「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2011年05月24日

ローズマリー・ネルソン爆殺事件、インクワイアリの報告書が出た。

1999年3月15日、午後1時ごろ。北アイルランド、アーマー州、ラーガンで、一台のシルバーの車が爆発した。車の持ち主はローズマリー・ネルソン。40歳で、3人の子の母親だった彼女は、「北アイルランド紛争」という状況のなか、一方の勢力から「連中のお抱え」と見なされる弁護士として著名な存在だった。

「紛争」という局面が終わって、「紛争」の時代に発生した、特に真相が解明されるべき4つの殺人事件が選ばれた。刑務所内で囚人が囚人に射殺されるという事態となったビリー・ライト殺害事件、武装組織に属していない一般市民のカトリックの青年が、警官の見ているところでプロテスタントの暴徒にぼこぼこにされたロバート・ハミル殺害事件、そしてこのネルソン弁護士爆殺事件と、もうひとつ、ナショナリストの被告の弁護で「腕利き」として知られていたパット・フィヌケン弁護士射殺事件である。このうち、フィヌケン事件はインクワイアリの条件をめぐって遺族と話し合いがつかず、まだ何も開始されていないが(今年中にも開始されそうな雰囲気ではある)、ライト事件、ハミル事件は既にインクワイアリが終了して最終報告書が公表されている。(いずれも「現場はタコだったが、組織的な何かがあったとは認められない」との結論だった。これらとは別に進められたブラッディ・サンデー事件のインクワイアリの結論も同じ、「組織ぐるみではなかった」論である。)

そして2011年5月23日、ローズマリー・ネルソン事件についても、インクワイアリの最終報告書が公表された。
http://www.rosemarynelsoninquiry.org/
http://www.official-documents.gov.uk/document/hc1012/hc09/0947/0947.pdf


23日の午後3:30(現地時間)から、英国下院で北アイルランド担当大臣による説明とシャドウの質問、ならびに議員らの一問一答が行われ、この報告書は公開された。Twitterで伝わってきたその様子は、下記にまとめてある(英語のみ)。
http://chirpstory.com/li/1527

しかしセッションが30分押しになり、おかげで私はライア……例の著名フットボーラーの浮気報道(での名前への言及)差し止め要求騒動 (super-injunction) をめぐっての非常にスリリングな討論をたっぷり堪能した。討論はスポーツだってことは英下院ではほんとによくわかる。

ついでに、議場で議員がそのフットボーラーの名前をはっきり述べ、議長に叱られるという「英国式なし崩し」の瞬間もリアルタイムで目撃した(これで先例作ったから次からは……ってのが慣習法のおそろしいところで)(←冗談ですよ)

しかし、ネルソン事件インクワイアリ報告書の公表に先立つ北アイルランド担当大臣(保守党のオーウェン・パターソン)の説明は、最後まで聞いていられなかった。このくらい、北アイルランド扱ってて、相手は保守党だということをわきまえていれば、驚くべきことではないのだが、それにしてもひどかった。

以下、ツイートから:
nofrills 来る。 at 05/24 00:05

nofrills ローズマリー・ネルソン爆殺事件インクワイアリの最終報告書について、NI担当大臣が国会で報告しています。 http://is.gd/bV7O5r 今まだ本題に入ってません。 at 05/24 00:07

nofrills Oh s**t. at 05/24 00:08

nofrills 報告書は大筋、組織的collusionの証拠はないが、警察にrogue elementがいたという方向でまとめられており、NI大臣はローズマリー・ネルソンを守れなかったことについて謝罪した。 at 05/24 00:11

nofrills Oh stop that please. at 05/24 00:14

nofrills 何をどさくさに紛れてlaw and orderの話してんだよ。「RUCの犠牲」? ローズマリー・ネルソンが爆殺されたことについての話をする場で? at 05/24 00:15
nofrills ああ、やはり。ブラディ・サンデーのインクワイアリーで「国家としての組織的な指示はなかった」的な結論になったのがベースになっている。 at 05/24 00:16

