kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2010年03月10日

北アイルランド自治議会、ヒルズバラ合意を支持(ただしUUPは反対)/ガーディアンの保守党攻撃と思われる記事乱立

大西洋の向こう側から、「あたくしがいたからこそNI和平が実現したんざんす」の誇大妄想でお馴染みのヒラリー・クリントン(現国務長官。当時大統領夫人)とか、「和平」が成立したあとに就任した元大統領とかも担ぎ出してのお祭り騒ぎの挙句、結局UUPは「反対」のまま、ストーモントの自治議会で採決が行なわれ、「警察・司法権限の自治政府への移譲」は賛成多数を得て通った。これで先日の合意文書(ヒルズバラ合意)の通り、4月12日に警察・司法の権限がロンドンからストーモントに移譲される。

Justice vote carried in assembly
Page last updated at 17:18 GMT, Tuesday, 9 March 2010
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/8558466.stm
Policing and justice powers will now be devolved on 12 April.


BBC Newsは、これを受けて、英国のブラウン首相が「歴史的 historic」という言葉を使っていることを大きく報じている。



今回、議会を通ったのは、先日10日間にわたる「エクストリーム交渉」の挙句ようやくできた「ヒルズバラ合意」だが、合意ができた段階では英国政府もアイルランド共和国政府も、「歴史的」という言葉は使っていなかった(米国のホワイトハウスだけは「歴史的」という言葉を使っていたが、おそらく北アイルランド政治についてはもうアメリカが真剣に取り組む必要がある段階は終わったということで、まともな情勢分析もブリーフィングもされていないのだろう)。

北アイルランドの自治議会(総議席数108)は、同じ地域が2つの対立するコミュニティに分かれているという前提に基づいているので、議決の際も単純な「多数決」(過半数を得れば通る、半数に達さなければ通らない、式の)ではなく、「双方の陣営を代表する議員の何割ずつが賛成していることを条件とする」といったような少し複雑な決め方をするのだが(具体的な数字は、私は頭に入れているわけではないのですぐには出てきません。検索すればすぐに出てくると思うので必要な方は検索をどうぞ)、UUPが「反対」でまとまろうとも結果を左右するほどの議席数ではなかったのだろう、議会採決日直前となっても、UUPの動向については、真剣に「このままではまずい」という位置付けはされず、「必死の説得工作」みたいなことも行なわれなかった。(にもかかわらず、英国政府とかをすっとばして「あたくし」の電話だのGWBの電話だのって話になったのはとても奇妙だった。奇妙っていうか、「英国は今は労働党政権」で「UUPは保守党と連合」というのが見えすぎてる上に、「内政干渉」じゃね?っていうのが重なっているので、何と言うか「豆腐をいちごチョコでコーティングしてナンプラーでいただきます」的な感じが……)

だから今回のUUPをめぐって前回のDUPとシン・フェインのときのような「エクストリーム交渉」に雪崩れ込むこともなかったし、全体的には静かだった。Sinn Feinは先週の党大会ではthe Northについてはほとんど語らず、「アイルランド全域の政党」としてアイルランド共和国の総選挙を見据えた政策の提示みたいなのを中心としていたし(それがどの程度「現実的」なのかは別の話)、DUPに至っては党首のピーター・ロビンソンが「警察・司法権のことでのご意見の投書の倍、愛の告白のレターを受け取っていますよ、ええ。ただし警察・司法権での投書は1通でしたけどね」、「(19歳の彼氏で有名になった)家内は入院しとるんですが、バレンタインデーには『あなたを愛してます』ってカードをくれましてね。ラヴレターはほかに1通、ダブリンからで、最初は警戒したんですが、開封してみればご婦人からのカードでして」みたいなどーーーでもいい話をしていたらしい。(DUPがどんどんおもしろ政党になっていく……「宗教右派で政治的には極右で、ガチガチ」であることとユーモアのセンスは両立するということを示すサンプルとして利用できそうだ。)

