GoogleでBETAで提供され始めた翻訳機能を使ってみた。結果……。(以下,面積のでかい画像。)

※原文はhttp://www.hartford-hwp.com/archives/27a/037.html
cluster bombが「収束爆弾」なのはアレといえばアレだが,単純に訳語の問題であり,辞書に追加すれば解決する。こういうのは全然大した問題ではない。
Defence correspondent が「Defence対応した」ってのも,かなり重傷だけれど(日本語に翻訳しているはずなのに,日本語になってない),これも多分辞書の問題。エゲレス流のスペリングを辞書に追加して,correspondentに「特派員」みたいな訳語を与えればおっけー。ま,その訳語が適する文脈で出てくるようにできないと,という問題はあるのだけど。ってか,correspondentなんて「対応した」よりか「特派員」で出てくるほうが多くないか? どーいう基準で訳語選んでるんだろう。わからん。
あと,GMTを日本語にしたら「gmt」ってのは,これはお笑いでしょうか。(「グリニッジ標準時」です。)
問題は,文法。
まず,省略に対応できてない。
記事タイトルのWhy use 〜? が「なぜ〜を使うのか」という意味だってことは,見りゃわかる。いや,why do they[we, you] use 〜? の一部が省略されてるんだっていう説明をすることが私は多いし,実際そうなんだろうと思うけど,そういう説明があってもなくても「なぜ〜を使うのか」という意味に取るのが素直ってもんだろう。
が,上記自動翻訳例では,useを〈動詞〉ではなく〈名詞〉と解析している。なので「なぜ使用cluster bombsか」という珍妙な日本語になっている。
次の問題点……機械さんには英語が読めてない。(笑)
記事本文の1行目,
> The modern cluster bomb dates back to the 1960s and was extensively used in Vietnam, the Gulf War and the recent conflict in Kosovo.
これがどうやったら
> 現代収束爆弾は60 年代にさかのぼり, Kosovo のベトナム, 湾戦争及び最近の対立で広く使用された。
になってしまうのか。
検証レポート!!
> The modern cluster bomb dates back to the 1960s
> →現代収束爆弾は60 年代にさかのぼり,
英文をセンスグループで区切って,前から順番に1対1で訳語を当てはめて,それから日本語の語順に並べ替えていることが,はっきりとわかる例。
「爆弾は…さかのぼり」は日本語が壊れている。せめて「爆弾の始まりは…」とかにしないと,とは思うのだけれど,意味はわからんことはない。ので大した問題ではない。
問題は次。これは人間が翻訳をしてもときどきあるパターンが,ものすごく大げさに現れた例。
> and was extensively used in Vietnam, the Gulf War and the recent conflict in Kosovo.
> →Kosovo のベトナム, 湾戦争及び最近の対立で広く使用された。
「湾戦争」は辞書の問題なので,本質的なことにはならないが,問題はandだ。一見,どうしてこういう解釈ができるのか,それ自体がナゾとも思える翻訳結果。
……が,わからんこともない。
andは普通はA, B and Cの形で用いる。この場合,A, B, Cのそれぞれが等価(って言うんだっけ>文法用語失念←こら)。
eg. in London, Manchester and Liverpool
しかしこの例では,
in Vietnam, the Gulf War and the recent conflict in Kosovo
Vietnamとthe Gulf warとthe recent conflict in Kosovoは,等しくない。イレギュラーだ。
これは,「ヴェトナム戦争」と「湾岸戦争」と「コソヴォ紛争」というものを知っているから書けるし読める表現なのであって,機械にはそこまでわからないらしい。だから混乱して,
> Kosovo のベトナム
と答えてしまう。。。んだろうか?
とにかく,the recent conflict in Kosovoがセンスグループとして把握されていない。
機械の考えは,おそらくこうだ。まず最初のinを外して
> Vietnam, the Gulf War and the recent conflict in Kosovo
さらに,
> Vietnam (, the Gulf War and the recent conflict) in Kosovo
ここから日本語を導き出すと,
> コソヴォのヴェトナム(,湾岸戦争と最近の紛争)
となって,
> Kosovo のベトナム, 湾戦争及び最近の対立
が導き出せ,さっき外したinをくっつけると,
> Kosovo のベトナム, 湾戦争及び最近の対立で
にゃるほどね。
っつーか,「Kosovoのベトナム」って。メタファー,それともレトリック?(笑)
あとは,a variety of 〜「種々の〜,さまざまな〜」という連語が連語として認識されてない,というか,varietyに「変化」という訳語を当てはめてることとか,principleの訳語が「主義」であるとか,上記文例中のwork on 〜は「〜に基づいて動作する」であるのに,「〜に取り組む」で取っている(さらに,なぜか「〜に取り込む」に誤訳されているのはデータベースの問題か?)こととか,can be 〜は「〜である場合もありうる」と解釈すべきなのにそれができていないこととか,いろいろ。
Googleの翻訳機能,今BETAでリリースするんだから,どんなもんかとワクワクしてたんですけど,90年代末期には既に存在していた自動翻訳と同じところでひっかかってる。
ただ,上記のように自分で逆算してみるとよくわかるんですが,英語と日本語のように“遠い”言語の間の機械翻訳は難しい。
ソフトウェアを開発されてる方々に改めて敬意を。
※この記事は
2004年11月20日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
【英語の最新記事】
- 英語の冠詞についての優れた本2冊
- 【英語】単数形か、複数形か、それが問題だ(The teamなど「ひとつの集団」の..
- 「誤訳」は「意訳」「超訳」ではないし、「意訳」「超訳」は「誤訳」ではない。(実例..
- 重い話題が続いているので「ダジャレを言うのはだれじゃ」(&文脈とは何か)
- 英語圏お名前苦労譚
- "Go west" と "go south"...「西」か「南」か、英語の慣用句..
- 多読の素材探しに最適なタイミング……ノーベル医学・生理学賞決定のニュース
- 何かを称賛するときの英語の語彙の多さは、実にdopeだ。
- 《The + 比較級 …, the + 比較級 〜》の構文のバリエーションで、最..
- 辞書に載ってないかもしれませんが、政党の役職のChairmanは「幹事長」です。..






























