というわけで、米国の中間選挙だ。私はそれについて何か説明できるほどの基礎はないが、英語圏のニュース(映像ではなく、文字のもの)は一応横目で見る程度には見ている。今回は上院の選挙が何ヶ月も前から大きな関心を集めたが――ひとえに、なんとかというお金持ちが資金を提供している「俺たちリバタリアン(笑)」な脳内花畑のお茶会野郎のインプレッション向上計画ゆえに。それでも、メディアが「アホの坂田」のようなツラをした学歴詐称の痴れ者を追いかけ続けたのは本当に意味がわからないのだが――、結果としては、上院は民主党の辛勝、下院が民主党大敗、全体としては民主党大幅後退だそうだ。現地のテレビは、民主党(や、そのほかリベラル陣営の政党)の支持者は見たくなくなるような感じになっているらしい。
そんなこんなで「ふーん」と何となく見ているときに、「は?」と思ったのが下記のtweet。
カリフォルニアの州知事選挙については、共和党から立候補したeBayで知られる実業家(メグさん)が私財を投じて選挙戦を進めている、ということは知っていたが(上院に出た元ヒューレット・パッカードのフィオリーナと「女社長コンビ」みたいに扱われていたので)、対抗馬が「ジェリー・ブラウン」だとは知らなかった。上記のツイートでそれを知らされたときも、同姓同名なのだろうと思っていた。しかし!
特に理由なくすぐに見つかった記事が英国の報道なのだが、デイリー・テレグラフで "Jerry Brown, elected Governor of California in 1974. Re-elected last night" という見出しを見てびっくりした。ほんとにCalifornia Uber Allesの「ジェリー・ブラウン」かよ。30年以上経過しているのに!
1979年のデッド・ケネディーズ(以下、デッケネ)によるこの曲は、こんなふうに始まる。
http://www.azlyrics.com/lyrics/deadkennedys/californiauberalles.html
I am Governor Jerry Brown
My aura smiles
And never frowns
Soon I will be president...
実際には、ジェリー・ブラウンは大統領にはならず、知事を2期(1975−83)務めたあとオークランドの市長になって(1999−2007)、その後はカリフォルニア州のアトニー・ジェネラル(2007−)。ここで再度知事選に立候補して、メグさんをやぶって当選。
http://en.wikipedia.org/wiki/Jerry_Brown
年齢は……72歳ですってよ! 日本の政治家の感覚では特に高齢ではないし(でも「知事」としては高齢よね)、米国でも「民主党重鎮」とか言われる政治家はこういう年齢まで仕事していることがよくあるけど、ずっと続けているのではなく戻ってくるかね。
というわけで、California Uber Allesを元にしたデッケネの後年の曲、We've got a Bigger Problem Nowが頭をぐるぐると……。
でもこの曲は、「(州知事よりも)大統領がとにかくひどい、ほんとにひどい」ということをレーガン大統領について歌ったものであり、歌われた時期は、歌詞には出てこないが米国がイラン・イラク戦争でサダム・フセインを大々的に支援していた頃で(あ、でもアフガニスタンは歌詞に出てくる。イランのシャーも)うん、まあ、何というか……今もあんまり変わらんのう。。。ただ、今の大統領は本当に本当にひどかったブッシュではない、というだけで。
Fresh Fruit for Rotting Vegetables
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Cherry Red UK
- 発売日: 1999/05/04
- メディア: CD
Plastic Surgery Disasters: In God We Trust Inc
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Manifesto Records
- 発売日: 2001/09/11
- メディア: CD
さて、今回の選挙についておもしろかったのが、"iVoted" のキャンペーンだ。「投票することがクール」というイメージ作りが前回の大統領選挙以後続けられているらしい。TwitterやFour Squareでは、「投票しました」の申告で特別な画像が表示されたりバッジがもらえたりしたし(右の図はTwitterの #ivoted の画像)、実際に投票所に足を運ぶと「投票済」のステッカー(シール)がもらえて、それを見せると飲食店の割引サービスが受けられる、などの特典もあった(日本でも、投票所の出口のところで係の人に言えばもらえる投票済証明書で観光施設が割引になるなどのサービスが実施されていることもある)。
Twitterでは、「中学生・高校生だから投票はできない」という人たちがこの画像を表示させたくて "Did #ivoted ...?" とか、"#ivoted. jk lol" とか "#ivoted for Justin Bieber" とか、さほど意味のないことを書き込んでいたりもした。
投票済みのステッカーは選挙区(州)ごとにデザインがいろいろあったようで、Twitterユーザーがあれこれアップロードしてくれてるのを見ると……うーん、やっぱこういう小さいもののフォントの扱いとか、アメリカは大雑把だなあ。
そんなことはさておき、それらのtweetsを1ページで閲覧できるようにまとめてあるので、ヒマなときにでも眺めてみるとおもしろいかも。「民主主義」というものに対してどういう言葉が社会で共有されているか、まさに「生きた英語」のサンプルです。
米国、中間選挙で『投票してきました』の声&大手メディア速報
http://togetter.com/li/65398
私が印象に残ったのは、何と言ってもこれ。
rosa parks sat, so martin luther could walk, so barack obama could run, so our children can fly. #ivoted
http://twitter.com/b_money_z/status/29509994969
「ローザ・パークスが座った。だからマーティン・ルーサーは歩くことができた。だからバラク・オバマは立つこと(英語ではrun)ができた。そして私たちの子供たちは飛ぶことができる」。
すべての投票所が締め切られたころのガーディアンのトップページ:
※この記事は
2010年11月03日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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