まさにウィキリークスの本領発揮、事柄としては「うん、知ってたよ」と誰もが言うことであっても、それを裏付ける「証拠」がつかめず、また当局は否定――北アイルランドではありふれたこと。ガーディアン、本日の公開ファイルはその北アイルランドである。
【資料】パット・フィヌケン殺害事件とは。
http://nofrills-nifaq.seesaa.net/article/114128411.html
※追記予定
記事見出しが読める程度の分割キャプチャ:
ガーディアンがトップページにパット・フィヌケンの笑顔の写真(メディアではまず使われないような家族写真のようなもの)を持ってきて既に数時間経過しているが、BBCは、現地日曜の夕方に更新されたきりだ。下記キャプチャでは北米のサーバでの時間で記録されてしまっているが(タイムスタンプがET)、現地時間では "12 December 2010 Last updated at 18:12 GMT" である。
BBC News NIがこういうときは、次にどかんと来るんだよな、多くの場合。長年の経験からして。ただ、BBCでNI報道(特に調査報道)をしていた重鎮が、2007年のNI自治政府再起動とブレア退陣を境に、BBCで仕事をしなくなってしまったらしいので(定年とかかもしれない)どうかわからない。BBCでNI紛争についての調査報道で最後にあった大きな仕事は、オマー爆弾事件の実行犯の携帯電話の通話をGCHQが追跡していた、という件だろう。もう2年も前だ。
ベルテレさん。中はまだ見ていないのだが、トップページでは「みんな知っていますが何か」の件、または "I can't believe it's not the IRA" の件(こればかりは、"Chuck Norris CAN believe it's not butter" のチャック・ノリスでも、信じられないだろう)が一番上、間に事件事故報道をはさんで、次がフィヌケン事件。

Belfast, Northern Ireland, UK, World, News, Business, Entertainment | BelfastTelegraph.co.uk via kwout
UTV。こちらも So what? なニュースがトップ。今日ほどこのヒゲメガネの写真を見たくない日はないのだが、がまんして見ましょう。間に事件事故報道があって、フィヌケン、という構成はベルテレさんと同じ。

UTV | Northern Ireland News, NI news, Local News Belfast, Ireland, world news, NI video UTV Live, Watch news online, headlines, breaking news, latest stories u.tv via kwout
ほんで、この人たち(シンフェインの2トップ)が、IRAによる銀行襲撃の計画を知っていながら、しれっと和平プロセスの交渉を続けていた(この時期は、「IRAの武装解除」が焦点だった)ことは、別に驚きでもなんでもないし、この程度のことが露見したからって政治的に立場をなくすとか失脚するとかいうことにはなりえない、この2人に限っては。(あ、あとベルルスコーニも同じ系統の「最強の人」だ。)
そういえば今思い出したけど、ノーザンバンクの現金強奪事件のとき、むろんあんなことがあんなに手際よくできるのは北アイルランドではあの組織しかないという推測(UDAとかはいろいろとアレなのでああいうプランは立てられない、という冗談も含めて)がリアルタイムで支配的だったことは確かだが、それにしてもあまりに断定形すぎて、「断定するのなら証拠を出すべき」と私はモニタのこちらで思っていた。ちょうどイラクで「武装勢力の拠点とされる家」などががんがん爆撃・銃撃・急襲されていたころだ。「〜とされる」、「〜と考えられる」、「〜といわれる」などに辟易としていたことを覚えている。
その断定形の背後にあったのは、おそらく今回出てきたこの情報だ。これはUSとUKとRoIの間で共有されていたことだし、報道はそういうオフィシャルな筋からの情報を得てなされるものであり……。
というところでRoIのメディア。アイリッシュ・タイムズ。
フィヌケンの件はスルー。ノーザン・バンクの計画をGAとMMcが知っていたという件は扱いあり。
RoIでのこういう扱いを見て、「そうか、これは古い情報のふりをした新情報だ。本題は『シン・フェイン・リーダーシップは知っていた』ではなく、ティーショクがそういうことだと把握していたということか」と思った。ここらへんは、「ピース・プロセス (TM)」の裏が掘ればいろいろ出てきそうなところではあるので、選挙前にいろいろ政局にしたい思惑があるのかな(現在の北アイルランド和平は、現在の政権党FFが進めたもの)とも思った。
しかし、さくっと検索してすぐにわかってしまったのだが、ティーショクが把握してたということですら既報だった。(Politics.ieの議論参照: http://bit.ly/i2sxw7 )
となるとなぜ『シン・フェイン・リーダーシップは知っていた』が今クローズアップされているのかが「?」である。フィヌケン事件についてのマニンガム・ブラーの発言は新しいのに注目されていない……
それはやはり来るべき総選挙を前に、勢いづいているSFへの警戒だろうか……
※この記事は
2010年12月13日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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