kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2009年09月09日

北アイルランド、ものすごい量の爆発物が発見される

ここ数日、「リビアとIRA」とか、「航空機爆破計画、第一審ではよくわからないとの結論が出るも、第二審で有罪との結論」とか、ものすごくいろいろある。実際いろいろありすぎて何も追いつかない(はてブにメモだけはしてありますが)。さらに「UDA(およびその分派)の武装解除は来年2月完了の見込み」という話も出てきた。そんな今日この頃、さらに倍、なニュース。

北アイルランドのアーマー州の南の方、南北のボーダーに近いあたりで、600ポンドの爆発物(自家製の爆弾)が見つかり、英軍が処理した。単純に重量だけみると、この1月末にダウン州で見つかったカーボム(300ポンド)の2倍の規模。(ついでながら、1998年8月15日のオマー爆弾も300ポンド。)新聞社に爆発物があると告げる電話があり、当局が住民を退避させるなどして1週間ほど捜索を続けていたそうだ。

各メディアの報道(にある警察発表)によると、爆発物本体は北アイルランドにあり、ワイヤー(起爆させるためのスイッチにつながっている)はアイルランド共和国側にあったとのこと。「北アイルランド紛争とアイルランド共和国とは関係ない」といううっかりな思い込みも粉砕してくれる非常にわかりやすい例として歓迎……したくないです。

英国営放送記事:
Army makes safe 600lb border bomb
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/8244138.stm

アイルランド共和国国営放送記事:
600lb bomb made safe in south Armagh
http://www.rte.ie/news/2009/0908/armagh.html

ベルファスト・テレグラフ:
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/local-national/army-defuses-600lb-bomb-14483444.html

爆発物が発見されたのは、Forkhill(別の綴りでForkillとも。発音は「フォーキル」と「フォークヒル」の中間くらいに聞こえる)という村の近く(この村は、ウィキペディアによると人口は400人未満)。

地図(黄色&黒の点線が南北のボーダー):
View map of Forkill (Forkhill) on Multimap.com
Get directions to or from Forkill (Forkhill)


Forkhillから南(大きな道路は延びていない)は、おそらく森林か山・丘陵だろう。

この地名で検索すると、「北アイルランド紛争」の文脈では、2人以上が死亡したケースだけでかなりいろいろあるし、あのロバート・ナイラックもこの村の近くに現れてはIRAシンパのふりをしていろいろとさぐっていた。それ以前に、このあたりは "Bandit country" と呼ばれていた地域で、かつてProvisional IRAの根城として知られていた。アイルランド共和国とのボーダーに近いこの一帯は、あんなものやこんなものが南から北に持ち込まれたり、武装闘争至上主義の活動家(「義勇兵」ともいうし「テロリスト」ともいう)が南北間を移動したりするときの経由地だった。英軍に対する待ち伏せ攻撃も多く、英軍は陸路で移動すると襲撃されるので、ヘリで移動していた(イラク戦争後の混乱でバグダードのあたりが「死のトライアングル」と呼ばれていたときに、NIでの任務の経験のある元英軍人がその体験についてどこかに書いていたのを読んだことがある)。Provisional IRAが最も暴力的だった90年代(<異論はあると思うけど)には "Sniper at work" の道路標識を立てて活動していた集団がいたし(1994年のこの写真、車を運転している女性にとっては何でもないものなのだろうけど……)、IRAの活動を扱った小説でも「サウス・アーマー」に言及のないものはほとんどないのではないだろうか。

そんな地域だから当然のことだが、ウォッチタワーや基地など英軍の施設もたくさんあった。これらの軍施設は2005年にProvisional IRAが武装活動停止を宣言した直後の北アイルランドの "de-militarisation" (非軍事化、脱軍事化) においてまっさきにdismantleされるというシンボリックな役割を果たしたのだが(←この「脱軍事化」を「ブレアの労働党は拙速であった」などと非難する声が保守党から出るまであと少しだと個人的には思っている。既に「IRAのテロの被害者」の間からはそういう非難が出ている――というか「拙速だった」よりももっと強い非難だが)、They haven't gone away, you know! ってなわけではなかろうが、Provisional IRAが武装活動をやめて普通のおっさんとおばさんに戻ったあと、この地域を拠点としたのがReal IRAだった。

今回発見された爆発物が誰によって製造され仕掛けられたものなのかは現時点では不明だが(推測や憶測はいくらでもできるにせよ)、このエリアでは8月に、Real IRAがshow of strength (「軍事パレード」のようなもの) を行なっている。

ガーディアン記事から:
Last month, the Real IRA staged a show of strength in the nearby village of Meigh. Armed dissidents patrolled the village with Kalashnikov rifles and rocket launchers, and even stopped traffic at a makeshift roadblock. A police patrol that drove into Meigh had to withdraw when officers realised they were outgunned by the Real IRA unit.

【大意】先月、この近くのMeigh村では、リアルIRAが「力の誇示」を行なった。カラシニコフやロケットランチャーで武装した非主流派(のリパブリカン)が村をパトロールし、臨時で道路を封鎖して交通規制をしいたのだ。Meigh村に車で入った警察のパトロールは、現場にいたリアルIRAのユニットに武力で劣ることに気付いて、何もせずに引き返すしかなかった。

http://www.guardian.co.uk/uk/2009/sep/08/bomb-irish-border-defused


タイムズ記事から:
Masked men armed with AK47 rifles and a rocket grenade launcher set up a checkpoint and handed out leaflets to the occupants of vehicles that they stopped, warning them not to collaborate or assist the police.

