kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2006年07月18日

正義より優先される和平、そして「テロ組織」UDA (1)

6月30日に下書きのフォルダに入れてた記事をアップ。長いので2分割する。
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変な話だ。彼はその組織のメンバーであることを認めていなかったのに、その組織から追放された。まるで「結婚していないのに離婚された」ような話じゃないか。

「その組織」とはUlster Defence Association (UDA)、英国のthe Terrorism Act 2000で、その組織のメンバーであるだけで違法となる、と定められた「特定組織」(テロ組織)のひとつである。(ちなみにロイヤリスト/プロテスタント系。)最近はテロ行為より、麻薬密売や商店からのショバ代などでかなりがんばって稼いでいるギャング組織という点で目立っているかもしれない。

「彼」とはIhab Shoukri、基本的に白人優越主義者の組織であるUDAにおいては「珍しい(unlikely)」ことに、「白人」ではない。父親がエジプトから亡命してきたエジプト人(コプト教徒だそうだが)で、母親が北アイルランドの人で、弟のAndreとともに、UDA幹部……だと言われている。

弟の方はUDAの「旅団長」の立場で英国政府と交渉したりもしているが、兄の方はUDAのメンバーであることを認めていない。しかしロイヤリスト筋や治安筋は、兄も弟も両方ともUDAの幹部であるとしている。

このShoukri兄弟が、この6月、揃ってUDAから追放された。

Why UDA expelled 'unlikely loyalists'
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/5101420.stm

この記事に「最近はUDAも変わらなきゃということでやり方を変えている。かつてなら銃を持った男が『この国から出て行け』と言うか、あるいはもっと悪い事態になっていたはずだ」というくだりがある。つまり、「悪いこたぁ言わねぇから出てけ」式の「追放」は、生まれ変わったUDAはやらない、ということだ。(UDA元幹部の「狂犬」ことJohnny Adairは脅されてスコットランドに逃げて、それだけじゃ足らなくて警察の目の前で妻を一発殴るなどして刑務所に入ったりしている。)

Shoukri兄弟の追放の原因は、どうやら、金の稼ぎ方があまりにひどかったということらしい。明らかに犯罪行為でしかないことで、金を稼いでいたのだから。しかも、大金を賭けてスったり、豪遊したりと、相当派手だったらしい。

基本的に、UDAは派手なのを嫌う。(昨年10月に射殺された「ドリス・デイ」ことJim Grayもやたらと派手な男だった。)しかしShoukri兄弟の場合、ダーティな彼らは「クリーンなUDA」にとっては邪魔な存在でしかない、ということだ。それゆえに、UDA指導部は彼らと縁を切った。

http://www.timesonline.co.uk/newspaper/0,,2765-2242015,00.html

このタイムズ記事↑は服役中のAndreが、刑務所のUDAウィング(<こういうものがある。トラブルが発生しないように、刑務所で受刑者は組織別にまとめておかれる)から移動させられた、ということを見出しにしているが、見出しになっていない部分で今のUDAのやり方の裏に何があるのかを端的に説明している。つまり、英国とアイルランド両政府からの補助金と、ビジネス界からの投資を、貧しいワーキングクラス・ベルファストに呼び込みたい。それゆえ、「犯罪とは無縁の、クリーンなUDA」になる必要がある。(19日のスラオさんも合わせて読むべき。)

非合法の武装組織が、停戦することによって非合法というステータスを免れたばかりか、そのコミュニティの代表として行動する。それだけではなく、他からもそういう扱いを受ける。

また、同じ記事に、Shoukri兄弟の生い立ちについても書かれている。子供のころに父親を交通事故で失い、ベルファストで人種差別にさらされたが、ユーモアのセンスとボクシングで切り抜け、ルックスのよい弟(<ほんと。オリエンタルな香りの男性用香水の広告に出てそうな風貌)は職業モデルとなり、子供たちを支援する活動にも取り組んでいたが、重犯罪に関わったことで方向性が変わり、UDAに加わった……という過程を歩んでいるのだそうだ。

一方で、この3月にベルファストで警察の強制捜査が行われたときに、仮釈放中だったIhabが逮捕され、IhabはUDAのメンバーシップで起訴されたが、その裁判は証拠不十分(証拠が弱すぎ)でcase droppedになった(6月9日)。

Ihab ShoukriがUDAから追放されたのは、この10日ほどあと(6月20日)のことだ。

というあたりで幕引きかと思っていたら、29日にBBCで「再起訴」との報道があり、6月30日にはDaily Irelandで「起訴見送り」の報道だ。

Shoukri charges will not stand in court
http://www.dailyireland.com/home.tvt?
_scope=DailyIreland/Content/News&id=8462&opp=1


これがまた、話がややこしいのだけど、
The Public Prosecution Service will be forced to drop charges of Ulster Defence Association membership against the leading loyalist Ihab Shoukri because the organisation is not specified, legal sources have confirmed.
The 32-year-old was remanded in custody yesterday, charged with UDA membership.
However, it is unlikely he will be convicted on this charge because the British government recognise the organisation's ceasefire.


つまり、Ihab ShoukriのUDAメンバーシップについてを問う裁判ができないのは、UDAが(「テロ組織」として)specifyされていないからだ、と。英国政府はUDAの停戦を認めているからだ、と。

2004年にPIRAメンバーが非主流派リパブリカンの男性を拉致したときにも、「PIRAのメンバーシップ」についての起訴は見送られた(PIRAの停戦のため)。それと同じことである、と。

つまり、最初っから(3月に逮捕したときから)、メンバーシップでは立件は無理ってことじゃん。IhabはUDAのメンバーシップを否定しているけれど、それが嘘である(彼はUDAのメンバーである)と法廷で明らかにしたところで、それを「罪」とすることはできない、なぜならUDAは停戦していて、その組織の一員であるというだけでは、違法にはならない扱いになっているのだから。(the Terrorism Act 2000においては、指定組織のメンバーであるだけで違法と規定されている。しかし公式に停戦が認められた組織についてはそうではない。それによって「停戦」を促そうとしているのだが。)

何か、非常にムダなことをしているように思えるのは気のせいか? そもそもあまりに弱い証拠でしか起訴できなかった、つまり弱い証拠しかないのに法廷に持ち込んだということも、意図がよくわからないし。(いや、北アイルランド関連ではよくある話か。。。)

しかしこの「なし崩し」具合……。犯罪者を犯罪者として問うことのできない法律と司法ってのは、「戦争犯罪者ブッシュが裁かれないのはなぜだ」ってのに限らない。北アイルランドでこれがあるのなら、例えばルワンダやアンゴラでもあるだろうし、バスク/スペインでもあるだろう。誰かを殺した者が、服役という形で罪をあがなわなくてもよいという法律が作られ、過去の「テロ行為」を問わないことによって、明日の「平和」を――武力を伴った衝突や攻撃のない状態を――実現する、という方向。つまり、peace before justiceだ。

後半へ続く・・・
後半へ続く・・・

※この記事は

2006年07月18日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 06:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | todays news from uk/northern ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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