「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2011年06月18日

「ネブラスカの原発がレベル4」というのは誤報です。(付:「レベル4」と書いたハワイのサイトについて調べてみた)

16日夜、TweetDeckの画面内に断続的に「ネブラスカの原発でレベル4」という話がRTで流れてきた。英語だけのものもあれば、英語と日本語が並んだものもあった。

その時間帯のGoogleリアルタイム検索のキャプチャ(画像クリックで原寸):


私が見ていたいくつかのツイートには明示はされていなかったと思うが、「レベル4」というのはハワイのニュースサイトの記事の見出し(上のキャプチャ画面では、上から4つ目)にあった文言だった。

なぜハワイなのか。自分はアメリカの地理には詳しくないが、ネブラスカとハワイが離れていて、ネブラスカにはネブラスカの地域メディアがあることくらいは知っている。それに「レベル4」が「国際基準、INESのレベル4」であるならおおごとで(どんな「安全厨」でも、「事象」ではなく「事故」として扱うことになるレベル)、米大手メディア(ABC, CNN, CBS, MSNBCといったテレビ局やWaPo, NYTのような新聞、ロイター、AP通信、ブルームバーグのような通信社……)どころかBBCなど米国外のメディアも即座に報道するだろう。

しかし、何時間か様子を見ていたのだが、BBCの北米のページでは、オバマが「リビアでの軍事作戦は米国の法律で決められた手続き的に問題ない」(議会を通してないことが問題視された)と述べたとか、浮気相手に下半身の写真を送っただの何だのくだらないきっかけで辞職するとかいうことになったくだらない民主党議員の話など(トップニュースがこういうくだらないニュースのときは、「何かもっと重要なことを隠蔽している!」という思い込みが加速する)、特に緊急でもなさそうな(何時間も前からずっとあるような)ニュースが並んでいるだけで、「ネブラスカで緊急事態」みたいなニュースはなかった。Twitterでも、@BreakingNewsをはじめ、速報系での情報はなかった。

よくわからん、と思いつつTwitterを見ていたら、@hirofuminakanoさんもこの件でひっかかっておられるほか、@BB45_Coloradoさん、@Premordiaさんも調べておられる。

そういった方々が、それぞれ別々に調べていたときのツイートをまとめたものが下記。(後から@Asch_JPさん、@ala_laさんの調べもののツイートも加えた。)

「米ネブラスカ州の原発でレベル4」という《噂》について
http://togetter.com/li/150411


それぞればらばらに検証・確認をしていたのだが、同じ結論にたどり着いた。いかにしてその結論に至ったかはTogetterを見ていただくとして、結論だけ言うと、ハワイのニュースサイトの言う「レベル4」はINESのレベルではなく、しかも米国の基準では「レベル4」とは呼んでいない(「4番目のレベル」ではあっても、「レベル4 Level 4」という呼び方はしていない)。さらに、その「4番目のレベル」は4段階の最低のランクである(最も緊急性が低い)。つまり「レベル4」自体が誤報。

それが間違ってLevel 4と伝えられたのがそもそもの問題だった。しかも写真を見る限り、川の氾濫で敷地(の少なくとも一部)は冠水しているようだし、問題の原発の上空は飛行禁止になっているし(理由は「放射能漏れがあるから」ではなく、「狭い空域に見物人やマスコミが殺到すると危険だから」だそうだが)……といった「状況証拠」的なことで、「深刻な事態である」という前提ができていたので、「Level 4で深刻な事態」→「INESのLevel 4」という思い込みを誘ったのだろう。

実際、「レベル4だ」と言っていたのは、「ハワイのニュースサイト」(詳細後述)1件だけなのだが、災害や事故についてこういう用語を正確に扱えない(扱おうとしない)メディアは信頼するに足りない。

で、Togetterでまとめた段階ではつっこんでる余裕はなかったのだが、その「ハワイのニュースサイト」について見てみようと思った。

問題の「ニュースサイト」は、Hawai'i News Dailyという。
http://hawaiinewsdaily.com

サイトにはAboutのページがない。とりあえずwhoisしてみたのだが、RegistrantがDomains by Proxy(会社名)ということ以外は何もわからない。誰が運営者なのか、どのような目的なのかなど何もわからない。

