諸君、私だ。今日は諸君に聞いてもらいたいことがある。われらが敏腕エージェントたちのひとり、我孫子の敏腕エージェントから報告が入った。例の、「BBCが被爆者を嘲笑した」と日本で報道された件についての現地調査である。
なお、われわれはウィキリークスではないので、これを読んでも諸君はアメリカ合衆国の司法省から情報開示を請求されるということはない。安心して読んでもらいたい。
Introduction for English readers:
Good afternoon, everyone. I have this for you today: One of our men (and women) in anywhere-you-want, Our Man in Abiko, has reported about the BBC's QI-gate in Japan, where it was reported that the British TV comedy quiz show had "laughed at" an Atomic bomb victim. His extensive research will give you another precious clue to how you learn to stop being unforgivablly offensive when you don't have to.
FYI we are not Wikileaks, so you will not be under any threat from the USG. Keep calm and read on.
HOW I LEARNED TO STOP WORRYING AND LOVE QI
Saturday, 22 January 2011
http://ourmaninabiko.blogspot.com/2011/01/how-i-learned-to-stop-worrying-and-love.html
私は如何にして心配するのを止めてQIを愛するようになったか
ジョークが滑った場合、とりあえずすいませんでしたって言って次に行くのが一番であろう。われらが敏腕エージェントも、そういうことになったらそうしていただろう。しかし……
動画(BBCがYTにアップしているもの……1月24日午前中に確認したところ、これが「非公開」になっている。「BBCの謝罪」=「公開しておいてはならない内容」=取り下げ、という判断だ。検証したい人は「非合法アップロード」を使うしかなくなってしまっている):
金曜日、われらが敏腕エージェントは、BBCでの原爆に関する冴えないジョークについてのツイートをいくつか目撃したのだが、そのときは何とも思わずに流していた。しかしながら、この話題はそれはもうものすごい速度で広まって、ナナメ上の方向、つまり「お義母さん」のところにまで届いていった。土曜日には、敏腕エージェントは義理のお母さん(68歳)から質問責めにあったのである――イギリス人は、一体原爆の何をあんなに面白がってるの? って、え、原爆、ですか? というか……
(ここでわれらが敏腕エージェントに少し説明のお時間をいただきたい。義理のお母さんは次のようにして意見を形成する。お義母さんはテレビを見る。そのテレビが伝えるのは読売新聞の意見である。その読売新聞は、永田町記者クラブ、つまり政府系ナントカ (the guvinmint) の意見を伝える。その永田町記者クラブは読売新聞の意見を伝える。そしてその読売新聞は、同新聞社が知るところの一般大衆からの意見を伝える。すなわち、テレビでやっているものを。)
さて、では一体何があったのか、検討していこう。われらが敏腕エージェントは、広範な調査の結果(2度もビデオを見たのだ)、次のように報告している。
1. 十分に理解できることだが、原子爆弾というトピックは、日本人にとって、慎重に扱わねばならないトピックである。
2. しかしながら、風刺(サタイア)の対象とならないトピックなど、存在しない。
3. 番組に出演している芸人たちは、原爆もまた風刺の対象とならないということはないということ以上には、いかなる意味においても、日本の原爆被害者(被爆者)をネタにしてはいない。
4. 笑いの標的は、日本ではない。笑われているのは英国のどうしようもない鉄道であり、その状況について「だって、でも」と言って何もしようとしない連中である。例えば、暇そうなホームの案内アナウンス係。だらだらだらだらと同じことばっかり繰り返しやがって、電車を使うこっちはむっちゃ苦しい思いをしてるというのに。わが敏腕エージェントが、以前、9時10分のレスター発セント・パンクラス(注:ロンドンの駅のひとつ)行きの列車に乗っていたときのことである。車掌がビュッフェで無料でコーヒー、紅茶をご提供いたしておりますと告げた息も吐ききらぬうちに、「なお、誠に申し訳ありませんが、湯沸し故障のため、この列車では紅茶のサービスはありません」と。
5. 「正しい爆弾、間違った爆弾 the right/wrong kind of bomb」のジョークは、「間違った種類の雪」のために列車は運休します、という、広く知られた言い訳のもじりである。
6. われらが義母はなお、読売仕込みの怒りでカッカしていたが、われらが敏腕エージェントは英国の風刺の歴史について、またユーモアのセンス、スティーヴン・フライ(注:番組司会者)の左派としての定評、そして(番組では)被爆者(注:山口彊さん)のことは最も運に見放され、それでもなおかつ最も運に恵まれた人だったと讃えられているのだ、といったことをざっくりと伝えようと、全力でがんばった。その結果、さすがに義母である、しばらく寝かせておくのが最上策であると判断してくれた。
それから、義母はよっこらしょと、自身のいつもの場所へ戻っていった。テレビを見るために。
7. この件についてより詳しくは、Japan Probeを参照されたい(なんとびっくり、即時反映のYes/No投票つき!)
8. すばらしい分析と、文句のつけようのない日本語訳については、とにかくここをクリック、それが一番。それから、そのページを「英国人はテレビで被爆者のことを嘲笑している」と思ってとんでもなく激怒している隣の日本人に見せてあげること。しかし、彼らを悪く思ってはならない。彼らはそのトンデモをゴミウリから拾っただけなのだ。
というわけで、エージェント・ユウコくん、ご苦労だった。特別ボーナスとしてねこ缶を送らせよう。
Thanks a lot, @outmaninabiko, for your kind permission to share your clear explanation. Now I'm wondering if the Leicester train served coffee when there was clearly something wrong with hot water.
※この記事は
2011年01月24日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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