「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


2006年09月06日

「元テロリスト」のイスラエル政府との会談、実現せず。

今日はニュースが多い。(^^;)

ものすごい速度で更新されているスラオさんの1行記事経由、BBC:

Israel talks snub for Sinn Fein
Last Updated: Monday, 4 September 2006, 16:41 GMT 17:41 UK
http://news.bbc.co.uk/1/hi/northern_ireland/5313766.stm

ジェリー・アダムズが火曜日(5日)から中東を訪問するのだが、イスラエル政府との会談は断られた、と。

この人がman of peaceというのも違和感ないわけじゃないが、この状況で、この人をおいて「話ができる」人はいないと思うんだけどね。マジで。餅は餅屋ですから。

というかイスラエル、もうちょっと冷静になれやと思うのだが。
An Israeli embassy spokesman in Dublin said Israel "would not talk to those who meet Hamas".

「ハマスとは話をしない」がさらに倍で「ハマスと話をする奴とは話をしない」になってる。

そのうちに「ハマスと話をする奴と話をする奴と話をする奴と話をする奴と話をする奴とは話をしない」になりそうだ。

ともあれ。

ジェリー・アダムズは、1980年代前半にシン・フェインの主導権を握って、それからシン・フェイン内部の守旧派(武装闘争至上主義者)の頭の中にはなかった「和平」の道を模索し始めた。といってこの人が「正義の味方」だとは思っていないし、そう言うつもりもない。ただ、この人がシン・フェインのトップになっていなければ、北アイルランドは今でもまだ毎日爆弾が炸裂していたかもしれない、ということは言えると思う。いや、もっとえぐい暗殺作戦とかになってたかもしれない。

英国政府はかつてこの人を「テロリスト」と見なしていた。アメリカはまだそう見なしているらしい。(IRAとシン・フェインを支えていたのはアメリカの草の根なのにね。)(<知らない人はNORAIDで検索してみてください。半角英字でね。)(あと、北アイルランド和平を主導したのもアメリカだ。クリントン政権。)

でも1990年代に「和平」への筋道を模索し始めたときに、英国は「テロリスト」と決め付けることを半分くらいやめて、公式に、「話くらいはできる人間」と見なした。そっからすべてが始まった。そうやって模索された和平の糸口を現実に結びつけたのが、まずは北アイルランドの人たちの意思なのだが、ブリテン側ではブレア政権であり、当時の北アイルランド担当大臣だったモー・モーラム(RIP)であり、北アイルランド紛争の真っ只中でむやみに拘留され拷問されるアイリッシュのことを知り、わけのわからない爆弾で殺される一般市民のことを知り、人権を重視すべきと考えて行動した、主に労働党および労働党支持の人たちの、それまでの積み重ねであった。

「テロリストとは話をしない」とか、ましてや「テロリストと話をする奴とは話をしない」といった態度は、おそらくポジティヴなものは何も生まない。

ま、イスラエルがそこまで意固地なのは、まあいろいろと歴史がありますが。(「歴史」っていっても、イスラエル建国後となると60年に満たないなぁ。。。「アイルランドの8世紀にわたる植民地支配」とは桁が違う。)(※一部「プロパガンダ」とされるものが入っています。)

興味がおありの方は、例えば昨年12月のスラオさん記事とか。これは、今年4月に射殺体で発見された元シン・フェイン幹部にして元英国のスパイ、デニス・ドナルドソンが、自身がスパイであったことを告白したころの報道を中心にした記事です。デニス・ドナルドソンはシン・フェインの中で外交担当というか、PLOやETAとのつながりを作っていく立場にあった人で、英国・アイルランドのジャーナリストがレバノンで誘拐され何年も拘束されたときに、解放交渉に当たったりもした。

なお、北アイルランドがなぜ中東和平に、という点がさっぱりわからん人は、ジェリー・アダムズ本人の説明がわかりやすい。特に下記の最初のパラグラフ。
http://sinnfein.ie/news/detail/15770
"In recent years the Sinn Féin leadership has shared our experience of the Irish Peace Process with those seeking peaceful alternatives to conflict both in the Basque Country and Sri Lanka. Later this week I will travel to the Middle East at the invitation of Palestinian President Mahmoud Abbas tomeet with parliamentarians and peace groups in Palestine and Israel.