実際、BBCの報道記事を見ると、総議員108名のうち、88名が「賛成」、17名が「反対」(これで105だから、残り3のうち1は議長で、残り2は欠席か棄権か白票かな)。緑(ナショナリスト)とオレンジ(ユニオニスト)別に見ると、緑が44人全員が「賛成」、オレンジは全52人中35人が「賛成」、どちらの陣営でもない議員は9人が「賛成」。ウィキペディアのエントリを見ると、ストーモントの議会の政党別議席数は、DUP(オレンジ)が35、Sinn Fein(緑)が28、UUP(オレンジ)が18、SDLP(緑)が16で、Alliance(どっちでもない)が7、ほかはGreens(どっちでもない)とPUP(オレンジ)が1議席ずつ持っていて、無所属議員が2人。

……あれ、今回「反対」したのが17名で、UUPが18議席って、数が合わないじゃん。

それと、BBC記事には、「DUPの36議員中、34人が『賛成』票を投じた」とあるが、ここで「賛成」してない2人については、1人は議長なので数に入っておらず(賛否が拮抗しない限りは採決は無投票)、もう1人は、この日、葬儀のため議会を欠席した(<DUPの説明による)ウィリアム・マクレエ議員。

ということは、今回票を投じた105議員と、議会定数108のギャップは、議長とマクレエ議員と……あとひとりはBBC記事では不明。(アイリス・ロビンソンは既に議員を辞めていて後任がポストについているので関係ないし……。)

まあ、いいや。

これでようやく先に進める(1998年のグッドフライデー合意からの積み残しだから、12年かかったことになる)。これで本当に「正常化」する。そして北アイルランドの政治のニュースは、ますます詰まらなく、平凡なものになっていくだろう。シン・フェインのような「紛争」という背景で支持を得てきた政党を取り巻く状況はどんどん厳しいものになるだろうし(それも、「紛争」の時代の厳しさとは別種の厳しさ)、一方で「北アイルランド紛争のセクタリアニズム」という背景なしで政治的な選択をするということが一般的になるまでには、まだまだ時間も状況の変化も必要だろう。

http://www.guardian.co.uk/uk/northernirelandところで、1つ前のエントリで触れた件(米国の要人がUUP&保守党に対する働きかけを強めている、という件)、BBC Newsやロイターなどでもかっちりした記事を出していたことを私は確認しているが、ガーディアンだけが異常だった。右は関連記事一覧のキャプチャ(via kwout)。

ガーディアンはかつて――2007年春ごろまでは――アイルランドにはヘンリー・マクドナルドアンジェリーク・クリサフィス Angelique Chrisafisの2人の記者を置いていたが、今はアイルランドには前者を残すのみだ(今はパリにいる後者のアイルランドでの痕跡は12 September 2005のエディター・ブログなどに)。その前はセキュリティ(軍事)部門のOwen Bowcottもベルファストで書いてたはず。ともあれ、IRAの武装闘争が恒久的に停止され、「北アイルランド情勢」がそれほどの注視を必要としないものになったときに、ガーディアンもBBC Newsも北アイルランド報道はかなり縮小された。ガーディアンではこの縮小後は、「アイルランド」についての報道記事執筆は基本的にヘンリー・マクドナルドが行なっているが、この人の記事の質がどうこうっていうのではなく単純に記事の本数が、縮小前と比べて、激減した。

だから、今回のように、「UUPは警察・司法権限の移譲に反対」ということについて「米国がUUPに対して働きかけている」というニュースがあったとき、記事が出るとしてもせいぜい2本くらい(米国の現政権の動きと、現政権の外側の動き)のはずなのだが、実際にガーディアンは、大量の記事を立てている。

繰り返しになるが、「UUPが反対」なんてのはニュースではない。その上、UUPの決定(「反対」)は、単に人数的に考えて、最終的結論に影響を及ぼさないということは結果が出る前からわかっていたことだ。なのにこれだけ大量の記事が書かれているとは……。変なたとえだが、「震度3の地震が発生し、新幹線は一時運行を停止したが、2時間後には安全が確認され、以後は平常運行している」みたいなことを大きな記事にして報じるかどうか、あるいはそれについて何本も記事を書くかどうか、という感じ。

キャプチャ画面では読めないから、記事列挙しておきます。画像の下(古い記事)から上(新しい記事)へと。

8 Mar 2010: ※キャプチャ画面の外
Letter from US Congressmen to David Cameron

8 Mar 2010: Nicholas Watt: ※キャプチャ画面の外
US eyes on Northern Ireland in countdown to crucial peace vote

8 Mar 2010: ※この記事からキャプチャ画面内。
UUP policing meeting with McGuinness breaks down after three minutes
※マーティン・マクギネスとUUP代表者との会談が3分で終わったという件。コメント欄あり、31件投稿。

