仕事関連で「注目された人」っていう区切りでリストみたいのを作っている。東京スター銀行さんの新頭取(6月に就任)=邦銀初の外国人頭取でしかも史上最年少(43歳)もリストに入っている。
んで,このリスト,漢字文化圏ではない国の人の場合はアルファベットの綴りを示すことにしたのだが,はて,困った。東京スター銀行さんのサイトを拝見しても,英語ページがなく(国内業務のみだから?)「タッド・バッジ」さんの綴りがわからない。バッジはだいたい見当がつくが「タッド」?「バッジ」だって自分の見当が正しいのかどうかわからない。
とりあえずググる。「タッド・バッジ」ではどこまで見てもカタカナ表記のみ。うう,時間のロスが膨らむ。
適当なところで見切りをつけて,「Tokyo Star Bank」で英語記事を当たってみることにした。(<最初からそうしろよ。)そしたらずらずらと出てくる出てくる。一番上に来てるのは,意外にもThe Timesの記事だ。
……へ?Toddさん?「トッド」さんじゃん!
自分が米語に弱いことをこんなに実感したことはない。米語な人なら「タッド」=Toddって,するっと思いついたことだろう。
ちゃんちゃん。でもまだ終わらない。
じゃあ映画俳優のTom Cruise(米国人)は「タム・クルーズ」かっていうとそうじゃない。Mark Twain(米国人)のTom Sawyerだって「タム・ソーヤ」じゃなくて「トム・ソーヤ」だ。
“英語”はToddは「タッド」,Tomは「タム」なら「ローマ字読みするから……」なのだが,それもまた違う。
ToddとかTomとか,あるいはdogとかpocketとかbodyとかの“o(オウ)”の音,発音記号で書けば「o」の右側にひげがあるというか,手書きの小文字のaのようなあれは,米語では確かに「ア」に近い感じなのだが,英語圏すべてでそういう音で読まれるわけではない。例えば英国でははっきりと「オ」だ。だからToddは「トッド」だしTomは「トム」,dogは「ドグ」でbodyは「ボディ」だ。bodyなんて,例えば車では「ボディ」と表記されるけれど,スタイルのよい人物を表していう「ナイスバディ」は「バディ」だ。everybodyだって「エヴリバディ」だ。(←これは私も中学校1年生から刷り込まれているので,英国で周囲の英国の人が「エヴリボディ」と言っても,自分では「……バディ」としか出てこない。反射のレベルなのかな。)
「正しいカタカナ表記は1つだけ」ということはなかなか言えない。
英語圏以外の人名とかはまたこれとは別な話。(最近もテニスの「クリスターズ」または「クライシュテルス」で困りましたが。)
※この記事は
2003年07月21日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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