The incident caused anger when it was revealed that a police patrol had come across the men but left the scene because they were so heavily armed.

【大意】AK47やロケットランチャーで武装した覆面の男たちが検問所を設営し、車に一時停止を命じ、車に乗っている人たちに、警察に協力したり警察を支援したりしないよう警告するビラを配っていた。警察のパトロールがこの検問に行き当たったが、武装勢力があまりに重武装していたので警察は現場を離れたということが明らかになり、この件は怒りを引き起こした。

http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/article6826197.ece


警察は「警察を狙った爆弾」と考えているらしい。他のメディアの記事にもあるが、テレグラフから担当の警官の発言を抜粋:
"Their actions were reckless and dangerous in the extreme. Their target may have been the police, but they did not care who they killed or injured."
「彼らの行動は極限まで無謀で危険なものだ。彼らの標的は警察であったかもしれないが、誰を殺傷するかを気にかけるような連中ではない」

http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/terrorism-in-the-uk/6157493/Northern-Ireland-bomb-set-to-murder-police-officers.html


Slugger O'Tooleは、9月7日に「何か大きな出来事が起きている」という(おそらくはテレビでの誰かの発言の引用か何かを使った)見出しでスレを立てて、以後リアルタイム更新。
http://sluggerotoole.com/index.php/weblog/comments/theres-some-major-event-going-on/

「ボムが見つかった」と報じられたのが現地8日で、その後コメントが増えている。2ページ目の2件目(通しで27件目)に "What used to be the IRA does not exist anymore but the problem is that no one has the sole rights to be the IRA and historically when one IRA bowed out another bowed in and so once again we have an IRA, just not the provo IRA." というコメントがあるのだが(「かつてIRAだったものはもう存在しないが、問題はIRAになれる権利を独占しているものなど誰もおらず、歴史的にもひとつのIRAが退場すればすぐに別のIRAが登場してきた、ということだ。つまりIRAがいなくなることはない。IRAはProvisional IRAだけではない」)、これはすばらしく上手な説明だと思いつつ、本当にうんざりする。

Real IRAについては「終戦に気付かずに戦争を続けていた日本兵みたいなものだ」とかいう発言もどこかで見かけたが(SluggerかBelTelのコメント欄だったと思う)、「恥ずかしながら」の日本兵の人は「知らされなかった」のに対し、Real IRAは「受け入れることを拒否している、無視している」状態だ。

【UPDATE@9日夕方(日本時間)】
上記のソースとした報道があってから12時間少し経過して、「誰のボムか」についての報道の方向が変わってきた。上記の時点では「Real IRAの可能性が高い」という調子だったのだが、9日の7:22 GMT(日本時間で16:22)時点の記事(下記URL)では、「Oglaigh na hEireannと思われる」とある。これは「分派の分派」で人数的に規模が大きな組織ではないが、Real IRAやContinuity IRAが「ガチの武装闘争至上主義」だとすれば、Oglaigh na hEireannは「ガチガチの(以下同文)」という感じだろう。ただしこの組織名(っていっても、the Irish Republican Armyの昔からのアイルランド語名なのだが)を使って武装闘争活動を開始したのはわりと最近で、詳細は把握しきれていないらしい。いずれにせよ、そういう「マイナー」な分派組織が、600ポンドというものすごい量のボムを作って新聞社に連絡したということは……うむー。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/8245581.stm



なお、サウス・アーマーでの爆発物処理の各メディアの記事を読んでいるときに、イングランドのウィルトシャーにある空軍基地でもボムかというニュースが入ってきていた。最終的には、空軍基地のほうはfalse alarmだったとのことだが(検知犬が敏感すぎたために発生)、全盛期のPIRAに何が可能だったかを思うと、「まさか」という気分がして落ち着かなかった。

空軍基地の件については下記などで。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/wiltshire/8245200.stm



Bandit Country - サウス・アーマーについて:

ジャーナリストのトビー・ハーンデンが書いた本がある。私はこの本自体は未読だが、あちこちでソースとして引用されているのを見てはいる。
0340717378Bandit Country: The Ira and South Armagh
Hodder & Stoughton 2000-09

by G-Tools

著者のサイトで少しだけ中が読める。

サウス・アーマー一帯の1970年代の様子は、下記のBBCの時事番組のクリップに詳しい。

panorama 1976 Bandit country


BBCは「セクタリアン・キリング(カトリックだからという理由で殺したり、プロテスタントだからという理由で殺したり)が止まらない。英軍は何をしているのか」という調子で報じている。この方向性は、「IRAは民族解放のために戦っている」とかいうロマンチックな幻想を信じてる人たちにとっては、当時は「やられているからやり返しているだけなのに、ことさらに騒いでいる。敵のプロパガンダだ」というようなものだったかもしれない。(事実としては、IRAはセクタリアンな暴力を行使していた。ただし、UDAやUVFのセクタリアニズムに言及せず、IRAだけについてそれを言うのは、控え目に言ってもとても不誠実なことだ。)

※この記事は

2009年09月09日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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