「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2010年01月07日

紛争が終わった北アイルランドのニュースは、連ドラ風味になった。

ロビンソン・スキャンダルについてのエントリは
「アイリス・ロビンソン」のタグで一覧できます。



1990年代、北アイルランドはアクション映画か、ポリティカル・サスペンスのような感じだった。メロドラマがあるとすれば、ふたつのコミュニティの「対立」を背景とした「ロミオとジュリエット」的なものだっただろう。(そういう小説が実際あるけど。)

2000年代、北アイルランドは深慮遠謀の政界ドラマか、ポリティカル・サスペンスか、ギャング映画のような感じだった。メロドラマがあるとすれば、心を閉ざした「元テロリスト」に恋をした女性の話だっただろう。

そして2010年代、北アイルランドのメロドラマは、80年代のアメリカの連続ドラマ(『ダラス』とか)の王道のようなものになりそうだ。現時点ではニュースに出てこないけど本家から分かれた一派もいて(TUVだが)、まさに「権力闘争と家族の愛憎劇」が展開……されることなど別に期待してないのだが。

何があったかというと……

先日、深刻な欝を理由として、政界引退を表明したアイリス・ロビンソンが、今度は自殺未遂の経験があることを明かした。彼女には長年連れ添った夫(ピーター・ロビンソンDUP党首、北アイルランド自治政府ファーストミニスター)があるが、他の男性と関係を持ってしまい、そのことで悩んで自殺をはかったという。詳細はアイリス・ロビンソン本人のステートメントを参照(ただし、これ読むのはある種の人々にとってはかなりきついと思う)。

(ついでに前提を書き添えておくと、アイリス・ロビンソンはボーンアゲインでエヴァンジェリカルなクリスチャンである。ロビンソン夫妻が属するDUPという政党自体がファンダメンタリストの信仰と政治思想をブレンドしてまとまっているような政党である。なお、一連の騒動から1年半以上が経過しているようだが、彼女は今は「神からゆるしを得た」と認識しているとのこと。)

オレンジ側のDUPのロビンソン党首にこのスキャンダルがあれば、緑側のシン・フェインのアダムズ党首にも、「弟が実の娘を性的に虐待したとの疑惑で裁判所に呼び出されているが、シカトぶっこいて南に逃げている」というスキャンダルがある。

アダムズの場合、さらに、その弟にそういう「疑惑」があることを知っていながら(姪から打ち明けられていた)、弟を党から追放せずにいたというスキャンダルがあり、それについても具体的な証拠をあげつつ調査報道がなされ、それに対してまたわけのわからん(整合性がないのですぐに嘘だとばれる)言い訳をして、冬休みに入ってしまった状態。(シン・フェイン……というかIRAは国家の警察を拒否し、コミュニティ内の犯罪はIRAが裁き、制裁を加えるということでやってきたので、アダムズの弟にペドフィリアの疑惑があるときに、たとえそれが立証されていない「疑惑」であったとしても、そのまま党の上層部においておくという判断は、ありえないほどの二重基準。)

そんなこんなで、大きな政治の舞台では、緑とオレンジとの間で2年くらいずっと同じ問題(警察・司法の権限のNI自治政府への移譲)が片付かずにいるときに、緑側で「アダムズ家の弟の幼児虐待疑惑」が持ち上がり、オレンジ側で「アイリスの政界引退」が宣言され、次週をお楽しみに……となったところで、緑側で「実は父が実子を虐待していた」と告白するという展開があり、オレンジ側で「アイリスの苦悩」がつまびらかにされ……という感じ……だけならば、展開として単純でありえなさすぎて逆にありそうなメロドラマなのだけど、さらに、実はオレンジ側には資金疑惑があり、BBCはじっくり時間をかけてその調査を行なっていたらしい。

