Nineteen-year-old Yudi, who goes by only one name, said it was not working.
He tried unsuccessfully to shake off police when they took an electric razor to his spiky mohawk. At the sight of his hair scattered in the grass, he recalled, tears rolled down his face. "It was torture to me," he said.
"I can't wait to get out of here," he added. "They can't change me. I love punk. I don't feel guilty about my lifestyle. Why should I? There's nothing wrong with it."
http://www.guardian.co.uk/world/2011/dec/20/indonesian-punks-military-drills-detention
2週間ほど前、インドネシアから「パンクスが丸刈りにされて、再教育を受けさせられる」っていうニュースが入ってきた。
Indonesia's Aceh punks shaved for 're-education'
14 December 2011 Last updated at 11:08 GMT
By Karishma Vaswani
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-16176410
「インドネシア」っていうか、より正確にはアチェだ。アチェでは30年ほどにわたって、インドネシアからの独立を求める武装闘争が続けられてきたが、2004年12月の津波のあと、2005年に「自由アチェ運動 GAM」とインドネシア政府の間で和平が成立した。
「国家による人民に対する武力弾圧、ダメ、ゼッタイ」だけが基準なら、これで「めでたしめでたし」となっただろう。しかし現実はそんなに単純ではない。
和平成立後、アチェ州はシャーリア法を採用した(インドネシアで唯一)。
そしてこの数年の間に、アチェからのニュースから「武装闘争」とか「国軍による弾圧」といった話題は消えた。それと入れ替わるように、「アチェでは宗教警察が風紀を取り締まっている」というような話が、英語圏のメディアでもときどき伝えられるようになった。サウジアラビアでは女性が車の運転をすることは違法であるとか、テヘランで、スカーフを頭にちょこんと乗っけるだけで髪の毛をしっかり隠していない女性が追いかけられているとかいった事例と一緒に、アチェでのアルコールの取り締まりの事例が紹介されている記事などを私は読んでいる。(ちょっと今、検索しても私が見た記事が見つからないが、たぶんBBCの海外特派員コーナーか、ガーディアンかタイムズ。)
話が少し飛ぶが、90年代、世界のパンク・ロックに非常に詳しい知り合いが、「独裁国家ではパンク・シーンが非常に活発だ」と教えてくれたことがある。当時、まだある程度の実態をともなう形で「東側」と呼ばれていた旧ソ連の衛星国、特にポーランド、ルーマニア。それからチリなど南米の軍事政権下でのシーン。そしてインドネシア。ただし当時の私はおばかさんで、「ロック」=「西洋のもの」という固定観念があって、「インドネシアのパンク」はまったくピンと来なかった。(英米からは、「日本のパンク・ロック」もそう見えていただろう。一部の「コアな」理解者を除いては。)
今回のこの「丸刈りのうえ矯正プログラム」という「刑罰」としか思えない事態を受けて検索して見つけた、09年にカナダのGlobal Postがアップしたオーディオ・スライドショー(5分半)が、「インドネシアのパンク」について非常に雄弁に説明してくれている。ストリート・チルドレンがそこに「居場所」を見つけ、政府になど頼らずに生きていくために、「手に職を」つけている……楽器と歌。しのごの言ってる間に、5分半の時間がある人は全員、見るべきだ。
http://www.globalpost.com/video/3814436/why-indonesian-kids-are-crazy-punk
ともあれ、14日にBBCなどで伝えられた事実は次の通り――土曜日(10日)、バンダアチェでパンク・ロックのコンサート(大規模なイベント、フェス的なものだったようだが)が行われ、バリやジャカルタからも人が来た。そこにアチェ警察が踏み込んで、男女64人のパンクスを拘束した。アチェ警察は捕らえたパンクスたちを施設に送り、「再教育」プログラムを科した。
その際、警察は、パンク・キッズたちのモヒカン頭を丸刈りにした。その写真が全世界に報じられた。BBCの下記記事の真ん中へんにある。
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-16176410
BBC記事では、アチェ警察のレオ・グスタフという名前のスポークスパーソンの発言を紹介している。いわく、「コンサートに来たパンクスの行動について、近隣住民から迷惑だとの苦情が寄せられている。金銭をたかられたという話もある。彼らは刑法犯ではない(が、身柄を拘束して矯正施設に送る)」。「このままでは彼らはダメになってしまう。我々は彼らのためを思って(以下略」
かくして、丸刈りにされたパンクスたちは、バンダアチェから60キロも離れた山岳地帯の矯正院へ……。
このBBC記事では、アチェのアンダーグラウンド・パンク・シーンについて少し解説し、警察のこの行動について人権侵害だという抗議の声なども丁寧に紹介している。
さて、それからほぼ1週間して、丸刈りに民族衣装を着せられた「パンクス」たちの写真が出た。AP通信の記事だ。
Indonesian punks undergo military drills to bring them into line
Associated Press in Seulawah
guardian.co.uk, Tuesday 20 December 2011 11.33 GMT
http://www.guardian.co.uk/world/2011/dec/20/indonesian-punks-military-drills-detention
... the young men and women have shown no signs of bending. When commanders turn their backs, the shouts ring out: "Punk will never die!" Fists are thrown in the air and peace signs flashed. A few have managed briefly to escape, heads held high as they are dragged back.
