「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2010年12月16日

【18日目】Wikileaks米外交文書大公開〜「石油産業(BP)」&保釈を認めさせなかったのはスウェーデンではなく英国 #WL_JP

先日も「ナイジェリアの石油」(シェル)に関連する文書が出てきていたが、今日は中央アジアの石油がトップだ。


こういう話はこのような「断片」で読むのではなく、まとまった分析で読まないと私はわけわかんなくなるのでチェックしていない。

で、こういう石油企業の動きについてよく持ち出されるのがいわゆる「陰謀論 conspiracy theory」だが(「世界を自分たちで支配し続けようとする勢力によう、何らかの陰謀がある」という説)、それら「陰謀論」の多くは、よく言って思考ゲーム、悪く言えばただの時間の無駄で、そういうのを持ち込まれるたびに「はいはいロスチャイルドロスチャイルド」と受け流すおかげで私などは「あちら側」の手先ということになっているかもしれないが、そんなのはどうでもいい。そういうくだらない「陰謀論」の話の多さがノイズになることによって本当の「陰謀」が見えなくされることを私が警戒していることに変わりはない。(本当の「陰謀」をマジメに取り上げたところで、例えば「BBCはCIAの手先」とかいうわけのわからない結論を導き出さないとカタルシスを得られない人たちもいるけど。)

というか、今日のガーディアンのこのトップページには、とてつもない「陰謀」を扱った記事があるのだ。

※「とてつもない」は形容詞であるというより枕詞。

キャプチャ画面の右下の方のこれである。



Julian Assange bail decision made by UK authorities, not Sweden
Vikram Dodd, crime correspondent
guardian.co.uk, Wednesday 15 December 2010 20.55 GMT
http://www.guardian.co.uk/media/2010/dec/15/julian-assange-bail-decision-uk

以下、この記事について、昼過ぎに連続してTwitterに流したものを、整形して再掲しておく。

ガーディアンが15日付で「ジュリアン・アサンジの保釈決定に反対する申し立てを行なったのは、スウェーデン当局ではなく英当局」と伝えている。記事を書いたのは刑法・犯罪の分野が専門のヴィクラム・ドッド記者。

英国の検察は、単に、スウェーデン検察の代理としてロンドンの法廷で仕事をしていた……わけではない、ということが、ガーディアンがスウェーデン検察に話を聞いて判明したとのことだ。

ちょう泣けるわ、これほんと。小説ではよくある筋だし、北アイルランド紛争見てればこのくらいは免疫あるはずなんだけどさ……

14日にウエストミンスター治安判事裁判所で保釈との判断が示され、2時間後に申し立て(上申、上訴、控訴)の手続が開始されたのは既報である。

その手続きはアサンジに対する逮捕状を出したスウェーデンではなく、英国の検察(CPS)によるものだった、というのが新情報だ。

つまり、14日の情報の混乱(「ABCやBBCの"誤報"」=「スウェーデン当局は上に行く手続を取らない」 http://twitter.com/jimsciuttoABC/status/14724501241602048 )は、現場の記者が、スウェーデン当局の意思決定に基づいて一報を流したことによるもの。「誤報」じゃなかったわけだ。

※ 「そんなことじゃないかなー」と思ってた痕跡が…… (^^;) → RT @自分: 誤報というか、情報撹乱があったか何かのようです。大元から。(12-15 02:34) http://twitter.com/nofrills/status/14734887521099776

14日に、Twitterで積極的に情報流してたガーディアン編集部が、閉廷後いっせいに退けたのも(あの編集長なら「展望」・「観測」のツイート出しそうな局面だったのに、翌日まで沈黙していた)、単に終業時刻だったというわけじゃなかった、ということだ。

記事 http://bit.ly/dPNkUt によると、アサンジの弁護団は「英検察の判断」と知らされてショックを受けている。英検察は弁護団に「あれはスウェーデン側の意思ですよ」と伝えていた……いくら英国好きでも、これがきつくない人はいないと思う。私も寝込むレベル。

というわけで今日、16日にHigh Court(高等法院)に行くのはスウェーデン当局ではなく英検察です。どういう理屈でそんなことが可能なのか、基本知識がないので私にはよくわかりませんが、ケン・ローチの北アイルランドものの映画でも見ればわかるのかも(ヤケクソ)。

記事 http://bit.ly/dPNkUt は、スウェーデン検察の広報の人が実名出したインタビューも含む。

「決定は英国の検察によるものです。今朝、英検察から、保釈決定に対する申し立ては完全に、英検察のマターであるとの確認を得ました。スウェーデン検察は英国内での決定の権限はありません。事態の扱いは100%英当局次第です」

その結果、木曜日の高等法院には、スウェーデンから提出される新たな証拠または論点はない、とスウェーデン検察広報の人。

「これらの手続に、スウェーデン当局はかかわっていません。当方は、保釈については何ら意見 view はありません」

ガーディアンではスウェーデン検察のこのコメントについて英検察に確認を取った。英検察は、アサンジの保釈決定に反対する決定についてはすべて、英検察の法律家によるものであると認めた。

