「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2009年10月12日

INLA、「武装解除」については明言を避ける。

http://www.belfasttelegraph.co.uk/右は、INLAのステートメントが出たあとのベルファスト・テレグラフのトップページ(via kwout)。写真は資料写真的なもので、何かの行事のときのcolor party(旗を立ててパレードする集まり)の光景。記事見出しをクリックすると、記事に飛びます。

本題に入る前に……北アイルランド情勢についてある程度背景知識がある方が、今回のINLAのステートメントの意味を深く知りたい場合、最も参考になると思われるのはアイリッシュ・タイムズのジェリー・モリアーティによる "Practical reasons behind ceasefire" という記事。北アイルランドの武装組織の武装解除を監督する、外国人を責任者に据えた機関、IICDの活動期間が来年2月で終わり、それと同時に「武装解除特例期間」が終わる。この特例期間が終わると、武器の所持や持ち運びに対する罰則が、今より厳しくなる。(たとえ武器の破壊が目的であっても、武器を移動させれば「不法所持」で逮捕されるかもしれない。)

さて、昨晩は'Armed struggle is over' - INLA というヘッドラインを見ながら、INLAは少なくとも形式上はこの11年間ずっと停戦しているので、to renounce violence の具体的な内容が "Armed struggle is over" のヘッドラインで出るのは地味すぎないか("put the weapons beyond use" ではないのか)というのはちょろっと思ったのだけど、INLAのCatalogue of Atrocitiesを見返して、ステートメントにあった "exclusively peaceful political struggle" の4語を噛み締めただけで、寝てしまった。そもそもINLAって armed struggle の集団というより、政治性などどこかに埋めてきた殺人集団じゃないか、というのもあったし。

で、さっきアイリッシュ・タイムズの記事(後述)を読んで確信したんだけど、ちょっとした情報戦になってた。要するに「武装組織INLA」は終了ということなのだけど、いつ、どの程度終了するのかについて、英当局とINLAとの間で認識が違っていて、英当局が先に既成事実を固める方向で動いているっぽい。(英メディアだけでなく、アイルランドのメディアの報道でもそうなってる。)

ちょっと振り返っておこう。

INLAのこの動きについて、Google Newsで確認できた限り、最初に報じたのはBBCだった。しかしBBCのその記事は、BBC Newsのサイトでは非常によくある「進展があった場合、同じURLで上書き更新」になっていて、第一報段階の記事はBBCのサイトではもう確認できない。私も眠かったのでローカルに保存しておこうと思わなかったんだけど、あるフォーラムで第一報のコピペを見つけた(これは私が読んだと記憶しているものと一致する)ので拝借。下線を補った箇所が「うむぅ」という感じ。
This is from BBC News

INLA group to renounce violence

An Irish republican paramilitary group responsible for hundreds of murders during Northern Ireland's troubles is to announce it is renouncing violence.

It is expected that the Irish National Liberation Army will say on Sunday afternoon that in future it will pursue exclusively peaceful means.

The INLA is a small but ruthless group that murdered more than 120 people, but has been on ceasefire for 11 years.

The group is expected to decommission its weapons within months.

The INLA was established in 1975, ... snip ...

Despite being on ceasefire since 1998 it has carried out a number of shootings and engaged in a wide range of criminal activity.

It has been taking with intermediaries representing the British and Irish governments for the last number of months.


The group is also believed to be engaged in talks with the head of the Independent International Commission on Decommissioning, General John de Chastelain about putting its weapons beyond use.

