kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2011年10月07日

「ノーベル文学賞」で偽ニュース(?)流れる

昨日6日、ノーベル文学賞が発表された。イギリス人だから何でもかんでも茹でてマッシュしちゃうの♪のごとく、何でもかんでもLive blogにしちゃう感のあるガーディアンは、この「ノーベル文学賞発表」までもLive blogにしていた。前もってノミネートの発表とかのあるものやショーアップされているもの(例えば米アカデミー賞とか)ならまだしも、ノーベル文学賞って全然スリリングじゃないんですけど……。
http://www.guardian.co.uk/books/booksblog/2011/oct/06/nobel-prize-literature-live-coverage

ともあれ、文学賞の発表は英国の時刻で12時(正午)からだったのだが、その少し前、11:48に、このLive blogにこんなのが出た。
11.48am: Woah! it looks as if the Nobel website has gazumped itself: go to the front of the Nobel prize for literature site, and they appear to have posted the name of the winner: Serbian author Dobrica Cosic.

いわく「ノーベル賞のサイトがフライングしている。今年の文学賞は、セルビアのドブリカ・コシッチに決定したようだ」として、http://www.nobelprizeliterature.org/ にリンクしている。

しかし、ノーベル賞のサイトのURLってこんなふうだっけか。やけに長い。

……と思いつつ、リンク先を見てみると、発表の時刻(日本時間19時)の数分前に、こうなっていた。



結果からいえば、この「セルビアのコシッチにノーベル文学賞」はhoaxだった。

今はこのURLのページの中身は置き換わっているが、「偽」の受賞アナウンスが出たときの文面はガーディアンのLive blogにコピーされている。(「ノーベル文学賞のアナウンスのLive blogは、米議会での『オバマの出生証明書』云々のLive blogと同程度に、意味がある」と思っていたのだが、こうなってみるとオバマ出生証明書よりも少しは多く、意味があったのかもしれない。)

Serbian author Dobrica Cosic recipient of 2011 Nobel prize in Literature

"We lie to deceive ourselves, to console others, we lie for mercy, we lie to fight fear, to encourage ourselves, to hide our and somebody else's misery."
Citation from the novel trilogy Divisions (Deobe)

The Nobel Prize in Literature for 2011 is awarded to the Serbian author Dobrica Cosic, the last dissident of the 20th century, witness of a declining era, as well as the prophet of an emerging one.

All his life Dobrica Cosic has been writing one continuous story, one novel. One doesn't easily forget his characters and the meaning of their universal love, hate, pleasure and pain

URLじゃなくてこの文面だけ見てたら、わかったよーなわかんないよーな、しかし元々知らん人だし、ということで「ふーん、こういう人が受賞したのか」と納得していたかもしれない。

これがhoaxであることが判明した過程もガーディアンのLive blogに書かれているのだが(「ニュース解体ショー」というか、ストリップだね、これ。フル・モンティ的な)、「Whoisにかけたら、Created: 05 Oct 2011になってる」ということから「偽物」であると証明されている。(h/t @elguillelmo

Whois:
http://whois.domaintools.com/nobelprizeliterature.org

"Created On:05-Oct-2011 15:13:54 UTC" とあるのが確認できるはずだ。

この「偽のノーベル文学賞のページ」には、現在、「私たちは非営利で、自主的に集まったウェブ・アクティヴィストである」と大きく書かれた文書が掲載されている。
http://www.nobelprizeliterature.org/

いわく、今年もまた候補として取り沙汰されたセルビアのDobrica Cosicの危険な影響について、セルビアの人々 (the Serbian public) の注意を喚起したいのだ、とのこと。

詳細はサイトでお読みいただきたい。英語とセルビア語で書かれた文書がある。セルビア語のほうは詩が添えられている。

これだけではよくわからないのでウィキペディアも参照する。
http://en.wikipedia.org/wiki/Dobrica_%C4%86osi%C4%87

これを見るとわかるが、Dobrica Cosicはユーゴスラヴィア連邦共和国(1992〜2006: スロベニア、クロアチア、マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴビナが独立したあとのユーゴスラビア。日本では確か通称は「新ユーゴ連邦」だった。途中で「セルビア・モンテネグロ」になる)の初代大統領だったそうだ。第二次大戦時に共産党パルチザンに加わって以来の共産党員で、チトー政権でも体制派だったが、1960年代に地方分権が進むと「セルビア人が脅かされる」と考えるようになり、あとはまあ、ミロシェヴィッチ、カラディッチ、ムラジッチの名前が軸になるような文脈……。

そういうわけで、今年2月には北米のボスニア人の団体から、下記のような文書が出されている。

Letter to Nobel Prize Committee for Literature Regarding Dobrica Cosic
February 8, 2011
http://www.bosniak.org/letter-to-nobel-prize-committee-for-literature-regarding-dobrica-cosic/
The Congress of North American Bosniaks (CNAB), Institute for Research of Genocide Canada (IRGC), and Bosnian-American Institute for Genocide and Education (BAGI), on behalf of victims of crimes of aggression and genocide in Bosnia and Herzegovina, voice their concern over possible proposal to the Committee of the Nobel Prize that Dobrica Cosic be awarded a prestigious award for literature. ...

今回の「偽サイト」も、おそらく、こういった活動をしている人たちによるものだろう。「偽サイト」で声を届かせたいターゲットは、セルビアの人々。ウィキペディアに示されているが、結局セルビア国内で「コシッチが受賞した」という誤報が一時的に流れたそうなので、このinternet hoaxの目的は達せられたんではないだろうか。

あまりよいやり方とは思わないが、少なくとも、ウィキペディアのエントリを書きかえて注意を引こうとするとかいうのよりは効果的だろうし、関係のない人への波及も大きくはない。

なお、本物のノーベル賞のサイトは:
http://www.nobelprize.org/

「文学賞」、「物理学賞」、「化学賞」などの分野は、このサイトのサブカテゴリになっている。

今年の文学賞は、スウェーデンの詩人で翻訳家のトマス・トランストロンメルが受賞した。
http://en.wikipedia.org/wiki/Tomas_Transtr%C3%B6mer

スウェーデン以外では一般にはほとんど知られていない人のようだが、「詩」は翻訳による目減りがあまりに大きいので、詩人には小説家ほどの外部への波及力はないだろう。(ガーディアンのLive blogのコメント欄などでは「で、韻は? 韻は踏んでいるの?」みたいな、「詩」といえば「押韻」という強迫観念が見られるが、そういえばスウェーデン語の詩は押韻をすることになっているのかどうかすら、私は知らないのだ。)

※この記事は

2011年10月07日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 13:50 | TrackBack(0) | 雑多に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