nofrills おおお、ショーン・ウッドワード(シャドウNI大臣)がすごいこと言ってる。 at 05/24 00:18

nofrills でもこれがシャドウの見解ではしょうがないのよ。これが公式の報告書に盛り込まれない限りは。 at 05/24 00:19

nofrills ウッドウォ−ドは「証拠」となりえた書類が紛失また処分されていたことを国会の場で明言している。報告書そのものを読まないと、なんとも言えないな。700ページ…あうあうあう at 05/24 00:23

nofrills 議長が割って入った。ショーン・ウッドウォードに対し、「このようなことはいいたくない」という前置きのあと、「既に割り当てられている時間を大幅に超過しているので、早く切り上げてほしい」。 at 05/24 00:26

nofrills パトリック・マーサーの質問に続いて、マーガレット・リッチーの質問だが、つらそうだ。直接知ってるからなあ。 at 05/24 00:31

nofrills ネルソン弁護士は、殺される前の年に訪米した時に、「自分は生命を狙われている」と述べていたはず。 at 05/24 00:33

nofrills いやあ、無理。これ以上保守党のこの人の理路に合わせた説明を聞かされていたら発狂する。結局「国家は常に正しい」論で、「悪いのは殺された被害者である」と説明している。冗談じゃない。 at 05/24 00:34

nofrills 頭からおふとんかぶってしくしく泣く前に、もう一仕事。 at 05/24 00:45

nofrills Rosemary Nelson Inquiry Nelson report has been chirpified! http://chirpstory.com/li/1527 at 05/24 01:18


実際の報告書には、大臣のかけた(ほぼ「時代錯誤」と言ってもよいような)バイアスはないとのことだが、まだ中を見ていない。何しろ700ページもある。まるで電話帳だ。でも北アイルランド紛争、セクタリアニズム、暴力、そういったものについて、これ以上は望むべくもないほどの資料だ。

だがやはり、国会の場でどう語られたか、というところから私は始めたい。もうすぐハンサードが上がるだろうから、それを見ながら。

なお、大臣が謝罪したこと(profoundly sorryと述べたこと)は、それ自体は大きなことだ。しかしその言葉は、残念ながら、昨年のブラッディ・サンデー事件のサヴィル報告書のときのデイヴィッド・キャメロンの謝罪や、つい先日のダブリン城での英女王の "I extend my sincere thoughts and deep sympathy" にはまったく及ばない。というのも、profoundly sorryと述べた直後に、butでつないで「RUC(警察)は悪くない」との論陣を張ったからだ。(こういう政治家を見ると――保守党にはこの手合いが多いのだが。ジェレミー・ハントとかジョージ・オズボーンとか――、デイヴィッド・キャメロンは「うまい」と思うし、北アイルランドのDUPのピーター・ロビンソンなど「天才」じゃないかと思う。この人たちは「信頼されるにはどうしたらいいか」をよく知っている。)

「RUC(警察)は悪くない」のかどうか――実際に報告書にそのようなことが書かれているかどうかを確認できる人はそう多くはあるまい。報告書は誰にでも公開されているけれど、それをいちいち確認するのはジャーナリスト以外では、関係者、家族・親族や、研究者・オタクくらいだ。

ただ、RUCという組織は2002年に抜本的に改組され、PSNIとなっていて、厳密には今はもう存在していない。そのくらいのことは誰もが知っている。

そしてその新生の警察、PSNIの二代目の警視総監であるマット・バゴットが、警察トップとして、ネルソン家の人々に謝罪している。

これが、「警察が悪かった」の認識でなくて、何なのだろう。

そんなこんなで、ちょっとよくつかみかねている、というのが正直なところだ。

UPDATE:
ベルテレ

※この記事は

2011年05月24日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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