でも私に見える範囲ではほとんど盛り上がっていない。アメリカがとかイスラエルがとかの話ではない。そんな「外国」の反応など、二の次。ここで「国家」の形式を求めている「パレスチナ」は、「パレスチナ人」のごくごく一部でしかない、ということだ。もっといえば、ファタハ(PA、「パレスチナ自治政府」)が国家を樹立したとしても、「アラブの春」で倒されたような腐敗した強権的な政権がまたあの地域に新たに出現するだけだから(それはウィキリークス後に、ウィキリークスとは別な経路でリークされた「パレスチナ・ペーパーズ」に明らかだった)、半年前の3月15日、「統一 Unity」を求めて行動を起こそうとした(そして、始まる前に弾圧された)パレスチナ人たちはスルーするか、反発するか、複雑な心境を示すか(「確かに在外公館にパレスチナの旗が掲げられるとうれしい。でも中身がファタハでは……」という心境)、積極的に否定している(エドワード・サイードなどを参照しつつ)。
一方、3月15日の自分のTwitterのログを見ると、都内でパンや牛乳が店頭になかったり、トイレットペーパーが買い占められていたりするのだが(近所の大手スーパーの棚は歯抜け状態で、100円スーパーの食品の棚は完全にすっからかんになっていた)、東北地方はまだまだそれどころではない状態で(ガス、水道はおろか、電気すらも復旧していない地域が多かった)、さらに余震や別の大地震があり……という一方で、パレスチナで「3月15日」のハッシュタグがあり、リビアは反カダフィ勢力がアジュダビヤを制し、そして……あの「えっ」。

そのシリア、どうなってるかというと……
14 September 2011 Last updated at 15:14 GMT
Syria unrest: Troops 'open fire in north-west'
http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-14918325
いや、ほんとげんなりしますわ、今日のBBC NewsのMiddle Eastのトップページ。
「敵機を撃墜した」と言いつつ実は友軍誤爆だったとか、「カダフィの息子の身柄を確保した」と事実無根の発言をして西側を安心させるなど、息を吐くように嘘をつき続けた、あの、どう見ても「信用」できそうにないリビアのNTCのトップ(The WhoのDon't Get Fooled Againの "a new boss" にしか見えない)は、西側とよろしくやって武器を手に入れようとしている(「対リビア」というくくりでの武器禁輸、これまでも有名無実だったことはジャーナリストらの報告から明らかなのだが、それの対象から「新政府」を外すということだろう)。
シリアはまた、新たなクラックダウンを行っている。
イランは、昨日いったん、スパイ容疑で有罪となった米国人2人について、ものすごい額の保釈金で身柄を解放すると大統領サイドから情報があったのだが、内政的にいろいろあるようで、それが何か撤回されたらしい。
イラクはまた治安当局に対する攻撃があった。
イエメンは内戦の危機にあると国連が警告を発している(いやー、イエメンは……)。
トルコはアラブ連盟で「人権重視!」と言い出し、「イスラエルの人権侵害に対抗する」というスタンスを明確にして、政治家というより一般の人々の拍手喝采を浴びている感じだが、自国の人権侵害やイラクへの越境攻撃(国際法的にどうよ)はスルー(つまりクルド人とクルディスタンについての問題)。それでも90年代までと比較すれば「人権状況は改善されている」と強弁するのだろう。下記にアラブ(の左派)から、またクルドからの反応の一部。
http://chirpstory.com/li/2520
英国は対イラン決議をとりつけようと動いているらしいが、トニー・ブレアは911から10年の節目のメディアでのインタビューでまだ「アルカイダよりも大きな脅威がある。イランだ」云々とぶっているらしい。このクソ男は、自身の不法行為についての調査(チルコット・インクワイアリ)の場での証言でも、「イランがいかに脅威であるか」の半分フィクションの演説をぶっていたくらいだ。理性のある大人としてではなく、「私は何も間違っていない」という信念を抱いている狂人として扱うべきだろう。
http://chirpstory.com/li/2537
そんなこんなで、英国のあの安っぽいアイドル歌謡というかコミックソングに、珍しいことにぴったりの活躍の場が。(失礼。でも本当に甘やかされていて頭が悪くて下品であることを売りにしている安さ、間違ったchav-popの薄汚さはいかんともしがたいので)
※この記事は
2011年09月15日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
【i dont think im a pacifist/words at warの最新記事】
- 「私が死ななければならないのなら、あなたは必ず生きなくてはならない」展(東京・六..
- アメリカのジャーナリストたちと一緒に、Twitterアカウントを凍結された件につ..
- パンデミック下の東京都、「コロナ疑い例」ではないかと疑った私の記録(検査はすぐに..
- 都教委のサイトと外務省のサイトで、イスラエルの首都がなぜか「エルサレム」というこ..
- ファルージャ戦の娯楽素材化に反対の意思を示す請願文・署名のご案内 #イラク戦争 ..
- アベノマスクが届いたので、糸をほどいて解体してみた。 #abenomask #a..
- 「漂白剤は飲んで効く奇跡の薬」と主張するアメリカのカルトまがいと、ドナルド・トラ..
- 「オーバーシュート overshoot」なる用語について(この用語で「爆発的な感..
- 学術的に確認はされていないことでも、報道はされていたということについてのメモ(新..
- 「難しいことはわからない私」でも、「言葉」を見る目があれば、誤情報から自分も家族..