この記事では「武器の処分(武装解除)」について、is expected to, is believed toで記述されている。これは、BBCの記者がどこからか何らかの情報を得ているが、それはまだ公にされていないという意味で、このケースでは「INLAが数時間内にも出すことになっているステートメントでそれについての言及がある」ということを意味している、と解釈するのがお約束なのだが(つまり、記者がINLA関係者から内容を聞かされているのだろう、という解釈)、実際のステートメントには武装解除についての言及がなかった。

なお、IICDではINLAとの接触の有無については肯定も否定もせず、という反応だとどこかの記事にあった(どの記事なのか、探せない)。

BBCの記事に続いて出されたRTE(アイルランド国営)の記事も、ステートメントが出された後に同じURLで上書きされているので、第一報の文面は確認できなくなっているが、ベルファスト・テレグラフのは「速報」だったので残っている。

INLA to decommission weapons
Sunday, 11 October 2009
http://www.belfasttelegraph.co.uk/breaking-news/ireland/inla-to-decommission-weapons-14528146.html

The republican paramilitary group the Irish National Liberation Army has signalled its intention to disarm.

Following a series of meetings with the Independent International Commission on Decommissioning, the INLA stated that it's intending to decommission weapons this year.

INLA leaders are expected to publicly declare a commitment to "exclusively peaceful means" at a commemoration ceremony in Bray this afternoon.

The group is responsible for over 100 killings, including 39 civilians.

It first came to international attention when it used a car bomb to kill one of Margaret Thatcher's closest advisors in 1979.

この速報では、武装解除については、「武装解除の意図があるとシグナルを送っている」という程度の記述だ。BBCほどには踏み込んだことを書いていない。(この時点で違和感があってしかるべきだったのだが。)

実際のステートメントに「武装解除の意図」を示す具体的な文言がなかったことについては、いくつかのメディアが注目している。

Press Association(英国の通信社):
Questions remain over INLA arsenal
http://www.google.com/hostednews/ukpress/article/ALeqM5jmrGA5Fr4NK8yU4rYTYQhBIyNRxQ
Republican paramilitaries who have announced an end to a 35 year campaign of violence in Northern Ireland must now decommission their weapons, the Government has said.

The Irish National Liberation Army (INLA), which is responsible for some of the most infamous attacks of the Troubles, used a graveside oration outside Dublin to confirm that its "armed struggle is over".

But there was uncertainty over whether or not the group, which has killed more than 100 people, was prepared to decommission its illegal arsenal of weapons, after the statement read to supporters at the republican commemoration failed to promise a disposal of arms.

【要旨】
英国政府は、35年にわたる武装活動に終止符を打つことを宣言したINLAは、次は武器を使えない状態にせねばならないと述べた。(かつてのリーダーの)追悼集会の場で、INLAは「我々の武装闘争は終わった」と断言したが、集会に集まった支持者に対して読み上げられた声明文は武器の放棄を約束するものではなく、100人以上を殺してきたこの集団が不法に所持している武器を放棄する心づもりができているのかどうかについて、はっきりしない。


アイリッシュ・インディペンデント:
Cautious welcome for INLA move
By Tom Brady Security Editor
Monday October 12 2009
http://www.independent.ie/national-news/cautious-welcome-for-inla-move-1910836.html
The INLA's terror activities have been confined to Northern Ireland for the past few years as its members on this side of the Border became exclusively involved in "ordinary" crime, including drug dealing, extortion and racketeering.
INLAのテロ活動は、この数年はボーダーの北だけで、南では行なわれていない。南ではINLAのメンバーは、麻薬取引、ゆすりなど「通常の」犯罪を行なっているだけだ。(注:こうして南で稼いだ金が、北での「武装闘争」に使われていた。)

...

The announcement was welcomed by Foreign Affairs Minister Micheal Martin and Northern Secretary Shaun Woodward. But both Irish and British governments remained cautious in their welcomes until the outcome of the talks on handing over their weapons have been concluded with General John de Chastelain and his decommissioning body.
アイルランドの外務大臣も英国のNI担当大臣も今回の声明を歓迎はしたが、両国政府としては、武器引き渡しをめぐる交渉の結果が出るまでは、諸手を挙げて歓迎というわけではない。

※アイルランド共和国ではINLAはギャング活動を行なっていた。INLAが直接やるのではなく特に政治的な背景のない犯罪集団とつながって、間接的にかかわっていた場合もあったらしい。ギャングとのつながりという点については例えば2006年4月の事例などを参照。

アイリッシュ・タイムズ:
Monday, October 12, 2009
INLA 'has ended armed struggle' says statement from organisation
MICHAEL O'REGAN and GERRY MORIARTY
http://www.irishtimes.com/newspaper/ireland/2009/1012/1224256436391.html
...

