「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2011年04月02日

というわけで、4月1日ですた。

今年の4月1日については下記に書いたのだが、本場直送情報を。
http://nofrills.seesaa.net/article/193640181.html

英デイリー・テレグラフが「トップ10」を選んで掲載。自分のところのはややスベった感じで(労働党党首が手続き的に結婚していないという話……そんなのネタにするほうの頭の中がくだらない)、今年のベストはやはりガーディアンということになるらしい。作りこんでたもんなあ……。
http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/howaboutthat/8421249/Top-10-April-Fools-Day-hoaxes-2011.html

1位はガーディアン、続いてグルーポン、YouTube、Gmail Motion(これは笑った)……あれ、Googleの「Comic Sansデフォルト化計画」がない(笑)。GoogleがComic Sansを標準にするので、手始めにHelveticaが放逐されている、という衝撃的な光景。右にキャプチャをはっておきます(クリックで原寸表示)。

テレグラフのほかにも2本くらい、英語圏で「エイプリル・フールのまとめ」の記事は見たんだけど、特に何か、というのはなかったような……BBCはラジオで何かしたらしい(国内芸能ネタ系でわかんなかった)。新聞ではガーディアンのとインディペンデント(クリスチアーノ・ロナウド)と、あとミラーが何かやってるというのがあって……。それとニュースでは、日銀短観の発表しなおしの件が、TEPCOの度重なるデータ修正に人々が連日ずっこけているときにはちょっとあれよねー、「おーい日本、大丈夫か?」的な。

北アイルランドは異様に静かだったらしいのだが(でもナショナリストのメディアは相変わらず、ばりばりの分離主義ジョークだというのがもうね)、格の違いを見せ付けたのがアイルランド共和国のメディアで、特にRTEの「下院のバーが生まれ変わります」ネタとか(昨年、首相がラジオのインタビューでぐだぐだになってて、「酔っ払ってんじゃねぇの」疑惑が出た)、「英女王訪問中は昔の(植民地化されていた時代の)名前に戻す条例案が通った」とか、あのライアンエアが「子供の搭乗を禁止して快適な旅を」とかいうのをやりだしたとか(しかも真に受けたアメリカ人がいたとか)、息を吐くようにネタを飛ばす人々の余裕が。(笑)

余裕といえばジェレミー・スカヒル氏の「The Nation(リベラル左派)からThe Weekly Standard(ビル・クリストル&ネオコンのみなさん)に移籍しますた」ネタだ。

これ、The Nationまでグルになって展開し、あまりにすごかったのでついつい「まとめ」てしまった。何人騙されていようと、そのまま続けるのがマッチョですごい。元CIA(バリー・アイズラー)まで「もうやめて、あなたのフォロワーのライフはゼロよ」的なことを言ってきてるのにかまっちゃいない。きゃー、オトコマエ。RTの文言もうまく編集し、すべてが「ネタ」であることを隠蔽。あんまり徹底しているので、私も途中で一瞬、軽く不安になったほどだ。

なお、ジェレミー・スカヒルはTwitterでは常にこんな方向性のノリだが、まとまった文章はすごく真面目なので安心して読んでいただきたい。というかめちゃくちゃ重いです。

Blackwater: The Rise of the World's Most Powerful Mercenary Army
Jeremy Scahill
156858394X


ほかに見てておもしろかったのがMashable掲載のインフォグラフィックス。アンケートに回答した人の何パーセントが、職場の上司に4月馬鹿を仕掛けるか、など。

さて、以下は今年のベストのガーディアンのprankの解説(のようなもの)。

元ジャーナリストの牛津の姐御は「わかりやすすぎて4月1日っぽくない」と評していたが、ガーディアンは毎年わかりやすい(去年のゴードン・ブラウンの「坊ちゃま育ちのもやし野郎が上等だ、かかってきな」ポスターとか)。今年は、今月末に迫ったウィリアム王子の結婚式を前に過熱するメディアの躁状態(主にタブロイドの)を、全力でおちょくるという内容。ガーディアンが得意とする「ライヴ・ブログ」の形式で、画像や音声を取り込みつつ、午前7時半から11時半まで、全部「ネタ」。(笑)

7時半に「おはようございます。今日から毎日、ロイヤル・ウェディングについてライヴ・ブログでお届けします!」云々で始まり、途中、いつも通りに「記者からのツイート」や「ニュース速報」を挟みつつ(何も起きていないのに!)、実際にこんなのずっとレポートしてたらどんだけくだらないか、ここまでのリソースを割いて見せてくれる。

というかこれ、日本ではあれよね、元アイドルが薬物でパクられたとか、歌舞伎役者が飲んで暴れたとかで独占されたテレビのニュースそのもの。(歌舞伎役者のほうは私は一切見てなかったのだけど、元アイドルのときは夕方のニュースを時々つけてたので、どういう状態だったかは、まあ知ってる。)

可笑しかったのが、7:53の「フランスが鵜の目鷹の目で狙っている」(リビア情勢、日本の原発処理への皮肉)の項目で、"Paris-based political analyst Avril de Poisson" が出てくるところ。その後は8:15の更新の過剰さとか(やりすぎw)、8:24のメラニー・フィリップス(の文体模写)とか、立て続けすぎて疲れる。

10:06ではなぜか、インディペンデントのロバート・フィスク(中東のベテラン記者)がケイト・ミドルトンのドレスのレポートをしていることになっているし、一方でデイリー・メイル(王室ネタと健康ネタと女性ネタで食ってる、みのもんたの番組のような新聞)が「ロイヤル・ウェディングで交通渋滞が引き起こされる」と批判的キャンペーンを張ってることになってるし、10:29にはTrutherが登場(意味わからん)、10:37では「武装アナーキストが占拠」

そして10:52にはついに……
Speak of the devil, here's an intriguing couple of tweets from Wikileaks:

@wikileaks Guardian royal wedding story is CIA-funded lie. We will be suing for malicious libel.

@wikileaks Looking for spare sofabed in the Stockholm area in coming weeks, any offers?


さらに11:29には……(これほぼ実話だろw)
Prince Andrew, meanwhile, has negotiated some cobalt mining rights in Azerbaijan for William and Kate, though it's understood that they'll have to front up some of the cash themselves. More soon.


そして最後は11:38で(英国では、エイプリル・フールの冗談は午前中に終わらせることになっている):
Well, this is rather awkward. It seems we're going to have to interrupt the live blog, perhaps indefinitely. We've received a communication from Buckingham Palace suggesting that some of the contents of this blog could contravene the Treason Felony Act of 1848.

また歴史と伝統の、「100年以上前の法律のせい」か!(大爆笑)

そしてコメント欄でも、ひっかかった人とか悪乗りする人とかが相次いでいるのだが、お茶ふいたのが:
Hope you'll also be reporting on the honeymoon in San Seriffe....

BBCの「スイスでは今年もスパゲッティの収穫が最盛期を迎えています」に次ぐ歴史上の大名作、「サン・セリフ島」(1977年、ガーディアン)!

オナカイッパイっすw

一方で、「ロイヤル・ウェディング」のネタでは、Twitter上でこんな感じのがいくつか。(@fieldproducerだけじゃなくて、何人かジャーナリストが「挙式まで1ヶ月を切っているのに!」という調子でURLをペタリしてツイートしてた。)





※この記事は

2011年04月02日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