「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2010年11月03日

Twitterで理由なき大流行: Phil Neville

Twitterで、ふと見たTrending Topicsに意味のわからないものがあったときは、とりあえずクリックして確認してみることがよくある。右の図の例でいうと、「ブリジット・ジョーンズ」はどうせテレビで映画をやってるのだろうし、Sakineh Ashtaniさんは「不義密通」で有罪となり投石刑が宣告され、後にその罪は撤回された(らしい)ものの「夫の殺害」で有罪となり絞首刑が宣告され、11月3日にも執行されそうだというのでAvaazの署名のURLが飛び交っていたので理由はわかる。「高校で」とか「大学で」はいつもの「お題投稿」だ。「ミッドターム」は言うまでもなく米中間選挙。しかし、「フィル・ネヴィル」?

フィル・ネヴィルといえば、元マンUで現エヴァートンの主将のディフェンダーだ。試合で得点を決めたか、レッドカードをもらったか、あるいは最悪の場合怪我? それか引退表明(彼は30代である)。そんなことを思いつつクリックしてみると、なんじゃこりゃ。チャック・ノリスねたの改変ばっかりずらずらと……。と思いつつ少し遡ると、ランドン・ドノヴァンの「なんでフィル・ネヴィルがトレンディングしてんの?!」というtweetがRTされまくっている。

何かがあったな……。そしてさらに遡ると、出てきた。なんと言うか、その……。
Trying to single-handedly get Phil Neville trending. PHIL NEVILLE DESERVES RECOGNITION DAMMIT.
「たった一人で、フィル・ネヴィルをトレンディングさせる活動開始。ほんと、彼は過小評価されすぎ。ちょっとは注目されていい」

http://twitter.com/sincerelykirsty/status/29508915875

これを書いたのはカースティさんという女性だ(もちろん、エヴァトニアン)。彼女のこのTweetに早速呼応したのが、ソフィーさんという女性。最初はこの2人で「だよねー」的にやっていたところに、真面目な試合レビューが絡んで、すぐに「ガレス・ベイルはフィル・ネヴィルのパジャマを着ている」とか、「フィル・ネヴィルがいると音楽がより良く聞こえる」とかいったファントークが始まる。これらのファントークは5〜6人くらいのファンの間でRTされてぐるぐる回っている。これは別に何ということもない状況だ。こんな程度でトレンディングしたりはしない。

これらのファントークを、的確なRTでまとめ誘導しているのがソフィーさんだ。そうこうしているうちに、マットさんという男性から、the almighty Phil Nevilleというフレーズを含んだツイートが来る。これがあとあとまでRTされたり引用されたりベースにされたりしているので、これがすべての始まりだろう。この直後、今度はマリアさんという女性が、いきなり、チャック・ノリスねたを投下した――Phil Neville CAN believe it's not butter.(これの元ネタは、I Can't Believe It's Not Butter! という商品名のバター代用品。)おそらくはこれがきっかけで第一次爆発が起こる。

「フィル・ネヴィルに正当な評価を」という真面目な考えをもち、ばかばかしい言葉で武装したえばとにあんのみなさんが、この磁場に引き寄せられてくる。同時に、「フィル・ネヴィルをトレンディングに」計画の言いだしっぺのカースティさんが次々と、チャック・ノリスねたを投下し始める。チェイン・リアクションの開始である。

その後、えばとんのサポさんたちが断続的にランドン・ドノヴァン(今はアメリカに戻っている)に呼びかけるなどする中、主力は多分10人くらいのメンバー(正確に数えてはいない)で「フィル・ネヴィル最強伝説」がぐるぐる回され、ぐつぐつ煮込まれる。

特に計画の言いだしっぺのカースティさんと、いきなりチャック・ノリス・ジョークで登場したPED7さんが絶好調で、傑作を連発する。これを観客がRTする。次から次へと新たなねたが投下される。

そしてカースティさんが最初に「トレンディングさせたる」と言い出して1時間もしない11-03 07:40:53に、デイヴィさんが「ぎゃははは、フィル・ネヴィルがトレンディングしている(UKで)と投稿。

ここでえばとにあんがぎゃははは、おもしろかったね、じゃあねと言って解散していればこんなことにはならなかったのかもしれない。いや、えばとにあんさんたちが解散していても、ネタがあまりに面白おかしいので、外野の見物客が食いついて離れない。RTは減らない。ますますトレンディングする。「なぜフィル・ネヴィル?」「何かあったの?」という疑問も投稿され、それがますますトレンディングに拍車をかける。