"It is imperative that genuine negotiation and dialogue between the representatives of the Palestinian and Israeli people commences as quickly as possible. While no two conflicts are identical there are key conflict resolution principles which can be applied in any situation. These include inclusive dialogue, respect for electoral mandates and respect for human rights and international law. This is the message I will be bringing to the Middle East this week."


スリランカにはマーティン・マクギネスが行ったようです。

-------------------------
■追記:
スラオさんのところのSep 05, 2006 @ 01:03 PMのコメントより
The tragedy of the Zionists in Israel is that like the Unionists of Northern Ireland they have tried to set up a society which was not inclusive. Maybe it would help the situation in the Middle East if the Zionists were to look at Northern Ireland rather than referencing back to the Holocaust.

コメ欄はまた成りすましの荒らしが出たようで、かなりぐちゃぐちゃで、スラオさんのコメ欄を読んでない人には何のことかわからないところがあるかもしれないけれど、まじめなディスカッションもある。

--------------------------
※なお、このページの記事もコメントも、基本的にはかなりサーカズムです。念のため。

※この記事は

2006年09月06日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 20:36 | Comment(3) | TrackBack(1) | todays news from uk/northern ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ジェリー・アダムズ、パレスチナに到着。アラファトの墓参り。ハマスと会談。

Sinn Fein president meets Hamas
Last Updated: Wednesday, 6 September 2006, 12:44 GMT 13:44 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/5318978.stm
※動画あり。右側コラム一番上のリンクから。

GAを招いたアッバス首相との個別会談はこれから。

っつかこれ↓すごすぎ。
On Tuesday, the Sinn Fein leader travelled in a presidential-style motorcade with government officials.

さらに北アイルランドでは:
Ulster Unionist MEP Jim Nicholson said he was "really delighted" when the Israelis said they would not meet Mr Adams.

"He has gone out there, he is meeting Hamas, which is a listed terrorist organisation. I just condemn it," he said.

ははは・・・UUPが言うなよ。PUPとのつながりを持とうとしているのに? というかジェリー・アダムズが「テロ組織」と会うことのどこに新奇性があるというのだろう。

"I think it is a ploy on his part and I fear we are going to see an awful lot more of these PR exercises by the Sinn Fein leadership as you go into the Irish elections next year."

というわけで「選挙前の作戦」として非難しとかないといけないようです。

あー、でもちょっと、アラファトの墓に花輪を添えるGA、ちょっとすごい。
Posted by nofrills at 2006年09月07日 02:05
「元テロリスト」のジェリーはオルメルトとの会談は拒絶され、アッバスには会い、ハマスにも会うという一方で、「戦争屋」のトニー・ブレアはオルメルトとアッバスには会い、ハマスには会わない。

Mr Blair is expected in Jerusalem this weekend where he is likely to meet the Israeli prime minister, Ehud Olmert, as well as the foreign minister, Tzipi Livni, and the defence minister, Amir Peretz. He may also meet Shimon Peres, the deputy Israeli prime minister, before he leaves.

In addition, Palestinian officials say that Mr Blair will travel to Ramallah in the occupied West Bank to meet Mahmoud Abbas, president of the Palestinian Authority. He is not expected to meet members of the Hamas government.
http://politics.guardian.co.uk/foreignaffairs/story/0,,1867498,00.html

Posted by nofrills at 2006年09月09日 01:43
シン・フェインの動き:

Leadership required to rebuild Middle Eastern Peace Process
Published: 7 September, 2006
http://www.sinnfein.ie/news/detail/15833

Sinn Féin Chairperson, Mary Lou McDonald MEP speaking from Strasbourg has said that the international Community need to show positive leadership in efforts to re-build the Peace Process in the Middle East and called on the EU to reconsider its approach to Hamas.

Ms McDonald's comments came after the European Parliament agreed a compromise motion on the Middle East highlighting the humanitarian catastrophe in Lebanon as resulted the conflict, the deadlock in the Peace Process and the need for a just and lasting solution to the Israeli-Palestinian conflict for the establishment of peace in the whole region.

Sinn Féin President Derry Adams MP is concluding a visit to Palestine and Israel at the invitation of Palestinian President Mahmud Abbas.

...
Posted by nofrills at 2006年09月12日 03:57

この記事へのトラックバック

ブレアへの「大歓迎」@レバノン
Excerpt: Angry Beirut protests greet Blair Last Updated: Monday, 11 September 2006, 12:35 GMT 13:35 UK http:..
Weblog: tnfuk [today's news from uk+]
Tracked: 2006-09-12 03:51

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

……全文を読む
▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