さっきテレビで「プルートで朝食を」が6月10日から公開というCMをやっていたのでとりあえず。東京ではシネスイッチ銀座にて。
http://www.elephant-picture.jp/pluto/(配給会社のサイト:「愛と感動のロードショー」)
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD8882/index.html
http://www.flix.co.jp/movie/T0004485
http://www.sonyclassics.com/breakfastonpluto/(公式:英語)
http://www.breakfastonpluto.co.uk/(公式:英語)
配給会社のサイトでは薔薇の花をしょって何か大変なことになっているこの「自己のアイデンティティについて悩む青年」(キリアン・マーフィーが演じる)についての物語、英国メディアでのレビューを見る限り決して評価は高くないのだが、題材は性同一性障害(<多分。原作も読んでいないので厳密にはわかりませんが)と、IRAのテロリズムおよびそれに対する英治安当局のマッチョイズム、および、深いところではアイルランド問題(「北アイルランド問題」というよりも)だ。しばらく前にIMDBから予告編を見たが、「深いところとかはどうでもよさげな気がする」と前提して見に行くと、絶賛できる映画であるような予感がしてならない。
だいたい、IRAの出てくるアイルランド人のフィルムメーカーの映画について、英メディアが見るべきものを見て記事を書くとは思わないし。(あたしゃひねくれているので。)
ガーディアンの映画評(★★☆☆☆):
http://arts.guardian.co.uk/filmandmusic/story/0,,1684709,00.html
情報源としてけっこうよさげな英語のレビュー:
http://www.futuremovies.co.uk/review.asp?ID=427
監督のニール・ジョーダンは1990年代初めに、似たような題材(同性愛というか、性別という問題と、政治的暴力)で『クライング・ゲーム』を作っている。これは見直しとかないといかんな。。。日本で公開されたとき、単に私が幼かったんだと思うが、最後のどんでん返しであるはずの部分が映像を見てすぐにわかってしまって、あとはただぼーっと画面を眺めてた記憶がある。当時はIRAとかにも関心なかったし、英語(のセリフ)の理解も不十分だったし。
ガーディアン映画評で、スティーヴン・レイ(V for Vendettaでアイルランド系警部を演じた渋い俳優)の
ところで、ひょっとしたらこの映画、V f vよりよほどうまく「アナーキズム」や「暴力」を描いているんではないだろーか、というところで少し期待してみる。
配給会社のサイトにある監督コメントより:
あなた方はこうあるべきだ、ということを強要しようとする不快なイデオロギーが蔓延するなかで、バーに入っていくとその店が爆破される。そんな世の中でどのようにして生き抜いていったらいいのか?
_
……
_
私は20代をダブリンとロンドンで過ごしました。アイルランドにおける政治的暴力は人々の生活を破滅させました。私が興味を抱いたのは個々人がそれにどう対処してきたかという点でした。
ニール・ジョーダンは1950年生まれなので、20代といえば1970年代だ。
日本では案外知られていないが、70年代のアイルランドは、北も南もなく、「政治的暴力 political violence」、つまり「政治的動機を有する暴力」、すなわち「テロ」のドツボだった。ただ南ではその行為の頻度が、北より低かった。それでもまったく平和だったわけではない。
http://en.wikipedia.org/wiki/History_of_Dublin#Northern_Troubles
Dublin was mostly unaffected by the Troubles (a civil conflict that raged in Northern Ireland from 1969 to the late 1990s), with the exception of several bombings in the early seventies, in particular one on Talbot street in 1974. The Dublin and Monaghan Bombings on May 17, 1974 were a series of terrorist attacks on Dublin and Monaghan in the Republic of Ireland which left 33 people dead (26 of them in Dublin), and almost 300 injured, the largest number of casualties in any single day in The Troubles. Although no organization claimed responsibility for the attacks at the time, loyalist paramilitaries from Northern Ireland (in particular the UVF) were widely blamed. In 1993 the Ulster Volunteer Force admitted they carried out the attacks. It has been widely speculated that the bombers were aided by members of the British security forces.
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Other occasions when the Northern conflict impacted on Dublin were 1972, when angry crowds burned down the British Embassy in Dublin in protest at the shooting of 13 civilians in Derry on Bloody Sunday (1972) by British troops, and 1981, when Anti H-Block Irish republican protestors tried to storm the new British Embassy in Ballsbridge in response to the IRA hunger strikes of that year. After several hours violent rioting with Gardai, the protesters were dispersed.
つまり、北での英軍の行動に怒った群集が暴徒化したり、北アイルランドのユニオニスト/ロイヤリスト/プロテスタントの過激派武装組織が、紛争全体で最大規模の爆弾テロをやったりしていた。
(紛争全体で最も多くの人を殺したのはProvisional IRAだが、一度に最も多くの人を殺したのは、19年後にようやくUVFが自分たちの犯行であることを認めた、この「ダブリン・モナハン爆弾」である。ちなみに、この事件では誰も起訴されていない。)
政治的暴力ではない方の重要なテーマ、性自認については、1970年代の状況を詳しく書いたページは探せない。(というか『ジギー・スターダスト』『ロックンロール・スーサイド』『ロッキー・ホラーショー』などポップカルチャーにいろいろある。)とりあえず法的側面とかは:
http://en.wikipedia.org/wiki/Gay_rights_in_the_United_Kingdom#1970s
なお、薔薇をしょってる主演のキリアン・マーフィーは、先日カンヌでパルムドールをとったThe Wind That Shakes Barley(ケン・ローチ監督)でも主演していて、ワタシ的には今すぐ見たいのはローチの映画なんだが、どっちかっていうと。
公式のサイト@ソニー・ピクチャーズ(英語)ではHistorical Backgroundの解説もあり、そこではシン・フェインのサイト(<だから英国であらかじめ扱いの熱が低いのかもね)とBBCのhistoryのthe Troubles特集ページ、PBSの番組のページがリンクされているので、そこらへんを一通り読んでから見に行くといいかも。
あと、監督インタビューではCandideに言及しているので(これは「なるほどー」だなぁ)それも。
※英語で読むなら:
http://www.literature.org/authors/voltaire/candide/
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ニール・ジョーダン監督作品でテーマが関連しているもの2作:
『ブッチャー・ボーイ』はDVDはなくてVHSだけ。これ、日本での劇場公開が流れたんだよね。
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転記前トラバ:
from:
http://filmandlife.seesaa.net/article/19918096.html
「28日後…」の主役でブレイクしたキリアン・マーフィが、 「バットマンビギンズ」の悪役リーアム・ニーソンと再共演。 今回は完璧なゲイに扮して、母を探して三千里の旅に出ます。 監督は「ことのおわり」など、秀作揃いのニール・ジョーダン。
2006 年 06 月 27 日 13:19:44
※この記事は
2006年06月06日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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