昨日、アイルランドではOpposition(最大野党)のFine Gaelでいわば「党内クーデター」みたいなことがあって、政治ニュースが関心を集めていそうなタイミングなのだが、一番よく読まれているのは「フランス、敗退の危機」。もちろん、サッカーのワールドカップの話。
もう「なぜラ・マルセイエーズを歌うのか、あなたがたが」という素晴らしい光景が、本当に見られなくなってしまうのだろうかというくらいに、アンリのあの「神の手」はあまりに大きな禍根を残したのだが(「その前に、アイルランド代表やることできてなかったじゃん」というフラストレーションもすべて、「神の手アンリ」が背負うことになっている)、それにしても国内ニュースとかいろいろほかにあるだろうに、「フランスが崖っぷち」が一番よく読まれる記事になるほどとは…… (^^;)
で、このランキングをもう一度見てみたら、下の方にJapaneseってあるじゃないの……というわけで読んでみたのがこれ。
Japanese royal to spend time in Dublin studying English
DAVID McNEILL in Tokyo
http://www.irishtimes.com/newspaper/frontpage/2010/0618/1224272795431.html
書き出し部分はいわゆる「文章術」というか「読ませるためのキャッチーな書き方をしている部分」で、あまり真面目に読むような感じでもないが、日本の皇族がこの夏ダブリンに留学するということを伝える記事だ。
いわく、国際基督教大学1年生のプリンセス・マコが、ダブリンのユニヴァーシティ・コレッジで夏の語学コースに通う、と宮内庁が発表したとのこと。「プリンセス・マコはアイルランド文化に強い関心を抱いておられます」と「匿名のスポークスマン」は述べた、と記事は続き、その後、日本の皇室とアイルランドとの関係についての話になる。ここが興味深い。
The imperial Irish visit is part of a mini-tradition: Princess Mako's grandmother, Empress Michiko, was partly educated in Tokyo by Irish nuns – she studied Irish history, language and literature and is something of a Hibernophile. Empress Michiko speaks passable Gaelic, plays the harp and has been known to recite I See His Blood Upon The Rose by executed 1916 leader Joseph Plunkett as a party piece, according to Wherever Green is Worn , Tim Pat Coogan's book on the Irish Diaspora.
She is a famous fan of the Children of Lir and counts among her friends the poet Séamus Heaney, who she first met in Tokyo in 1987. During a state visit to Ireland in 2005, she and her husband Emperor Akihito dropped into the Nobel laureate’s home in Dublin. The shy 18-year-old daughter of Prince Akishino and Princess Kiko, Mako has grown up in an imperial cocoon, protected by one of Japan's most conservative and secretive bureaucracies.
つまり、美智子皇后は東京でアイルランド人の尼僧によって教育を受けたことがあり(聖心女子大のこと)、アイルランド史、アイルランド語、アイルランド文学を学び、アイルランド語は通じる程度に話すことができる。(すごい。)
そしてハープ(アイリッシュ・ハープ)の演奏ができ、1916年の蜂起(イースター蜂起)の計画者の1人として処刑されたジョーゼフ・プランケットの書いた詩、"I See His Blood Upon The Rose" を暗誦したことがある、ということがティム・パット・クーガンの「世界のアイリッシュ」という主旨の本に書かれている。
(それ、もろに共和主義ですがよろしいんでしょうか。)
記事はこのあと、プリンセス・マコの普段の様子というのがいかに日本国民に見せられないかといったことを説明している。そして、ダブリンでは通常のプロトコル通りの警備をすることになると宮内庁が説明し、記者が「じゃあアイルランド人の男の子と外出したりといったことは?」と質問すると「そのような質問にはご解答しかねます」と言われたという記述に続き、「現代の皇族で外国人とデートしたことがある人はいない」という記述(スコットランドで勉強してた元気なプリンセスはプロパーな「デートする」関係の人はいなかったのかな)、それから独自の理論で「男でなければ」論を展開したいわゆる「保守」陣営についての記述(「愛子様が外国に行かれて青い目の外人と結婚したら」云々と発言したとかいうこと。アイルランドも極右の「純血主義」はかなりものすごい)、最後に「女性天皇」についての議論とプリンス・ヒサヒトについての説明。
そういえば、皇太子がオクスフォード大学に留学していたとき、そこらへんを歩いてたら日本人観光客(女子大生)と遭遇し、当時の流行言葉である「うっそー、ほんとー」と言われたが、プリンスは(やんごとなさすぎるので)その「意味」がわからなかった、という逸話が、留学の想い出を綴った回想録(絶版)に載っていた。
※この記事は
2010年06月18日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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