9 Mar 2010: Editorial:
Northern Ireland: The Conservatives and the peace process
※9日付の社説。コメント欄あり、33件。

9 Mar 2010: Exclusive:
George Bush to David Cameron: don't derail Northern Ireland peace process
※コメント投稿166件。(「炎上」状態。)この記事から、保守党支持者らしき人々がコメント欄で怒るようになる(ガーディアンは「ジョージ・ブッシュ」のようなアホの名前をこれでもかこれでもかと強調している!みたいな感じ)。

9 Mar 2010:
Ulster Unionists to reject devolution deal
※ただの報道記事、コメント欄なし。

9 Mar 2010:
UUP-Conservative alliance: a risky strategy
※コメント欄なし。ヘンリー・マクドナルドによる分析・解説。UUPと保守党の連合が、現状、どのような結果を生じさせているかについて。一番顕著な例として、元RUCトップの夫人で、自身かなりのカリスマで現在UUP所属の唯一の英国下院議員であるSylvia Hermonの事実上の離党がある、とかそういう話。UUPは、この方面とは別に、というかこの方面で満足した有権者をドン引きさせることに、「DUPとの選挙協力」まで打ち出して(UUPは「世俗派」、DUPは「宗教右派」という理解で大まかにはOK)、宗教的には「カトリック」で政治的には「英保守党支持」という人たちを手放している――決して多くはないかもしれないけれど、少なくもないんだよね、「カトリックで保守主義」の北アイルランドの人たちって。

9 Mar 2010:
Americans hold the key in quest for peace in Northern Ireland
※コメント欄なし。ヘンリー・マクドナルドによる分析・解説。いちいち記事にするような内容じゃない。ていうか記事にするならもうちょっとしっかり突っ込んで書いてほしい。

9 Mar 2010:
Are you missing me? David Cameron tempts George Bush out of retirement
※ゴミ同然の内容だが、記者ブログ(ニコラス・ワット)。コメント11件。

9 Mar 2010:
Is the UUP stance really a tactical blunder?
※またヘンリー・マクドナルドだがブログ。内容はまた同じようなことで、ここらへんから、「ガーディアンが保守党を攻撃する材料として『アホのジョージ・ブッシュとつながりのある保守党』と大騒ぎしつつ、『いえいえ、これは北アイルランド政治情勢の解説のためですよ』と言い訳をするためにアイルランド専門の記者にそれなりの記事を書かせて数の上でのバランスを取ろうとしているのではないか」という疑問が出てくる。というか、北アイルランド報道ってこんなに一生懸命やらないじゃん、もっと重要な局面であっても。それが、よりによって「UUPが反対している」なんていうどうでもいいニュースでここまでやられたら、あまりにあからさまで引くわ。

9 Mar 2010: Nicholas Watt and Henry McDonald
We will not be bullied, says UUP leader Sir Reg Empey
※また同じ内容だが今度は記事で、上記2件の記事を書いた記者の連名。コメント投稿は68件だが、大炎上。「保守党をけなそうとして、同じ内容でいったいいくつの記事を立ててんだ」みたいな感じ。

そもそも「ブッシュがキャメロンに電話した」ってのをつかんだのはガーディアンのようだし、自社スクープをしつこく書くことは別にいいんだけど、あまりにも中身がない。

ガーディアン(ウェブ版しか知らないけど)は最近本当に、報道としての質が落ちてきていて、それもBBC Newsのようにライティングの質が落ちていて読みづらいとか情報量が少ないといったレベルではなく、「読むところがない」感じになってきていて(もろに「労働党の機関紙」でね)、総選挙が終わるまではずっとこうだろうなと思うとげんなり……。

ジョージ・ブッシュがどうとかっての、ほんと、ガーディアンが大好きなTwitterで140字で終わらせられる話だと思うんだよね。retweetが五重くらいになって広まりはするだろうけど、140字以上の文字を費やして語りたい内容かよ。



開きっぱなしだったタブに残ってたよ。BBC News NIでの「ブッシュが出てきた」の第一報。私が気づいた30分後くらいには、この写真と見出しは消えてた(変更されてたんだと思う)。

ni-gwb.jpg

※この記事は

2010年03月10日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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