うん。パンクは死なない。米英でどんだけ商業化され尽くそうと、ただの「スタイル」や「ファッション」になろうと、「パンクとは何であるか」という本質は、絶対に死なない。そんな簡単に死なせはしない。殺させない。Punk is deadであり、なおかつPunk will never dieである。
さて、矯正院に送られていた彼らは、金曜日、つまり23日に解放されたはずだ。その記事は見つからないが、矯正院の中での彼らの様子が、(意外なことに)英デイリー・テレグラフの写真特集で紹介されている。全15枚のうち、9枚目以降は踏み込まれたコンサートの写真(「スポンサーなし」と掲げられている。Warp Tour見てるか? wwwwww)や、ジャカルタなどでの「連帯」の行動の写真だ。
http://www.telegraph.co.uk/news/picturegalleries/worldnews/8971117/Detained-Indonesian-youths-say-Punk-will-never-die.html
再教育されている彼らが見事にやる気なさそうですばらしい。4点目のゴム草履は、きっと「各自、自分の草履に名前や目印を書くように」と指示された結果だろう。お祈りをしている顔は、でも真剣だ。
丸刈りにされたユディは言った。"I love punk." 「僕は、パンク・ロックが好きだ。中途半端な気持ちじゃなくて……」。
もう25年前だよ。やんなるね。四半世紀だよ、四半世紀。どうするよ、おい。
記事検索してみた。
ここらへん、読んだ。
Aceh Police Chief Trashes Punk Lifestyle as Youths Released
Farouk Arnaz | December 23, 2011
http://www.thejakartaglobe.com/home/aceh-police-chief-trashes-punk-lifestyle-as-youths-released/486593
Full Interview: Aceh Police Chief Says Punks Are ‘Abnormal’
December 24, 2011
http://www.thejakartaglobe.com/home/full-interview-aceh-police-chief-says-punks-are-abnormal/486790
これは何度か椅子から落ちるよ。下記など。
Q: If the police are so concerned with punks being dirty, then why don't the police ever round up the homeless in Aceh as well?
There are no homeless in Aceh, there are only punks. After educating them, then our job is done. ...
See also: 「エレキは不良」。
「貧困」というか、「ストリート・チルドレン」というルートコーズに目を向けることなく、モヒカンを丸刈りにしていても、「不満住民」の苦情の元となるような問題は何も解決しない。そこで「道徳」を持ってきても、何にもならない。なぜなら元々、社会の不公正と不正義から問題は生じているのだから。そしてそれはコンセプチュアルなものではなく、「鬱屈」といったレベルのものではなく、非常に差し迫ったものなのだから。
でもね、現実にはこういう「首根っこ押さえつけて丸刈り」みたいなのがウケる。それは日本でもそうだし(「体育会系」、ハシズム)、イングランドでもそうだし(デイリー・メイルやそれに「かぶれた」、かの国の最大の輸出物であるPunkの本質とは無縁の、単細胞の人々)、おそらくエジプトなどでもそうだろう。
I'm a pessimist because of intelligence, but an optimist because of will. - Antonio Gramsci
http://en.wikiquote.org/wiki/Antonio_Gramsci
※この記事は
2011年12月24日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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