で、ジャーナリストが資金疑惑をいろいろと調べているときに、自治政府のトップ(それも思想的にガチ保守、「家族の価値」とかが第一という思想の人)がテレビカメラの前で「家内の浮気と自殺未遂」を明かすというようなことになったようで、うーん、どうなんでしょう。資金疑惑なんていう退屈な話題より、いわば「政界のおしどり夫婦」の妻であるアイリス・ロビンソン(ファンダメンタリストでガチ保守で舌禍の人だけど、美人は美人)の不倫と自殺未遂のほうが、人々の興味は引くだろうけども。

いずれにせよ、アイリスの浮気と自殺未遂について、BBC News NIのトップページが、こんな特別なレイアウト(下記キャプチャ)で報じているのは異常。他に重要なニュースがないわけでもないし(UDAの件がある)、UDAの件がトップにあったときでさえこのレイアウトではなかったし、そもそもこんなニュースで写真をこんなふうに使う意味がわからん。



アイリスの件がなくても、「今日のトップニュースはUDAの武装解除だろうJK」というときに、アイルランド島とブリテン島はものすごい荒天でテレビのトップニュースは「天気」、ウェブサイトでも下の方(上のキャプチャでロビンソン夫妻の写真の左下)に追いやられていて、IRAのときはあんなに「ヒストリック」だの何だのと騒ぎになり、UVFのときもあんなに「残虐非道なテロ組織の終わり」で大きく特集していたのに。UDAだってもっと大きく扱ってあげてよ。

というか、UDAにはまだ片付いてない問題があるんだけどね(分派したイースト・アントリムが完全武装解除に応じていない)。



追記:

北アイルランドの人たちのFlickrの写真を見ていたらこんなのがって:
http://www.flickr.com/photos/alaninbelfast/3971244948/
http://www.flickr.com/photos/23386031@N00/392081599/

「ベルファストの本屋にいったら、Peter Robinson: Playing with Fire, The New Inspector Banks Novel という本があったが、あのピーター・ロビンソンじゃないよね」という写真。

そのピーター・ロビンソンさんは「バンクス警部」もののシリーズを書いているカナダのミステリー作家さんだそうだが、上でベルファストの書店に並べられていた『火遊び』に続く(間に何作かあるかもしれんが別にいいよね)彼の最新作が:


お茶ふいた。



追記:
ベルテレさんがあまりに容赦ないので泣けてきた。



私はアイリス・ロビンソンは全然好きではないが、病人にこの仕打ちはないと、素で思う。

なお、ロビンソン夫妻の資金疑惑と今回の不倫スキャンダル露呈の関係については、タイムズが記事にしている。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/article6979128.ece

でもちょっと、アイリスが本当に欝なのなら、メディアのこの騒ぎっぷりは彼女のために本当によくないよね……。気の毒だ。

再度の追記:
アイリスといえばホモフォビックな言動で知られるが、今回の不倫騒動について「背後にゲイ・アクティヴィストが」説があるらしい。詳細下記(さほど「詳細」でもないけど)。
http://sluggerotoole.com/index.php/weblog/comments/iris-pursued-by-gay-activist/

個人的には、陰謀論はいくらでも可能だよねという感じがするけど。(アイリスが何をいおうが、NIで「同性結婚」に非常に近いシヴィル・パートナーシップの制度があることはゆるぎないのだし、ホモフォビックな暴力は政治家の発言があろうがなかろうが、だし……とかいうとまた「あなたは差別を許容している」とかって糾弾されるかな。「法の下の平等」と「ホモフォビア」とは別の話ですので、そこよろしくね。それと私はアイリス・ロビンソンのあの発言は、ファンダメンタリストが言いそうなことだとしか思っていない。)

で、上記の投稿をSlugger O'Tooleにしたミック・フィールティさんはBBCの番組でDUPのジュニア・ミニスター(ジェフリー・ドナルドソン)と話をしたらしい。詳細こちら(というか、どういう「噂」が出回っているかについての概略だけど。)

※この記事は

2010年01月07日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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