
右のキャプチャ画像はガーディアンのRichard Norton-Taylorによる24日の記事で、「米国は9.11の前からイラク侵略を考えていた」というような内容(Iraq war inquiry: Britain heard US drumbeat for invasion before 9/11)。写真は、「英国がイラク戦争に参戦するという判断をした責任者は誰かを明らかにするよう求めるキャンペーンの人たち」というようなキャプションがついているが、参戦の責任を負うべきなのが誰かなどということは、わざわざ言葉にしなくても自明だ。しかし、"Blood on his hands" は久しぶりに見るなぁ……。
さて、インクワイアリを率いるのがSir John Chilcotなので、このインクワイアリはChilcot Inquiryとも呼ばれている。
サー・ジョンをはじめとするパネルのメンバーについては下記参照。
Who is on the Iraq war inquiry committee?
Tuesday 24 November 2009
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/nov/24/chilcot-inquiry-iraq-committee
サー・ジョンはバックグラウンド的には北アイルランド庁(それも1998年グッドフライデー合意の前の7年間だから、メイジャー政権下丸ごとという感じで、つまりかなりいろいろあった時期だなあ)。で、サー・ジョンという人は前回、2004年のバトラー・インクワイアリにも関わっていて、ゆえに「彼が率いるインクワイアリがイラク戦争開戦の核心に切り込むことははなっから期待できない」という諦めムードのようなものがただよっている――ううむ、それにしても、あれからもう5年以上経つのか……。バトラー・インクワイアリーについてはウィキペディアがいいリンク集になっている(ウィキペディアだけでは全然ダメだけど、入り口にはなる)。
http://en.wikipedia.org/wiki/Butler_Review
インクワイアリの公式サイトで公開されている情報が非常に多くある。
http://www.iraqinquiry.org.uk/
メディアの報道も記事が多いので、どこかひとつの媒体を決めて記事を追うのがよいだろう。ガーディアンは下記URLにチルコット・インクワイアリの記事がまとまっている。私はほとんどガーディアンだけで追うことにすると思う。(初日にいきなり「英国はレジーム・チェンジの違法性を認識していた」ということがでかでかと報じられている状態であり、とっくの昔に、イラク戦争について「法的根拠に問題はない」という立場の人たちとの論争にくたびれきっていたような私にはすでに、あちこちのメディアを見るようなエネルギーは残っていない。)
http://www.guardian.co.uk/uk/iraq-war-inquiry
このインクワイアリの結果ひとつ確実なのは、2003年とか2004年とかに出た「ブレアにとってのイラク戦争(の正当化)」を説明した本は、(何があったかを淡々と記録したものは別として)書き直しの必要が出るだろうということ。ブレアが好んで多用していた言葉だが、「歴史が証明する」ってことだ。【ここに罵倒を省略】
以下、インクワイアリーが始まった日(24日)のメディアのトップページのキャプチャとか、今日(26日)のキャプチャとか、リンク集というか覚書として。
24 November 2009:

BBC NEWS | UK via kwout
26 November 2009:

BBC NEWS | UK via kwout
しかしこのニュース、報道を見れば見るほど無気力にさせられる一方である。こんなこと、なんで2009年の11月に聞かされていなければならないのだろう。
※この記事は
2009年11月27日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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