臨界状態。ついにPhil NevilleはUKのトレンディング・トピックスの1位にまで上り詰める。

ここでまたネタが、古典的チャック・ノリスではなく新作ネタも加えつつ増加し(「ジャスティン・ビーバーは実はフィル・ネヴィルだった」とか「フィル・ネヴィルは空き時間にロイ・キーンを散歩させている」とか、モンティ・パイソンっぽいナンセンスがたくさん。英国好きにはたまりませんよ、ほんとに)、参加者も、アクティヴ・メンバーでおそらく20人、30人と徐々に増やしながら、えばとんのファンの人たちのきゃっきゃうふふは続く。「ガスコインはエヴァートンに来るまでは一滴も飲めなかった。エヴァートンでフィル・ネヴィルに鍛えられたのだ」とか、時系列の無政府状態はますますひどくなり、それに応じて爆笑率は高くなる。

ここで、そもそもの発端のカースティさんがまたのりのりで、I've created a monster... I AM GOD. とか書いて、ムードはますますアゲアゲになる。見てるだけの外野は「面白いけど一体何?」とかいう感じ。そう書き込むだけでますますトレンディングする。

ここまででそもそもの始まりから70分くらいだ。

20人か30人くらいのユーザーがいて、1時間程度かけて、みなが何度も同じ名前(単語)に言及していればそれなりに大きな話題になるのだなあ、というのが興味深い。

このあと30分くらいは大喜利状態だが、だんだん情報の幅が広がってくる。外部の反応(特にウィキペディア)を報告したり、ランドン・ドノヴァンに呼びかけたり。(なんか、TwitterのTTに上がったことをウィキペディアにいちいち書き込んだ人がいたのだそうだ。おいおいって思うけど。)もちろん、その間も「チャック・ノリス」的なネタ投下は絶え間なく続けられている。

この時点でもコア・メンバーは20人くらいで、RTでの積極参加を含めても30人程度だろう。そうこうしているうちに現地は夜中12時(日本で朝9時)になり、徐々に人々が離脱し始める。が、どうやら一部、TT入りしたことでどうしてもランドン・ドノヴァンに出てきてもらわなくては!という気持ちが高まったようだ。

こうして「チャック・ノリス」的な投稿が続けられる中、ついに11-03 09:24:00(英国時間で0時24分)……



これで大爆発。はははは。すべての始まりから2時間半ほど。

この笑いの波が引いたあと、全ての発端となったカースティさんが「もう無理、ランドン・ドノヴァンまで出てきて、手に負える事態ではなくなってしまった」と言っているのも、「フィル・ネヴィルは手に負えない」などのネタで返される……カオスである。


で、このまま続いてゆくのである。それが第一のまとめ。

理由なき大流行: Phil Neville
http://togetter.com/li/65439



で、ふつうこれで終わるんだ。だいたい12時間もすれば、こういうネタ系のトレンディングはおさまる。

しかし、12時間以上経過しても、収まるどころかますます盛り上がっている状態。

というわけで第二のまとめ。

続・理由なき大流行: Phil Neville tweets in one place!
http://togetter.com/li/65628



なんらニュース性なく、ひとりのユーザーがいきなり「彼に正当な評価を」とかって開始して、その友人たちが乗っかって、笑えるのでRTされて、あげくランドン・ドノバンまで巻き込んで大爆発した「フィル・ネヴィルをトレンディング・トピックスに上げる活動」において、フィル・ネヴィルはすっかり「チャック・ノリス」と化していて、もう意味などとっくにわからなくなっている。もうほとんど誰もそんなこと気にしていなくて、「チャック・ノリス化したフィル・ネヴィル」は世界中に拡散。このまとめには含めていないけど、スペイン語、インドネシア語、韓国語、オランダ語などイングランド・プレミアとつながりの深いorプレミアのファンの多い言語圏からの「何ごとですか」というツイートもたくさん。

しかも、言いだしっぺのカースティさんは第一線を退き、最初の謀議を行なったソフィーさんも「RT専門」に撤退しているのだけど、初期段階から参加していたPED7さんは何かのスイッチが入って暴走モードに入ったようで、制御不能状態。

そんななか、そんなこととわかっているのかいないのか、Once saw Phil Neville in the chippy in Crawshawbooth, Lancashire. He used to live there! He ordered Fish and Chips.「町のchippieでフィル・ネヴィルを見かけたことあるよ。フィッシュ&チップス頼んでた」…って、普通じゃん! チッピー(フィッシュ&チップス屋)で他に何頼むんだ! というのもあり、もう泣ける。

ていうか、なぜフィル・ネヴィル。

フィル・ネヴィルっていうところが、またツボるんだよね。

ちなみに、チャック・ノリスねたの改変はたぶん各クラブで特定のプレイヤーに当てはめられていると思う。うちは、いわなくてもわかるだろうけど、エブエさんです

↓よう、きょうだい、そう怒るなや。



See also:
「あぶなっかしいなあ」とか「髪型w」とか「いる意味なくね?」とかで言及され名前がTT入りしたアーセナルのデニウソン・・・ (10月25日)
http://togetter.com/li/62548

タグ:twitter

※この記事は

2010年11月03日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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