「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2011年09月06日

ガーディアンとLSEが8月の暴動を徹底解析

ガーディアンとLondon School of Economics (LSE) が、the Joseph Rowntree Foundation と、the Open Society Foundationsの支援を受けて、この8月の「暴動」について大掛かりな調査を行なうとの告知。



「暴動を読み解く Reading the Riots」と題されるこのプロジェクトの内容は、「暴動」の初日、トッテナムが荒れ、隣町のウッドグリーンに拡大したときにまっさきに現場に飛んでいったポール・ルイス記者の記事に詳しい。

Reading the Riots study to examine causes and effects of August unrest
http://www.guardian.co.uk/uk/2011/sep/05/reading-riots-study-guardian-lse

The causes and consequences of the English riots last month, the most serious bout of civil unrest in a generation, will be examined in a study by the Guardian and the London School of Economics.
この30年の間で最も深刻なものとなった8月のイングランドでの暴動の原因と結果が、ガーディアンとLSEによる研究で精査されることとなった。

Researchers will interview hundreds of people who were involved, in the first empirical study into the widespread rioting and looting.
広い範囲に拡大した暴動と略奪について、経験から研究する初めての取り組みとなる。研究者たちが関与した人々数百名に聞き取り調査を行う。

As well as surveys of those who took part in the disorder, the research will include interviews with residents, police and the judiciary, and an advanced analysis of more than 2.5m riot-related Twitter messages.
騒乱に参加した人々についての調査と同時に、このプロジェクトには住民や警察、司法の現場の人々の聞き取り調査も含まれる。また、暴動関連のTwitter投稿250万件以上についても分析を行う。

The study – Reading the Riots – is supported by the Joseph Rowntree Foundation and the Open Society Foundations. The project, announced on the eve of the one-month anniversary of the outbreak of trouble in Tottenham, north London, will seek to better understand why riots then spread to other parts of the capital and cities across England.
「暴動を読み解く」と題されるこの研究は、ジョウゼフ・ローントゥリー基金とオープン・ソサイアティ基金に支援される。北ロンドンのトッテナムで騒動が起きてからまる1ヶ月となる日の前日に告知されたこのプロジェクトは、なぜ暴動がロンドン各地に、またイングランド各地に広がったのかについて、よりよく理解することを目指す。

Joseph Rowntree Foundationは、貧困などの問題について取り組んでいるチャリティだ。
http://www.jrf.org.uk/

Open Society Foundationsは……説明不要っすよね。ソロスです。
http://www.soros.org/

ポール・ルイス記者の記事によると、この調査は1967年のデトロイト暴動の際に行われた調査(→詳細)をモデルとし、デトロイトの調査を行ったフィル・メイヤー教授が今回のイングランドの暴動の調査にもアドバイザーとして関わるとのこと。ロンドン&イングランド暴動については「俗流なんとか論」みたいなものに基づいた「原因はこれだ」説がいろいろ出ているけれども、デトロイトでもそういうのがあったようで(そりゃそうだろう)、メイヤー教授らの調査はそういう説に疑問符を突きつけるものだった、とのこと。

ロンドン&イングランドの調査は、LSE社会政策学科の主任ティム・ニューバーン教授 Prof Tim Newburn(元英犯罪学協会の会長で、ロンドン警察と内務省顧問)らが行う。ニューバーン教授は「先入観なく、暴動の原因と結果を見ていく必要がある」、「公共政策のために何らかの教訓を得ようとするならば、暴動を起こした人々と、それによって影響を受けた人々とに話を聞くことが絶対的に必要だ」と語っている。(→教授の書いた文章

そしてルイス記者は、暴動当時さんざん引き合いに出されていた80年代の人種暴動(ブリクストンなど)だけでなく、2001年のオールダム暴動(マンチェスターのパキスタン系移民の多い地域で、白人優越主義者が煽動して起こした暴動……このころ、他の都市でも同種の暴動は起きたが、オールダムのが一番激しかった)にも言及し――いずれのケースでも政府の調査が行われ、その結果が報告書として公表され、公共政策のターニングポイントとして語り継がれている――、今回のプロジェクトについて説明している。そして、この8月の暴動についてパブリック・インクワイアリ(←という制度が英国にはある)を求める声があるものの政府はそれに抵抗している、と述べ、政府側が体系だった取り組みは何もしようとしていないということを説明している。