「外国への身柄引き渡しのケースではすべて、保釈に係る決定については常に、英国内の検察当局によってなされる。外国の司法権限にある検察官が……そのような決定を行なうことは、実際的ではない」

ガーディアンでは既に、木曜日に高等法院に提出される正式な控訴理由書を見ている。それによると、アサンジは身柄引き渡しをするかどうかの決定がなされるまで(何ヶ月もかかる可能性がある)身柄を拘置施設に置いておかねばならないとしている。……どこに身柄を引き渡すのか、書いてくれ。こわいよママン (;_;)

これと並行して、テレグラフでこんなのが出ていて:
WikiLeaks: Swedish government 'hid' anti-terror operations with America from Parliament
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/wikileaks/8202745/WikiLeaks-Swedish-government-hid-anti-terror-operations-with-America-from-Parliament.html

さらにアメリカではこうなっている。

※この続きは http://twitter.com/#!/gloomynews/ または下記で。

そこらへんの過程について、全部ではないけどかなり十分な量の情報は日本語で、私も含め何人かで自主的に出している。下記Togetterまとめ参照。
http://togetter.com/li/79275


というわけで、ジュリアン・アサンジの今日の出廷はロンドンの高等法院 (High Court)、現地11:30 GMT (日本時間では20:30)。またガーディアンがlive blog立てると思う。
http://www.guardian.co.uk/



追記:
「昼間に連続ツイートした」として上に述べたガーディアンのヴィクラム・ドッドの記事、発端は元政府法律家で現在は法律系ブロガーのカール・ガードナーさん (@carlgardner) の調査であるとのこと。同じく法律系ブロガーで弁護士のデイヴィッド・アレン・グリーンさんと、先日までイヴニング・スタンダードにいたジャーナリスト、ポール・ウォーさんの会話。






追記:
ガーディアンのlive blogで、英検察(Crown Prosecution Service)が当事者となって抗告を行なったことが確定された部分。下記リンク先の9.35amのところ。
http://www.guardian.co.uk/news/blog/2010/dec/16/wikileaks-latest-julian-assange-bail-appeal

9.35am:
英国の検察庁(CPS)は、火曜日の保釈決定に対する抗告を行なったのは自分たちであると認めた。この決定はアサンジの弁護団側からは批判されている。

CPSのスポークスウーマンは次のように述べた。
It is standard practice on all extradition cases that decisions regarding bail are taken by the domestic prosecuting authority.
外国への身柄引き渡しのケースについてはすべて、保釈に係る決定についてはその国の検察当局によって行なわれることが通例である。

It would not be practical for prosecutors in a foreign jurisdiction, who are neither present in court when decisions are made, nor familiar with the domestic laws concerning bail, to make such decisions.
決定がなされるときに法廷におらず、また保釈に係る当該国の国内法に通じてもいない外国の司法当局の検察官が、そのような決定をなすことは、実際的ではない。


アサンジ弁護士のマーク・スティーヴンスは、これは「きわめてイレギュラーなこと」であると述べた。

彼はPA(通信社)に次のように語った。
The question we have to ask is if they weren't talking to the Swedes, who were they talking to? It's highly irregular because, as (director of public prosecutions) Keir Starmer said on Radio 4 this morning, the CPS are supposed to act as the agents of the Swedish authorities and they appear to be acting without the knowledge of their director or the Swedes.
我々が問わなければならないのは、彼らがスウェーデン側と話をしていないのであれば、誰と話をしているのかということだ。これはきわめてイレギュラーなことだ。というのは、(検察庁トップの)Keir Starmerは今朝(BBCの)Radio 4で、英検察はスウェーデン当局の代理人として行動することになっていると述べていたから。なのに、英検察は、指示を与える側、つまりスウェーデン当局は知らないところで動いているようだ。

It remains opaque and unclear as to who actually gave the order to oppose bail.
では一体誰が、保釈に反対する指示を出したのかということになると、まるではっきりしないし不透明である。


スウェーデン検察庁長官のMarianne Nyは、彼女のウェブサイトで次のような声明を出している。
At a hearing on Tuesday December 14, Westminster Magistrates' Court in London decided that Julian Assange should be granted bail. The decision was appealed by the British prosecutor.
12月14日(火)、ロンドンのウエストミンスター治安判事法廷における審問で、ジュリアン・アサンジは保釈されるべきとの決定がなされた。この決定は、英国の検察官によって異議申し立てがなされた。

As I have already stated, I cannot at the moment provide information concerning the development of the matter, as it is handled by British authorities.
既に述べたように、私からは現状、事態の進展に関しては情報を提供することができない。なぜならば、これは英国の当局によって扱われているからである。

※この記事は

2010年12月16日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 15:59 | TrackBack(0) | Wikileaks | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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