「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2010年01月15日

北アイルランド、警官を標的としたボム攻撃の件

Iris Robinson Affair [=IRA] と、それがDUPのトップを揺るがしたことを受けてのその後の政治的な動き(警察・司法の権限をNI自治政府に移譲するかどうかの件をめぐるもの)の後ろに回ってしまったような形だが、1週間前、アイリスのほうのIRAがトップニュースに来るようになったのとほぼ同時に、警官を標的とした爆弾攻撃が発生した。

2010年01月08日 BBC News NIのニュースの重み付けが変だ。
http://nofrills.seesaa.net/article/137778495.html

2010年01月09日 【メモ】北アイルランドのボムについての報道
http://nofrills.seesaa.net/article/137789418.html

事件が発生したのはRandalstownという町(下記地図参照)の近くの路上。被害者の警官がベルファストへの通勤のため、車で家を出て1マイルほど行ったところで、車に仕掛けられていた爆発物が爆発した。



警官は現場で救助されたときには出血がひどかったものの意識はあり、すぐに地域の病院に搬送され、さらにより設備の整ったベルファストの病院に移された。
そのベルファストの病院というのが、北アイルランドのニュースを一定期間追っているとわかるが、何かがあったときにそこに運ばれるということは決してよいニュースではない、という病院だ。今回ボムにやられた警官は、数日間危篤状態に陥っていたが最終的には右脚を切断した。

Terror attack police officer has leg amputated
Thursday, 14 January 2010
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/local-national/terror-attack-police-officer-has-leg-amputated-14634930.html

車を走らせてしばらくして爆発するというのは、80年代の「IRAもの」の小説などにもよく出てくる仕掛けがしてあるのだろうと思う。同じようなボムが10月に東ベルファストで爆発している(下記記事参照)。このときも標的は警官だったようだが、実際には標的本人は車には乗らず、パートナーが運転しているときに爆発し、パートナーが軽傷をおった――標的とされた警官が助手席に乗っていたら、片脚切断は間違いないだろうと解説されたほどの爆発だった。(この事件の前後の一連のボムのことは、2009年11月23日のエントリにまとめてある。)

2009年10月16日 【速報】東ベルファストで爆発
http://nofrills.seesaa.net/article/130413230.html

10月のボムがあったのはピーター・ロビンソンの選挙区で、リパブリカンがうろうろできるような地域ではなく、それだけでもぎょっとするようなことだったが、今回はまた別の意味でぎょっとするような攻撃だ。

北アイルランドでは、周知の通り、「警官」といえば「プロテスタント」なのが相場である。しかし比率的には低かったとはいえ、カトリックの警官も少なくはなかった。そして、というかしかしというか、警察というシステム自体が "Brit" のものなので、武装闘争至上主義のリパブリカンにとっては「合法的な敵」と見なされる。本人がいくらアイリッシュであろうがカトリックであろうが、Britへの協力者、Britの体制を支持する者だからだ。(個人的には、そんなの警官殺しを正当化するための口実としか思えない。)

2009年3月にクレイガヴォンで射殺された警官もカトリック・コミュニティの人だったが、Randalstownでの仕掛け爆弾で標的となったのも「カトリックの警官」だ。

それだけではない。彼はアイルランド語話者で、PSNI(北アイルランド警察)でアイルランド語の専門家として仕事をし(リパブリカンとアイルランド語の関係については前に少しだけ書いたことがあると思うけど探せない)、またPSNIのゲーリック・フットボールのチームの主将でもあった。つまり、非常にシンボリックな人物だ。

警察は、事件のすぐ後に、「非主流派リパブリカン dissident republicans の犯行と考えられる」という発表を行なったが、どのグループによるものかは断定できない、としている。

というわけで、アイリス・ロビンソン・アフェアでげらげら笑いながらも、一方ではこの警官の容態が気になっていたし、ボムの犯行声明が出るかどうかも気になっていたのだが、BBC NIが日に1度、警官の容態をそっと伝える記事を立てるだけで、新情報は特になかった。(アイリスのニュースの記事が単に物量として多すぎるから見落としていたのかもしれないが、重傷者を出したボムのような事件については北アイルランドのメディアのサイトのトップページに出るのが当たり前なので、見落としの可能性はとても低い。)

15日も、BBC NIにそっと「警察が再び現場に戻った」(現場検証を改めて行なっている)という記事が出ただけだ。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/8460503.stm

一方で、映画『Hunger』などでも見られたが、治安機関職員などが、自宅から車を出す前に車の下に何か仕掛けられていないかどうかをチェックする、という、非常に「紛争」っぽい習慣が復活しそうだ。警官は車の下をチェックするためのミラーを支給される。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/8460269.stm

また警察では、非主流派リパブリカン武装組織はこのようなボムを少なくとも4つ、持っていると見ている。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/local-national/dissidents-have-at-least-four-more-boobytrap-bombs-14633389.html

というところで、この事件についての記事のクリップは:
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/dissident%20republicans/bomb/
ここ↑に書き留めてある記事で、2010年1月の日付でブクマされているものを見ていただければOKかと。

なお、北アイルランド警察では「どの集団がやったのかわからない」としているが、アイルランド共和国のメディアではOglaigh na hEireannの犯行という報道もあった。(ベルテレにもあったけど、ベルテレは系列のダブリンのアイリッシュ・インディペンデントの記事を参照することもあるし、よくわからない。)

それと、15日にアントリム市(←厳密には「市」ではないのだけど説明的記述の便宜上)のコミュニティセンターで、未完成のパイプボムが2本見つかったとのこと。

GAA team target of bomb attack in Antrim
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/8460481.stm

GAA players at training session targeted in attack
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/local-national/gaa-players-at-training-session-targeted-in-attack-14636847.html

これは、記事のワーディングから考えても、リパブリカンによる犯行ではなくロイヤリスト側。アントリムは、カウンティ全体でみればだが、UDAの分派がいる。それとロイヤリストにはOrange Volunteersという超過激な組織もあり(OVは、オレンジ・マーチでのごたごたの中から発生した超過激派え、今の政治の局面はまさにそのオレンジ・マーチを巡るものだと思う。これも公表されることが少ないからよくわからんけどBBCのほのめかしによると、オレンジ・マーチが目下の懸案ということらしい)、このOrange Volunteersは現在、シン・フェインの要職者たちに次々と脅迫状を送りつけているらしい。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/local-national/sinn-feins-alex-maskey-latest-on-loyalist-hitlist-14634929.html
http://www.anphoblacht.com/news/detail/39381
↑An Phoblachtはシン・フェインの機関紙。


※この記事は

2010年01月15日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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