The announcement was made in Bray, Co Wicklow, by Martin McMonagle, from Derry, a member of the executive of the Irish Republican Socialist Movement (IRSP). He said he knew nothing of any plans the INLA might have to decommission weapons.

However, senior official sources in Belfast said they understood that the INLA had already been in contact with Gen John de Chastelain's decommissioning body.

One senior source said there was a British government expectation that the INLA would begin the decommissioning process in the coming months.

【要旨】
ウィックロウ州ブレイで声明を読み上げたのは、デリーのIRSP執行部の一員であるマーティン・マクモナグル。彼は、INLAが武器を放棄する計画については一切何も知らないと語った。しかしながら、ベルファストの公式筋は、INLAは既にチャステラン将軍の武装解除機関 (IICDのこと) と接触している、と語っている。ある高官は、英国政府には、あと何ヶ月かのうちにINLAが武装解除を始めるだろうという予期がある、と述べた。

「ベルファストの公式筋」っていうのは、おそらく情報機関だろう。BBCが第一報でit is believedのような受動態で書いたことの中身は、間違いなくこれだ。

当局は、こうやってメディアに情報を流して書かせることで、INLAの側が引っ込みがつかないような状況を作っているのだろう。

ベルファスト・テレグラフ:
Decommissioning the next step for republican group INLA
By Brian Rowan
Monday, 12 October 2009
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/local-national/decommissioning-the-next-step-for-republican-group-inla-14528348.html
There was no mention of decommissioning in yesterday's statement - other than to acknowledge the recent loyalist moves to put arms beyond use as a "progressive step".

But a source speaking to this newspaper confirmed contacts between the INLA and the de Chastelain Commission.

Asked to comment, Willie Gallagher responded: "I see no reference to that at all in the statement. I'm not going to comment outside the statement itself." He talked about "a lot of internal consultation over quite some time" - an element of which was the "raison d'etre of the INLA".

11日の声明には、ロイヤリスト側が最近武器を使えない状態にしたことについて「前向きなステップ」とみなしている、ということを除いては、武装解除については何ら言及がなかった。しかし本紙に話をしたある人物は、INLAとIICDの間に接触があることは事実だと断言している。

(IRSPの幹部である)ウィリー・ギャラハーは、コメントを求められて、「今回の声明ではその件についての言及はまったくないですね。声明文にないことはわたしの口からは申しあげることはしません」と述べた。彼は「けっこうな期間、内部的な相談が重ねられてきた」ことについて話している。その中には、「INLAのレーゾンデートル」も含まれているという。

「INLAのレーゾンデートル」は銃のこと。非常に遠回しにだけど、武装解除に向かっていることを肯定する内容の発言だ。

「レーゾンデートル」をなくしたら、組織は解体する。ガーディアンのヘンリー・マクドナルドはそういう方向で書いている。ちょっと気が早すぎるようにも思うけど。

Irish National Liberation Army to disband and give up weapons
Henry McDonald, Ireland correspondent
Sunday 11 October 2009 14.14 BST
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/oct/11/northern-ireland-republican-group-disband
The British and Irish governments have been briefed about the INLA move. The road to INLA decommissioning has been going on for several years through internal discussions.
英国・アイルランド両政府は、INLAの動きについてブリーフィングで知らされている。INLAの武装解除への道は、内部的な話し合いを通じて、数年間進行してきたものである。


あと、ヘンリー・マクドナルドのこの記事が英メディアの記事の中では独特なのは、BBCやらテレグラフやらが「INLAは凶暴で凶悪ですね」、「そうですね、エアリー・ニーヴを殺害していますからね」、「人が集まっているディスコをボムってたくさん殺してますし」で話が終わってしまっているところで、1998年の「停戦」後にどういうことをしているかを書いている点。
Despite a ceasefire since 1998, the group has been responsible for a number of subsequent killings on both sides of the border including the murder of a man in Derry, who intervened to help another man being attacked by INLA members.