トップページにはそのときどきのニュースが並んでいるが、特に福島第一原発事故に熱心なようだ(下のkwoutキャプチャでは撮れていないが、右肩にLive Stream from FukushimaとしてYouTubeのフクイチのライヴカメラのプレイヤーが埋め込まれている)。


キャプチャした範囲の下には、マリファナ合法化についてのコーナーもあり、その関連の情報発信や議論にも熱心なサイトだと判断できる。

ページの最下部にはWP Super CacheというWordPressのプラグインへのリンクがあるので、WordPressで構築されたサイトなのだろう。

で、問題の「ネブラスカでレベル4」の記事だが:
http://hawaiinewsdaily.com/2011/06/nebraska-nuclear-plant-at-level-4-disaster/

現在は次のようになっている。


これの第2文が、元々は "... has declared a Notification of Unusual Event (NOUE)." ではなく、 "... has declared it a level 4 emergency." となっていた。

Googleのキャッシュなどもすでに修正されたあとのものになっているので、丸々コピペして転載しているところを探してみた。これがまあ、trutherやらラプチャーがどうのこうのやらで楽しい旅になったのだが、ともあれ、下記がその一例。



で、 "... a level 4 emergency" を "... a Notification of Unusual Event (NOUE)" に書き換えるような大幅な修正を加えておきながら、「修正しました」の告知もないし、一方で記事の見出しは "Nebraska Nuclear Plant at Level 4 Emergency" のままなのだから、意味がわからない。

少なくとも、誠実な報道・報告とはいえない。

でも、こういうのはWordPressで運営されているような個人ニュースサイトではよくある話……、と思ってトップページまで戻ると、書き手は何人もいることがすぐに確認できる。それどころかBy Staff Reporterというクレジットの記事まである。

じゃあ、完全な「ブログ」ではなく、ジャーナリスティックなバックグラウンドのある「報道機関」の体裁を取っているということ?

でもAboutもなければContactはメールアドレスだけだし、Whoisしても登録者情報が出てこないようにしてあるとか。

いやあ、限られた時間と労力を割く意味ないでしょ、このサイト。これでは、信頼性はblogspot.comのブログと変わらないと判断せざるをえない。Togetterでまとめた段階ではとりあえずサイト名から判断して「ニュースサイト」と表していたけれど、「ニュースサイト」なんかじゃないよね。

ともあれ、「ネブラスカでレベル4」という記事の筆者としてクレジットされているのはTom Burnettさんという人だが、この名前をクリックするとURLが「ドクター・トム」で:
http://hawaiinewsdaily.com/author/dr-tom/

このページにも何らプロフィール的なことは書かれていないので(単にトム・バーネットさんの書いた記事の一覧が出てくるだけ。これは他の書き手についても同じ)、どのようなバックグラウンドの人なのか、何もわからない。ひょっとしたら物理学の博士号を持ってる人かもしれないし、医師かもしれない。あるいは学校で「ドクター」とあだ名される高校生かもしれない。「ドクターN松」的なニックネームかもしれない。そもそも実在しないかもしれない。

この人はここのところずっと継続的に、Fukushimaについて書いているが、ビンラディン殺害作戦についても鋭い分析を加えてみたり、昨年12月には「ドクター・トムのテロとの戦い処方箋」なる記事を書いていたりする。

このサイトの書き手としての最初の記事は昨年12月のもので、テーマは「テロ対策」だ。「ワシントン・モニュメント」を閉鎖せよ、という内容の小論で、私には特に知識がないので書いてある通りにしか読み取れないのだが、「論」というよりmusing(日本語でいう「エッセイ」、心に浮かぶよしなしごと、的な)という印象だ。なお、特に誰かに取材したというふうでもない。

というわけで、福島第一原発の状況を熱心に追っていて、ネブラスカでの4段階で最も低い緊急度の警戒が発令されたことを「レベル4の緊急事態」と呼んだ人がどんな人なのか、実際のところよくわからない。推測、憶測はいくらでもできるが……。

