてください。(記述の仕方、色版の使い方、組版など、人によって好みがいろいろあるので。)
Posted by nofrills at 2007年04月23日 10:10

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