「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2006年02月18日

全国揚げ芋ウィーク(National Chip Week)、あるいはジェイミー・オリヴァーの悪夢。

The Independentを見てみたらこんな記事があって・・・
The Ten Best: Fish & chip shops
http://enjoyment.independent.co.uk/food_and_drink/features/article345807.ece
It's National Chip Week, so Hester Lacey picks the UK's top places for our favourite dish


全国揚げ芋ウィーク(National Chip Week)だということを知った。

で、"National Chip Week"で検索したら、「揚げ芋大好き」というサイトが検索結果の1番目に出てきた。
http://www.lovechips.co.uk/

トップページのヴィジュアルの混乱振りに、prt scキーを叩かざるをえない。

lovechips.png

右下でスポットライトを浴びてぴょこんぴょこんと飛びはねている「お新香巻きに入ってるたくわん」みたいのは、コンテクストから判断するに、蝶ネクタイをした揚げ芋くんキャラクターだろう。

どうしようか、このはちゃめちゃなヴィジュアルに起因する脱力感。

左下の「おいもくんとチップスさん」みたいなキャラクターもよくわからない。

左上から左下へと続く拍子木の群れみたいなのは、コンテクストから判断するに、パンの耳ではなくて揚げ芋らしい。

左上のリアルなキスマークと、「たくわん」と「おいもくんとチップスさん」と「パンの耳」とをぐるりと見ていたら、本当に力が抜けてきた。

なんとなく「おいもくんとチップスさん」をクリックしてみたらこうなった↓。
http://www.lovechips.co.uk/cheekychippie/main.html

lovechips2.png

・・・これを、誰に、送れと・・・・・・・? orz

脱力してばかりじゃしょうがないので、facts and figuresを見たのだが、
http://www.lovechips.co.uk/chip_facts_figures.html

「チョコレートバーより低カロリーでビタミンCたっぷり」とかはまあそうだろう。塩分と油分の比較対象が、cheese and tomato pizzaとはいうが、そのピザの大きさはいかほどのものかね?などというヤボな質問もよそう。「油分は少ないです」と言っているのが一般的な揚げ芋じゃなくてオーヴンで作るchipsであるという点も黙認しよう。

しかし。

A 100g serving oven chips contains just 0.1g salt compared with 0.5g in a small packet of roasted peanuts, 0.5g in small bowl of cornflakes, 2.7g in a 200g can baked beans and 3.5g in a 300g can tomato soup.


……揚げ芋の塩は確かセルフサービスだよな? 好きなだけかけるよな? 

いったい何を根拠に「100グラム中わずか0.1グラム」と断言するかね。

ヴィジュアル的にも、子供向けの情報サイトとして作られていると判断されるのだが、いいのか、こんなことを子供に広く知らしめて?

しかも数字の見方として最低最悪な例だ。

芋の生産者が「もっとお芋を食べましょう」キャンペーンを張ることは悪いことじゃない。むしろ、英国の歴史と伝統が誇る英国産の芋はおいしい食べ物だし、栄養的にも優れた食べ物であろう。

だが、揚げ芋ラブラブというプロパガンダは、どうかと思うぞ。

そもそも「芋をもっと食べましょう@農協」なキャンペーンなら、揚げたものを売り込むなよ。肥満児増えてるんだから。

いや、これはほんとに、ジェイミー・オリヴァーの悪夢ですって。

揚げ芋ラブラブサイトの「歴史」のページには

Forget Romeo and Juliet! Forget Posh and Becks! The biggest and best love match ever for we Brits just has to be fish and chips! This ultimate combination has really stood the test of time.


などと、いったい誰が考えたのだろうかという戯言が書かれているが(これ、プロのコピーライターだったらやばいでしょう)、19世紀に始まったものをstood the test of timeと言うほどに英国人が(あの一種独特の)歴史感覚を失ったら、私の心にスキマ風が吹くのでやめていただきたい。

英国ではやはり、Victorianの建物を「そんなに古くない(not so old)」と言い切り続けていただかないと。

ちなみにサイトのコンテンツは
ゲーム:http://www.lovechips.co.uk/chip_games.html
星占い:http://www.lovechips.co.uk/chip_astrology.html
のほか、

「揚げ芋占い」の体裁を借りた恥知らずなプロパガンダ活動

などとなっております。

ちなみに、Googlismによれば、全国揚げ芋ウィークは:
national chip week is a british potato council initiative which runs from 21 to 27 february this year
national chip week is a promotional initiative by the british potato council and
national chip week is an annual celebration of the 'chip' in all its forms
national chip week is one of the largest and best established awareness
national chip week is one of the largest and best
national chip week is now upon us
national chip week is all about being a chip off the old block in the tastiest way possible
national chip week is february 15

で、何がawarenessかという点でフンパンモノ。

2002年のガーディアンの記事も出てきた。

なお、the Independentのhumbleな記事から、「英国 揚げ芋名店トップ10」は:
1 Smith's Ideal Fisheries, 164 Yarborough Road, Grimsby
01472 322 000
_
2 Rock and Sole Plaice, 47 Endell Street, London WC2
www.rockandsoleplaice.com; 020-7836 3785
_
3 The Famous Mr Chips, Main Street, Kirkby Thore, Penrith
www.mr-chips.net; 01768 361 880
_
4 Sweeny Codd, 18 Habost, Port of Ness, Isle of Lewis
01851 810 172
_
5 D Fecci & Sons, Oxford House, Lower Frog St, Tenby, Pembrokeshire
01834 842 484
_
6 Chez Fred, 10 Seamoor Road, Westbourne, Bournemouth
www.chezfred.co.uk; 01202 761 023
_
7 Brett's Fish Restaurant, 12-14 North Lane, Headingley, Leeds
0113-232 3344
_
8 Mr Chips, 17 Commercial Road, Hereford, Herefordshire
01432 275 671
_
9 Stein's Fish and Chips, Riverside, Padstow, Cornwall
www.rickstein.com; 01841 532 700
_
10 Ye Olde Mottram, 4 Back Lane, Mottram, Hyde, Cheshire
01457 763 894


Fish and Chipsの値段は、テイクアウェイで£3.50〜5.00くらい、店で食べれば£6.50〜9.00くらい。£1=¥200とどんぶり勘定してください。(デフレの日本の「500円で定食」とか「500円で天丼」とかの感覚では気絶するほど悩ましい値段。)

ちなみに私はmushy peasが好きです。東京にあるホブゴブリン・パブの豆マッシュは、幸せになるような本場の味。(ホブゴブリンのビールも美味いよ。)

the Independentのトップ10の3位の店があるPenrithは、今年20周年を迎える名画、Withnail and Iで有名なPenrithです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Withnail_and_I
http://www.movie-locations.com/movies/w/withnail.html
http://www.imdb.com/title/tt0094336/
http://www.withnail-and-i.com/
http://www.movie-locations.com/movies/w/withnail.html
http://www.yama-kei.org/withnail_and_i/index.html←すごい!

PenrithはWithnail気分を味わいたくて友人と一緒に訪れましたが、湖水地方に近い中世からの街で、非常によいところでした。リチャード3世の居城跡(廃墟!)もあります。揚げ芋も食いました。この店じゃなかったと思いますが、植物油揚げでおいしかったです(ほくほくのサクサク)。

※この記事は

2006年02月18日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼















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