(1) http://nofrills.seesaa.net/article/224175599.html
(2) http://nofrills.seesaa.net/article/224233852.html
(2) でみた、ナイジェル・パリーさんのブログ(米東海岸時間、8月31日付け)を引き続き見ていく。
http://nigelparry.com/news/guardian-david-leigh-cablegate.shtml
といっても、(2) で中断したところから下の部分は、その前の部分(パリーさんや @Nin_99 さんが、何ら修正、つまり固有名の墨消しを加えていない米外交公電のcsvファイルを発見し、解凍した経緯についての説明)ほど重要ではないので、ざっと内容の紹介だけ。詳細は各自、パリーさんのブログでご確認いただきたい。
PGPで暗号化されていたアーカイヴを解凍したあと、パリーさんはそのことをTwitterに投稿し、またそのツイートのURLをウィキリークスにメールした。それから20分もしないうちに、ウィキリークスから声明が出された、とパリーさんは報告している。その「声明」が、当ブログのこのシリーズの (1) で触れている、ガーディアンに対する非難の声明である。声明のURLを再掲しておこう:
http://www.twitlonger.com/show/cq0suv
このあと、ガーディアン側から反撃があったのだが、パリーさんのブログにはそれについての記載はない。Twitter上で私に確認できる範囲では、WL支持者らはガーディアンからの反論を無視するか、けなすかしているようだ。その反撃の要点のひとつが「8月4日にガーディアンの編集長とジュリアン・アサンジが会って話をしていた」というもので、またジュリアン・アサンジが自分の主張にとって都合のよくない事実を伏せていた、ということになる。
ともあれ、パリーさんのブログに戻ると、パリーさんが解凍に成功した旨をツイートしてから1時間もしないうちに、今度は @Nin_99 さんがネットに、墨消しの施されていない公電をアップロードした。さらに2時間後には、Cryptome.orgにもアップされた。
Cryptome.orgについては、少し説明が必要だろうか。最近では事故後の福島第一原発の上空からの写真(無人偵察機のもの)の高解像度版をまとめてアップしていたので日本語圏でもその名が言及されることが多かったと思う。福島第一のほか、ミシシッピー川の氾濫で敷地が浸水したフォート・カルフーン原発の写真などもアップされていたので、それを見た方も多いと思う。ここは1996年、つまりWikileaksが始まるずっと前からばりばりに活動している「情報の自由」のサイトだ。ウィキペディアの解説がコンパクトでよい。
http://en.wikipedia.org/wiki/Cryptome
ウィキリークスを立ち上げる際、ジュリアン・アサンジがCryptomeのジョン・ヤングにも相談していたことは、Cryptomeが容赦なく公開したメール類で明らかにされている。
http://cryptome.org/wikileaks/wikileaks-leak.htm
http://cryptome.org/wikileaks/wikileaks-leak2.htm
一方、Cryptome自身はWLについて「CIAのフロントだ」と判断していたし、WL支持者がCryptomeのサイトを標的にするなど、両者の関係は良好とはいえなかった。
http://www.wired.com/threatlevel/tag/cryptome/
閑話休題。
アーカイヴを解凍したパリーさんは、それから1分ほどガクブル状態で固まっていた、ということを回想しつつ、次のように述べている。
Several "unauthorized" copies have long existed outside of the ones that Wikileaks and the official media partners have. ...
いくつかの「非公式の」コピーが、ウィキリークスと公式の提携先メディアの外側に、長く存在してきた。
これは例えばノルウェーの「アフテンポステン」がなぜか入手していた「全文書」のことなどを指すのだろう。(→そのときの当ブログエントリ。あと当時の英語圏でのツイートまとめを見返すと、例のロシアの反ユダヤ主義者、シャミル・イスラエルが深く絡んできたのも同時期だ……。)
アフテンポステンの件について、当時、エフゲニー・モロゾフ(ベラルーシ&米国)は次のように述べていた。
で、パリーさんのブログだが、彼の記述は、このあたり、ほとんど首尾一貫しておらず、断片の羅列のようで、読むのが大変だ。
パリーさんは元々ガーディアンの記者たちに非常に批判的なのだが、このくだりでは突然、ジェイムズ・ボールやヘザー・ブルックを批判したくなったらしい。個人がどういう意見を抱こうと、どういう意見を表明しようと自由なのだが、ノイズが多いと読みづらくてかなわない。(なお、ガーディアンが聖人君子ではなく「策士新聞」なのは周知のことだ。それは他の新聞でも同じこと。タイムズはカネで動く広告代理店のマウスピースになることがけっこうよくあるし、リベラル面したインディペンデントは北アイルランドとアイルランドについては恐ろしいほどに保守党右派のマウスピースだ。NYTはCablegate公開前に米国務省にお伺いを立てたし……みたいなのは言い出せばきりがない。)
その箇所を通り過ぎると、次のような記述がある。
The week before this "Cablegategate" story broke, Domscheit-Berg made a big public show by claiming to have destroyed a large trove of Wikileaks documents because 'Wikileaks couldn't keep data safely'. Then apparently he went back to some members of the media to explain to them exactly how to add 2 and 2 together in order to guarantee that sensitive Wikileaks data would be publicly released in an unsafe way.
この「ケーブルゲイト・ゲイト」の件が明るみに出る前の週、DDBがウィキリークスの文書を大量に破壊したと主張し、世間で大きな話題となった。彼の言い分では、「ウィキリークスはデータを安全に保っておくことができない」というのだ。それから彼は、メディアの人たちのところに戻り、取り扱いに注意を要するウィキリークスのデータが、安全でない方法で大々的に公開されるよう確実にするために、2に2を足す方法を説明した。
……なんか、よくわからんですね。私もそういう「ハッカーたちのけんか」には関心ないので調べようという気にもならないし、よくわからんです。ただの翻訳屋の私ではなくもっと書ける人に期待してください。
このあとHBGaryの話とかも出てきて、個人的にはますます関心のない方向に行くので(ウィキリークスが誰からどう攻撃されているかなど、ほんとにどうでもいい。外部から攻撃されるまでもなく、ジュリアン・アサンジの巨大すぎるエゴに食いつぶされて自壊しているのだから)、文字列は追っていても意味はとってません。最後はガーディアン(とデイヴィッド・リー)への批判。
というわけで、パリーさんのブログは、まあ、興味のある方は全文読んでみても損はない文章だと思います。情報としては、重要なことは (2) で日本語化した分でカバーできてると思います。
で、(1) に戻りたいのですが……時間かけてちょっとづつ書いてる間に、情報古くなっちゃったかも。でも、また次回。
http://tomwatson.typepad.com/tom_watson/2011/09/the-end-of-wikileaks.html
※この記事は
2011年09月05日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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