「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2010年11月26日

アイルランドが笑いを取り戻しつつある。

http://www.irishtimes.com/昨日、アイルランドが笑っていないと書いたばかりだが、やはり既に笑いを取り戻しつつある。笑いジャンキーとしては限界のようだ。

アイリッシュ・タイムズのトップページに "We love the smell of an election in the morning" とあった(via kwout)。なんで朝から「選挙の香り」なんだよ(笑)。というか、これは、普通なら、love the smell of coffee in the morning 「朝のコーヒーの香りは最高」などという感じでよく見かける陳腐なフレーズだ。

どういうことかとこの記事本文を見ると "With another election inching ever closer, political junkies are in a state of high excitement." と書き始められていて、つまり「政治ジャンキー」は目覚めるとそこに選挙の話(ラジオでもテレビでも新聞でもネットでも)があるので大喜びしている、ということだ。記事の中身は、「政治ジャンキー」5人に聞く今後の展望。この5人が、politics.ieの中の人とかthejournal.ieの中の人(2つとも、私でもわりと頻繁に見ているアイルランド政治情報サイト)のようなハードコア揃いで(中には認知心理学のセラピストさんもいる)、みなさん、言語的にもかなりすばらしい。

アイルランドは小国で、アメリカのように肥大化し、商業化すらしている選挙ではないし、ちょっと今回はおもしろいかもしれない。「ジャンキー」じゃなくてもね。

早速、現職議員が欧州議会に行ってしまうので1議席あいてしまったドニゴール・サウスウェスト(海沿いの田舎)での補選が行なわれているのだが(今回の金融危機とは関係ない)、開票途中で得票率、シン・フェインが40%(当確)、現在の与党のフィオナ・フェイル(FF)が21%、野党FGが18%、Labourが10%と報じられている。
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-11843901

ドニゴールは元々シン・フェインが非常に強いし(北の海岸には幹部の別荘地があるなど、北アイルランドのリパブリカンとの関係が非常に深い)、この選挙区で当確を決めたシン・フェインの候補者は元々非常に人気が高い人だったそうで、シン・フェインの当確は特に大きなニュースではないという。(それでもUKのメディアで事情に疎い人は「ジェリー・アダムズ効果」とか書いてるみたいで、それはSFの思う壺。。。)→しばらく後になって、「この選挙区は評論家筋に言われているようなリパブリカンの牙城ではない。それゆえ注目すべき結果である」との情報も。

一方で、まだ開票途中なのでこの数値をそのまま受け取るわけにはいかないのだが、それにしても、今のこの情勢で、野党第一党のFGが、バブル発生・バブル崩壊・後処理の混乱の責任を負うべきFFを凌ぐことができていないというのは、うーーん、というしかない。アイルランドの場合、二大政党的な立場にあるFFとFGの2党(共和国成立以来ずっと、エイモン・デ・ヴァレラのFFが基本的に政権を担当してきたのだが、ときどきFG中心の政権ができた)は双方、中道右派で、どっちを選んでも同じという傾向はあるという。それに加えて、メインストリームの中道左派、つまり緑の党(現在FFと連立政権)と労働党は、ガチ左派から見れば「FFのバーティ・アハーンのネオリベ政策の共犯者」で、その左派の票がどこにいくかというと、ひとつはシン・フェインのようなマージナルな「極左政党」(といってもSFの「レフティスト」性は、1916年の宣言にあった「ソーシャリスト・リパブリック」で、まあ、何と言うか……)かもしれないが、もう少しマージナルではない「左派政党」が選挙を前に連合 (United Left Alliance) を組んだ、という記事も出ている。
http://www.irishtimes.com/newspaper/breaking/2010/1125/breaking37.html
the Socialist Party, the People Before Profit Alliance and the Tipperary-based Workers and Unemployed Action Group had come together


で、ドニゴールの東に位置する北アイルランドでは――ええと、北アイルランドって紛争があったり武装勢力が暴れていたりキリスト教原理主義がはびこっていたりするのは確かなのだけど、実はすごいんです、笑いの感覚が。「それをネタにして笑うか」みたいな。もう、何かおもしろくしないとならないってのは、うちらが玄関で靴を脱ぐのと同じくらいの「習慣」なんじゃないかというほど。あるいは、もっと無意識の「クセ」かもしれない。

で、その北アイルランドでは、ベルテレさんが「英国政府は緊縮財政でNIの予算もカット、RoIはEU/IMF支援受け入れと暗いニュースばかりですが、眉間にシワ寄せてちゃダメダメダメっ☆ みんな、おもしろいこと投稿してねっ(はぁと」みたいな無茶ぶり企画をしている。

Cheer up folks! Tell us a joke
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/local-national/northern-ireland/cheer-up-folks-tell-us-a-joke-15014526.html

いやあ、でも北アイルランドの人たちの「ジョーク」はこんなもんじゃないよ。。。今年の1月などは、若い男性が走っている写真に「アイリス・ロビンソンに追いかけられている」というキャプションがつけられたり、もうほんと、めちゃくちゃきつかった。



うわ、何かいま見たら、ベルテレさんにすごいのが来てた。
IRAとUVFがイラク戦争の支援に引っ張り出された。それぞれ1平方マイルの砂漠の土地を自由に使えという条件だ。

1週間後、首相がIRAの方に様子を見に行った。しかしそこには何もない。IRAの担当者は言った。「ああ、地下にね、作戦指令本部を作ってあるんですよ。病院設備もあるし、3か月分の食糧の備蓄もあります。監視ポストも武器庫もばっちりです」。

「なるほど、それはいい」と首相は言い、今度はUVFのほうを見に行った。こちらは砂漠のど真ん中に、赤レンガの建物を1棟作っている。「さて、どうなってるかね?」と首相は尋ねた。UVFの担当者は満面の笑みで答えた。「社交クラブを作りましたよ」。

※「社交クラブ」は、ロイヤリスト武装組織の活動拠点。参考資料はこちら

※この記事は

2010年11月26日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


posted by nofrills at 23:58 | TrackBack(0) | 雑多に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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