kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2009年10月03日

イヴニング・スタンダードが無料化。

すごい展開をすることってあるものですねぇ……という話題。

ルパート・マードックがオンラインの新聞を課金制にする方針を正式に発表し、「うちがやればほかも追随する」と強気でいるということが伝えられ、英国の主要なメディア企業が加盟する団体でアンケート調査をしたところ、「課金できるのなら課金する」という意見が多数だった、ということが伝えられる中、まるで予想してなかったことだが、ロンドンの地域新聞、イヴニング・スタンダードが10月12日から無料化される。ちなみに、現在の価格は50ペンス(今のレートで換算すると頭が痛くなるので換算しませんが、感覚的には「東スポと同じくらい」のはず)。

Evening Standard to be free paper
Page last updated at 11:26 GMT, Friday, 2 October 2009 12:26 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/8286660.stm

The London Evening Standard is to become a free newspaper.

About 600,000 copies of the paper - which currently costs 50p - will be given out in London from 12 October. Current circulation is about 250,000.


ケン・リヴィングストン前市長に対するしつこく陰険な攻撃などに顕著なように、「反労働党、反左翼、反社会主義」が基本だった英保守派のこの新聞が、英保守メディア最右翼のデイリー・メイルのグループから、「ロシア人富豪」のひとりであるアレクサンドル・レベデフにわずか£1で売却されたのが、2009年1月のことだった。

Standard Evening, by loungerieその後、2009年5月にThe Evening StandardはLondon Evening Standardと名前を変更し、ロゴも変更した(この変更時の広告展開が、インパクト勝負で、なおかつ「過去の否定」の色彩が濃く、スタンダードの支持層だった保守派を激昂させるものだったとのこと)。トレードマーク・カラーも、紺(保守党っぽい)から、オレンジ色というか山吹色に変更されている(この色は、色としてはLibDemなんですよね……)。右の写真 ()は、変更後のロゴのEvening Standardを地下鉄内で読む男性。

その時点では、ロンドンにはEvening Standard(有料)に加え、Metro(無料)、TheLondonPaper(無料)、London Lite(無料)と4種類の紙の新聞があったのだが、TheLondonPaperは発行元のニューズ・インターナショナル(ルパート・マードック)の事業再編計画の中、2009年9月半ばに廃刊された。この廃刊の決定について、マードックは「無料メディアなんてもう古いモデルだ」というようなことを言っていた。(実際には広告収入ががた落ちでどうしようもなくなったことが原因。)

残るMetroとLiteはいずれも、レベデフが経営権を取得する前のイヴニング・スタンダードと同じくデイリー・メイル系列 (Associated Newspapers) 。(だから、Evening Standardがレベデフに売られる前は、「朝は無料のMetro, 午後になったら無料のLiteと有料のStandard」という形で、ロンドンのメディアはデイリー・メイルが支配していて、マードック組のTheLondonPaperはそこに入り込もうとした。)

で、今回Evening Standardが無料化されることで、同一の時間帯に無料紙として発行されているLondon Liteとまるっとかぶってしまうことになる。その点を報道記事で確認したら、London LiteをEvening Standardが吸収することになりそうだ、とのこと。一方で、朝に配布されるMetroはそのままらしい。ウェブ版では既にLondon LiteはMetroに吸収されている。(なお、Metroのサイトは、ケイト・モスのファッションとか、キーラ・ナイトレイの体型といった芸能人のゴシップの話で英語に親しみたいと思う人には、かなりよい教材になると思う。デイリー・メイルより英語が簡単だし記事が短いし、男性向けタブロイドのように下品でもエロでもない。)

イヴニング・スタンダードは1827年の創刊から180年以上、無料だったことはない。それを無料化するにあたって、株式の75.1パーセントを保有するレベデフは、「きちんとした報道をする新聞 (quality newspaper) で無料化するのはうちが最初です。このあとも続くでしょう」と語っている。(マードックのこめかみがぴきぴきいってそう。)マネージング・ディレクターも、無料新聞のブームの中の2006年にLondon Liteなどが創刊される前から、有料の新聞には厳しい状況が続いてきた、といい、その理由として新しいテクノロジーで読者の選択肢が増えているということを挙げている。(ものすごくまっとうな認識だと思う。TwitterにFacebookにBeebにMySpaceにFlickrにブログに……ってやってたら、新聞なんか読んでるヒマはなくなる。)

イヴニング・スタンダードが「クオリティ・ペーパー」と言えるかどうかは微妙なところだが(デイリー・メイルが「クオリティ・ペーパー」とは言えないのと同じく)、読者層をあまり限定しないメディアではあるので(「男性向け」ではない)、競合する午後発行の無料新聞を吸収して部数をどんと増せば、それなりの広告収入は見込めるのかもしれない。

でも気になるのは、街角の新聞売りのおっちゃんたち。仕事なくなっちゃうんじゃなかろうか。。。(今年4月のG20サミットでのデモと、警察によるその「封じ込め」の混乱の中で、かなり疑わしい状況のうちに亡くなったイアン・トムリンソンさんも、酒で家庭が崩壊していったんはホームレスになって、スタンダードの売り子のおっちゃんとして再スタートした人だった。)

なお、アレクサンドル・レベデフは、暗殺されたアンナ・ポリトコフスカヤが書いていたことで特に知られるロシアの数少ない独立系新聞のひとつ、「ノヴァヤ・ガゼータ」の社主でもある(共同社主がミハイル・ゴルバチョフ)。



BBCの記事にない話を、ガーディアンから。
http://www.guardian.co.uk/media/2009/oct/02/london-evening-standard-free

無料化後のイヴニング・スタンダードの部数は、現在の25万部から、60万部に増加する。ゆくゆくはもっと増やすつもりらしい。

50ペンスを無料にすることで数百ポンドの収入源が予想されるが、人員削減はすぐには行なわない(というか、1月にレベデフが買ったときに編集部ではかなりいろいろあったはず)。ということは売り子のおっちゃんたちも、ということだろうか。雇用形態を知らないので何ともいえない。無料化によって流通経路の整理などで必要経費が削減でき、部数増でかつてのようにクラシファイド広告(個人が出す「売ります・買います」系の広告が中心)を「売り」にできるようになる無料新聞で、「クオリティ・ペーパー」としての高額な料金で紙面の広告枠を売る、というプランらしい。

なお、発行部数公査機構 (Audit Bureau of Circulations) によると、スタンダードの8月の部数は235,977部/日(平均)で、うち50.7%が無料で、49.24%が有料で流通しているもの。有料の大半が定価通りだが、定価より安く販売されているものもある。実はイヴニング・スタンダードは、レベデフが買い取ってから、時間帯によって値段を下げたり(夜9時を過ぎると鉄道駅では10ペンスで売る、など)、無料にしたり(夜8時半を過ぎると、カナリーウォーフのショッピングセンターでは無料配布)といったディスカウント設定をしている。そのほか、当然のことだが、定期購読でもディスカウントされる。

また、この7月に、改めて「地域新聞」という位置付けをおこない、全国紙としての公査を受けないようになった。

参考までに、現在の英全国紙の部数を手軽なソースで見てみると:
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Guardian
The Guardian had a certified average daily circulation of 358,844 copies in January 2009 - a drop of 5.17% on January 2008, as compared to sales of 842,912 for The Daily Telegraph, 617,483 for The Times, and 215,504 for The Independent.

大雑把に、60万部といったらタイムズの規模か。。。(「何百万部」の日本の全国紙の基準で見ると拍子抜けするほど少ないでしょうけど、世界的な影響力は比べ物になりません。特にタイムズは。)

※この記事は

2009年10月03日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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