ガーディアンとLSEのこの調査は、英国政府が公的に行う予定のない調査を、「民間の資金」で行う、ということだろう。

調査ではガーディアンがこの1ヶ月間構築してきたデータベース2件が中心的役割を果たす、と記事は述べている。ここ数年、ガーディアンが熱心に取り組んでいる「データ・ジャーナリズム」は、実際、8月の暴動についても大きくフィーチャーされていたが、データベースの1件は逮捕・起訴された人々のリストで、これは司法省が支援してまとめられたものだそうだ。

そしてもう1件がツイッターの投稿のデータベース。これは米国のツイッター社の認可を得て、暴動に関連したハッシュタグのついた公開ツイートから集めたとのこと。

ジョウゼフ・ローントゥリー基金のチーフ・エグゼクティヴのJulia Unwinさんは、「政策の改善を進めていくためには、暴動の原因について、固い証拠が必要であるが、現在はそれがまったく存在していない。ガーディアンが有する量的・質的データは非常に貴重なものであり、それをLSEが分析することで、なぜ暴動が起きたのかを理解することができよう」といったことを述べている。「証拠に基づいた政策を求める」というのが基本的な姿勢である、と。(ステートメント全文はこちら。)

(ああ、うらやましい……。何かって言うと「コミンテルンの陰謀」とか「日教組が〜」とか言い出すという現象は、こういう姿勢のあるところでは、はびこらないよなあ。)

記事の最後は、ガーディアン編集長の「どうだ、うちはすごいだろう」というドヤ顔コメント。

……というわけでいろいろと期待大。

なお、Twitterでは私はトッテナムで最初に「車が燃やされている」と報告が来たときから見ていたので、いろいろと「まとめ」てある。

Riot in Tottenham, London 1) How the news broke on Twitter
http://chirpstory.com/li/2160


Riot in #Tottenham, London 2) How things developed
http://chirpstory.com/li/2163


North London riots #TottenhamRiot 3) Spreading to Wood Green
http://chirpstory.com/li/2164

※このころ、涙目ですよ、あたしも。でもね、日本のメディアはこの段階ではほぼスルーしてた。英メディアも、例えばBBCなんかは「来年は五輪だというのにイメージが」的なことを言ってた。明るくなった町では、10代のくせに40代みたいな体つきをした連中(通称chavs)が略奪をしている様子がCCTVのカメラにとらえられ、いろいろと、オワットルとしか思えなかった。挙句日本語圏では「異議申し立てとしてギャングがやったことだから正義。盗品売買上等」みたいな人が現れるし……

North London riots: Day 2: Enfield
http://chirpstory.com/li/2168

※PIAS Distroが使ってたSONYの倉庫が燃やされたのはここ。

London riots: Day 3: Brixton, Dalston, Hackney, Peckham, Croydon...
http://chirpstory.com/li/2176

※ロンドン全域に拡大……ドルストンは商店街のトルコ人とクルド人のおっちゃんたちが野球バットとケバブナイフでカテナチオ(笑)

London riots: Day 3: David Cameron will be back in the UK shortly
http://chirpstory.com/li/2178

※暴動3日目にしてようやく、政治トップがヴァカンスを切り上げる。

London riot: #Leyton
http://chirpstory.com/li/2209

※比較的被害が少なかったレイトンのハッシュタグだけ集めてみた。(盗品売買系ギャングが電化製品などの量販店の倉庫を襲撃して略奪したあとは、大きな騒動にはならなかったっぽい。)

↓ここからあとは、事後の各メディアでの討論。

#skydebate: the @Louisemensch @johnprescott @paullewis social media #riot debate
http://chirpstory.com/li/2222


Views and questions to answer: #RiotsDebate on @channel4news
http://chirpstory.com/li/2227


#RiotsDebate on @channel4news - the first 30 mins (page 1)
http://chirpstory.com/li/2228


#RiotsDebate on @channel4news - page 2
http://chirpstory.com/li/2229


#RiotsDebate on @channel4news - page 3
http://chirpstory.com/li/2230

※この記事は

2011年09月06日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 08:00 | TrackBack(1) | todays news from uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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「悪魔」とその母親とのお茶(リヴァプール、暴動聞き取り調査)
Excerpt: トニーさんはタクシー運転手をしながら文章を書いている。この8月のイングランド各地の暴動について、LSE とガーディアンが共同で行っている調査の人員として採用された。実際に暴動に参加した人々に話を聞く役..
Weblog: tnfuk [today's news from uk+]
Tracked: 2011-11-17 03:08

【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼















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