なお、この「ハワイ・ニュース・デイリー」にはTwitterのアカウントもあるが、フォロワーは17人で、ツイートはすべてサイトの更新のフィード(WordPressのプラグインでツイートが更新されている)。
https://twitter.com/hndnet

ともあれ、「なぜ大手マスコミは報道しないのか」な方面のみなさんが参照したくなる見出しをつけた記事は、ページビューは稼げてるみたい。





Togetterをアップデートした。
http://togetter.com/li/150411

最初に「レベル4」のソースとなっていた上記の「ハワイ・ニュース・デイリー」というブログが記述を修正したので、「レベル4」騒動はおさまった、と思うのは甘いんだろうなと思ったらやっぱり甘かった。

何しろ全米トップニュースが限りなくどうでもいい話題で(下半身ネタで辞職に追い込まれた議員の話)、「原発に洪水」という危機的な状況は、その「危機」がまだ発生していないということもあるにせよ、ほとんどニュースになっていないという状態らしく、そうなると「政府は都合の悪い話を隠蔽している」という説がはびこる。

(いや、ほんとにあの議員の話は、何であんなに連日大騒ぎなのか意味がわからない。あんまりうんざりしたので米ニュース系のフィード1個切ったけど。ここで「ピューリタニズム」云々でしれっと語れるほどツラの皮が厚かったらなあw)

で、昨晩深夜@gohsuketさんがご教示くださっていたURLにある文章が、数時間前もTwitterで回覧されていた。「オバマ政権」をAdministrationではなくRegimeで語りつつ、「オバマ政権が隠蔽を指示」という「陰謀説」を流布する文章だ。

いわく、IAEAがロシアの連邦原子力エネルギー局 (Russia's Federal Atomic Energy Agency: FAAE) に情報を提供し、それに基づいて、FAAEが報告書を準備した――オバマ政権は、ネブラスカに位置するフォート・カルフーン原発での炉心溶融について一切の情報を報道すべからずという「完全で全面的な」緘口令を……な、なんだってー(棒)

この記事には肝心の「公表前のFAAEの報告書」なるものへのリンクが見当たらない(当該の単語にリンクされているのは用語解説だったりするし、文章のほかの部分に埋め込まれている可能性を検討するも、ハイパーリンクが多すぎて探せない)。どうやってそんなものをこのサイトが入手したのかも不明。

サイドバーに「イルミナティ」とか「世界新秩序」とかの文言が並び、「偽ブロガーのアミナはCIAだったんだー」とかいう記事がよく読まれているようなサイトで、オバマ政権をObama regimeと呼びつつ、「なぜマスコミは報じないのか! 情報統制があるからだ!」と盛り上がってるくらいのことはあるのだろうと思っていたが、IAEAだのロシアだのが出てくるとは。。。

なお、現況のまとめとしては、米Yahoo!のContributor Networkというプロやセミプロの書き手による記事を集めたサイト(一種の「クラウドソース」の実践)でのチャールズ・シミンズさんの記事がよく整理されている。

Nebraska Nuclear Plant Faces Missouri River Flood Fight
Charles Simmins, Yahoo! Contributor Network
Jun 17, 2011
http://www.associatedcontent.com/article/8155945/nebraska_nuclear_plant_faces_missouri.html

記事の要旨:
nofrills ネブラスカのフォート・カルホーン原発、現況。情報が非常に手際よくまとめられている。職員らが土嚢を積むなどして重要な施設への水の浸入を防いでいる。OPPDの説明では敷地は完全に水に囲まれているわけではない… / Nebraska Nucl… http://htn.to/67gzUa at 06/18 09:21
nofrills …原子炉の建屋も使用済燃料棒が入っている建物も今のところ洪水の被害はない。冷却のための川からの取水に問題はなく、職員は洪水で流されてきた瓦礫による破損に注意している。電源は確保されている(外部から供給)。気象予報では水位上昇は暫く続くと。 http://htn.to/67gzUa at 06/18 09:28

※この記事は

2011年06月18日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 08:05 | TrackBack(0) | i dont think im a pacifist/words at war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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