1998年以来停戦状態にあるが、それでもINLAはアイルランド島全土で複数の殺人事件を起こしてきた。例えばデリーでは、INLAのメンバーに襲撃されている男性を助けようと割って入った男性を殺害している。

ここで言及されているのはEmmett Shiels殺害事件。このほか、麻薬密売人を勝手に「処罰」した事件は何件もある(警察に届けずに、自分たちで処罰する)。懲罰での脚への銃撃 (knee capping) はつい最近も報告されていた(ただし、つい最近のはINLAなのかRIRAなどなのかは不明だったかもしれない)。

ヘンリー・マクドナルドには、INLA: deadly divisionsという著作がある(1994年、Jack Hollandとの共著)。これは絶版なので古書でしか手に入らなさそう。

ヘンリー・マクドナルドと同じく、北アイルランド紛争を長く取材してきたインディペンデントのデイヴィッド・マッキトリックは、マクドナルドと同じく、INLAは武装解除するつもりであることを示した、と書いている。

Army of mavericks lays down its arms
By David McKittrick
Monday, 12 October 2009
http://www.independent.co.uk/news/uk/crime/army-of-mavericks-lays-down-its-arms-1801337.html
So when the Irish National Liberation Army yesterday signalled that its decades of violence are behind it, and that it intends to decommission its weaponry, the news was greeted with widespread relief.

INLAが昨日、数十年に渡る暴力の時代は終わったのだ、保持している武器は放棄するつもりだと示唆したことは、広い範囲で安堵をもって迎え入れられた。

マッキトリックは、ベルファストではINLAの名前は、政治家やロイヤリストのボスのような政治的な標的を殺したということよりむしろ、血みどろの内部抗争で記憶されている、とも書いている。特に「狂犬」ドミニク・マックグリンチー(彼については以前少し書いた←リンク先の一番下。ものすごい血みどろ)や、「ドクター・デス」ジェラルド・スティーンソンについて。両者ともさんざん殺して、最後は内部抗争で射殺された。

INLAが1970年代にOfficial IRAから分離したときのリーダー、シェイマス・コステロ(彼の墓の前で今回の声明文が読み上げられた)は左翼の思想家で同時に武器も使え、そのうえカリスマティックな人物だったそうだが、彼がOIRAに殺されたあとのINLAからは政治色が抜けてゆき、時間の経過にしたがって、PIRAに不満を持つ者やPIRAから追放された者をメンバーとして取り込んでいくようになり、結果、INLAの本体(政治部門)であるIRSPの出すスローガンの意味などわかっていない凶暴なマッチョががちがちに武装して、OIRAを敵とし、PIRAを敵とし、ロイヤリストを敵とし、英治安当局を敵として「武装闘争」を展開、という感じになった。「左翼」(社会主義)には本来、宗教上の違いなど関係がないはずだが、INLAは「プロテスタントをぶっ殺す」という活動をしていて、プロテスタントのペンテコステ派の教会を襲撃して銃を乱射、多くを負傷させ、3人を殺したりしている――といったこともこの記事に書かれている。

一方で、サンデー・タイムズはちょっと飛ばしすぎだ。これではINLA自身が「武装解除します」と発言していることになってしまう。



タイムズの記事で興味深いのはこれ。
The INLA hopes that if it turns its back on violence and gets rid of weaponry, the way will be open for the IRSP to form an alliance with left-wing groups such as People Before Profit in the republic. The IRSP says it has been in talks with left-wing groups and individuals for a year, which persuaded them that being linked to violence is making them political pariahs.

