「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2003年08月21日

テロ危険リスト,英国は10位。

第一印象:「低い。」

この調査のことは,はなゆーさんのところで知りました。

調査を行ったWorld Markets Research Centerのサイトは印刷物を売るための注文ページという感じで,概略しか述べられておらず。(ちなみにお値段£950。←小数点を探した。)

というわけで,こういうがさっとしたニュースは
Google NewsBBC NEWSを見るのが確実です。


で,Google NewsでのWMRC検索結果

でも私はBBCの記事を読んでみました。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/3159749.stm

引用:
The UK has been ranked 10th in the world for its vulnerability to a terrorist attack.

つまり,「テロ攻撃に対する脆弱性において10位」。脆弱だから標的になりやすい,だから「テロの標的になりやすい」ということ?

なーんだ,だったらそんなに低くないかも。最初は「テロ攻撃が発生する確率」かと思ったんです。だとすれば,英国が10位というのは,ちょっと低いんじゃないかと。

イスラム原理主義過激派が云々以前に(ロンドンも拠点のひとつですが。特に北アフリカ系過激派の),IRA,もとい,RealIRA。2000年〜2001年にも,プラスチック爆弾とか自動車爆弾が何度か仕掛けられています(BBCとかイーリングのパブとか橋とか。MI6も迫撃砲か何かのターゲットになったはず)。

まあ北アイルランドの武装闘争グループのやることの破壊力はそんなにすごいものではないことは事実。IRAは90年前後が今では考えられないくらい盛んでしたが,威力のないテロ行為やテロリズムの脅迫の積み重ねで,都市機能を攻撃,という感じ。「市役所に爆弾しかけたんでよろしく」電話とか。中にはほんとに破壊的な爆弾もありましたが(ケガ人はよく出ていたし,死者もときどき)。

9-11以降の「テロ」が,IRAに慣れていた英国のBBCにUK ON TERROR ALERTという特設コーナーを作らせるほどに脅威とされるのは,おそらく,破壊力という点かと思います。

ともあれ,WMRC調査によるテロ脆弱性トップテンは次の通り。

1. Colombia
2. Israel
3. Pakistan
4. United States
5. Philippines
6. Afghanistan
7. Indonesia
8. Iraq
9. India
10. UK
10. Sri Lanka


調査を行ったWMRCのバックグラウンドは,ちょろっとしか見てませんけど,「ビジネス!」と云う感じ。……何となく,米国の国防総省が諦めた「テロ賭け」も連想。

再度,記事より引用:
"London is probably unique in the world for the sheer number of symbolic targets," he said.
「シンボル的な標的の数という点だけでも,ロンドンは世界で類を見ない」とのコメント。(文中heはdirector of research for the WMRCのこと。)

これを煽りと見るか,客観的事実と見るか。立場によっていろいろあるかもしれませんが,私は客観的事実と思います。その上で,なぜロンドンの国会議事堂やバッキンガム宮殿(←「ベッキンガム」ではないので注意。参考)がシンボリックな存在になったのか,その経緯は,英国人自身(特に上の方の人々)によって再考されるべきでしょう。それをしなければ,WTCが崩壊した時に「私たちが何をしたの」と泣き叫んだ米国の人と同じ。この点,私は私が知っている英国の人々に,かなり期待をしています。というか期待したい。英国の人=アングロ・サクソンではないということを知っている肌の白い人々に。

記事の最後は,WMRCの調査を「テロ対策が過小評価されており,方法論としてダメな調査」と冷静に批判する大学の先生のコメントで締められています。

「全世界で10番目」ねぇ……例の「45分で使用可能なWMD」じゃないですけれど,必要以上にセンセーショナルな文言って,裏に何かあるような気がしてならないです,ワタシ的には。英国の歴史上の悪行を見れば,いわゆる「国際テロ」という文脈で10位ということは,不思議なくらい低いような気も。IRAとはまた別に。

※この記事は

2003年08月21日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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