INLAが暴力をやめ、武器を放棄すれば、(その政治部門である)IRSPがアイルランド共和国の左派連合を形成するための道が開けると考えている。IRSPは、この1年にわたって左派の集団や個人と話し合いを重ねてきたが、そこで暴力とつながりがあっては何もできないと諭されたという。


なるほど、こういう意図があって、今さらの「武装闘争終結」宣言か。INLAは1994年に「こちらから先に手は出さない」という方針を決定し、1998年に停戦したあとは「政治的な背景のある武装組織」としてはまるで影が薄い(暴力集団としては存在感がある)。本来はそろそろ「武装解除」に行っていてもよい。しかし現実には、当局とINLAとの話し合いではそこまでは行き着くことができていなくて、中途半端な妥協点として「武装闘争終結」の宣言を出した、と。

で、なぜ今、そういう宣言なのかというと、シャイマス・コステロの追悼集会というシンボリックな機会だったから。それから、これは当局は否定しているのだけれども、ヒラリー・クリントン米国務長官が英国とアイルランドを訪問していることもタイミングとして重要だったかもしれない。ヒラリー・クリントン自身が「あたくしが北アイルランドの為にしてきたこととできること」を語るのが大好きだ(別に何もしてないわりには)。彼女の肥大したエゴは別として、中東和平が行き詰って四苦八苦しているジョージ・ミッチェルがかつて大きな仕事をした北アイルランドから、今の米国に良い話を持って帰ることは、外交上必要なことだ。北アイルランドのためにではなく、米国のために。米国の自信のために。ヒラリーが来てるときに「紛争の終わり」を示す動きがあれば、メディアが熱心に取り上げる。

ともあれ、IRSPが左翼連合に入りたがっているということは、「北アイルランド紛争」の文脈――「統一アイルランド」への道、という文脈――でいうと、1916年イースター蜂起の共和国宣言の実現、ということになるのだが(そしてそれ自体何も矛盾はない)、この点でひとつメモ。

IRSPの人たちのフォーラム(ネット上で誰でも見られるところ)などで、「IRSPは武装闘争路線を捨て、Ta Powerのセオリーでの統一アイルランド社会主義共和国の実現を目指す」といったものを読んだ。このTa Power (Thomas Power) はIRSP/INLAの指導者で、マルクス主義の理論家。1987年に33歳で殺害されている(IPLOとの対立が原因)。つまり彼のセオリーは1980年代のものだ。
http://en.wikipedia.org/wiki/Thomas_%27Ta%27_Power

ていうかそのセオリーに基づいて今まで武装闘争とか言ってきたんじゃないかい、と思ったところでそろそろばかばかしくなってきたので切り上げる。2009年に、1980年代の理論とかっていうのは、1980年代に1960年代の理論っていうのとは全然違う。冷戦は終わってるし、EUはすごいことになってる。

あとは各方面の反応についての記事のURLだけ。

Widespread welcome for INLA disarmament
http://www.breakingnews.ie/ireland/widespread-welcome-for-inla-disarmament-429777.html
英国とアイルランドを訪問中のヒラリー・クリントン米国務長官の反応が詳しく。

Reaction to INLA renouncing violence
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/8301536.stm
英国政府(NI担当大臣)、北アイルランド主要政党(シン・フェイン、SDLP、UUP、DUP、アライアンス……PUPがないなあ。UVFの政治部門だから言うことはあるはずだが)、ジャーナリストのEamonn Mallie、IRA武装解除監視役のRev Harold Goodの反応。



昨晩記事を読んだときにはあんまり考えなかったのだが、「Official IRAも武装解除」っていう話が出てきたのは、「何を今さら」(OIRAは紛争の文脈での武装組織としては30年以上前に終わってるはず。停戦は1972年5月。ただしギャングとしては存続している)というだけではない。冷静に考えたら、OIRAはIMCの報告書でも言及されてない。つまり、仮にOIRAという名称を名乗って武器を振り回している個人がいるとしても、監視すべき武装組織ではない。武装組織として実体がない。

でも、武装解除についてIICDと話をしているということだ。1972年の停戦以前の武器を処分したいのかなあ。(PIRAが武装解除したときにコンクリ漬けにされた銃の中には、50年前のライフルとかもあったらしい。)

※この記事は

2009年10月12日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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