「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2009年04月30日

「みんなの翻訳」とjamendo.com

ばたばたしていたのでエントリにするのがすっかり遅くなってしまいましたが、4月8日(お釈迦様のお誕生日でありカート・コバーンの死が報じられた日である)に、「みんなの翻訳」のウェブサイトが一般公開されました。
http://trans-aid.jp/



これは情報通信研究機構 (NICT) 言語翻訳グループ東京大学大学院図書館情報学研究室の共同プロジェクトです。開発には非常に質の高い辞書を出しておられる三省堂さんが協力しています。

「みんなの翻訳」は翻訳支援のサイトです。「翻訳支援」というのは、機械翻訳のように原文を投げると翻訳文を作ってくれるという機能(「翻訳」という作業が自分ではできない人のためのもの)ではなく、「翻訳」という作業ができる人にとって、その作業を簡単にするというようなことです。具体的には、辞書引きと調べものの手間などを大幅に軽減してくれ、「翻訳」という作業に集中できる、ということになります。

「みんなの翻訳」を使って翻訳の作業を行なうときに使用するのが、「QRedit」という高機能エディタです。QReditは、原文表示ウィンドウと翻訳文作成ウィンドウの2つの画面が同時に参照できる2ペインのテキストエディタで(同時スクロール化)、クリックでポップアップする辞書がついています。この辞書が三省堂さんの『グランドコンサイス英和辞典』(36万語)です。さらにすごいのは、このポップアップ辞書は単語だけではなく連語・熟語も認識してくれるという点。

詳細は、「みんなの翻訳」の「初めての方へ」をご参照ください。
http://trans-aid.jp/help/firststepguide/

また、「QRedit」を使って作成した翻訳文は、元々の文書が「公開OK」のライセンス(Creative Commonsのライセンスなど)や「公開すべし」の条件(GNU GPLなど)の場合、また原文著者からの許諾がある場合は、「みんなの翻訳」のサイト上で公開できます。(著作権法の「例外規定」が適用される場合は例外ですが。)この点については、下記ページをご参照ください。
http://trans-aid.jp/help/firststepguide/pubornot.html

私はこのプロジェクトに、組織外から、「翻訳アドバイザリ」のひとりとしてかかわってきており、ユーザーという立場からいろいろと意見させていただいたりしてきました。

サイトの一般公開にともない、デモ動画の作成などでも関わらせていただいています。

QRedit デモ動画「基本編 (1) ---翻訳文書の作成」(4分ほど)
※このビデオは「Creative Commons表示 2.1」のライセンスで公開するものです。著作者は「みんなの翻訳」です。
http://www.youtube.com/watch?v=fg19nfrOQwQ


QRedit デモ動画「基本編 (2) ---もうひとつの起動方法と文書の保存」
※このビデオは「Creative Commons表示-非営利 2.1」のライセンスで公開するものです。著作者は「みんなの翻訳」です。
http://www.youtube.com/watch?v=g5b7B1i1R4c


※誰ですか、「実例がわかりやすすぎる」とお茶ふいてるのは。

それぞれ、作ってみたら長くなって、無音では見ているのがつらかったので、Creative Commonsライセンスの曲をつけることにしました。

「デモ動画・基本編 (1)」で流している音楽は、Revolution Voidの "Tree Tenants" という曲です。下記URLでダウンロードできます。
http://www.jamendo.com/en/album/27332

Revolution Voidの紹介文(日本語訳)は:
http://trans-aid.jp/viewer/?id=2487&lang=ja

最初は上記のとは別のアルバムで検討したのですが、あまりにかっこよすぎて、デモ動画のバックに流したら違和感がありすぎました。下記のアルバム、Increase the Dosageの4曲目、"Effects of Elevation" 聞いてみてください。すごいから。ベースはMatthew Garrison。かっちょよすぎる。
http://www.revolutionvoid.com/rv003/

もう1本の「デモ動画・基本編 (2)」で流している音楽は、1曲目はNine Inch Nailsの "12 Ghosts II" で、これはもう説明不要だと自分では思います。
http://www.nin.com/

2曲目は、Antony Raijekov (アントニー・ライジェコフ) の "Exit 65 (2005)" という曲です。下記でダウンロードできます。
http://www.jamendo.com/en/album/3777

アントニー・ライジェコフの紹介文(日本語訳)は:
http://trans-aid.jp/viewer/?id=2483&lang=ja

この方は、ブルガリアのOpen Cultureの主導的な人物で、ウィキペディアの英語版にも項目があります。

なお、いずれも、音楽と映像の意図的な同期は行なっていません。すべてハプニング、チャンス・オペレーションです。フリーダム!(え)

これらの音楽を「発見」できたのはJamendo.comのおかげです。この3月末まではLast.fmを使って満足していたので(Jamendo利用者を含むCCのアーティストもLast.fmに曲をアップしていて「ラジオ」機能でいろいろ聞けたので)、イマイチ使い勝手の悪いjamendo.comはアカウント取るだけ取ってほとんど使っていなかったのですが、Last.fmの斬新な方向転換に呆れ果ててから、jamendo.comを積極的に使うようになりました。

Jamendo.comでは、あれこれアルバム単位で閲覧しながらポップアップのプレイヤーで聞いて、「かっこいい」と思った曲は「ハート」をクリックしたり、プレイリストに入れたりしているわけですが、そうするとアーティストさんからfriends申請が来たりprivate messageが来たりして、かなり密です。元はフランス語ベースのサービスだけど英語で全部できるので、興味がおありの方は、QReditでバックに流させてもらった曲から始めて、いろいろ聞いていただければ、と思います。端的に、こうやって音と接するのは楽しいです。

jamendo.com での私のアカウントのページは下記:
http://www.jamendo.com/en/user/nofrills

プレイリストは適当に、「このボタンをクリックしたらどうなるのかな」的にやってたのがそのままになってたりもしてリストの数だけは増えているという状況ですが、1つ目のプレイリストは、ちゃんとまとめようとしています。一応 "electro_chill" と銘打っていますが、中身はけっこうばらばらで、エレクトロの要素があって静か目なら何でもという感じで、割合としては「ダーク・アンビエント」と「ダウンテンポ」が多い。同じアルバムから2曲とか平気で入ってますが、とりあえず機能を試しているという段階のリストなので、その点はご容赦ください。曲の並べ替えが非常にやりづらいというインターフェース上の問題から、このプレイリストは40曲になったらいったん閉めることにしてます。今36曲。
http://www.jamendo.com/en/playlist/85913

今は、27日にリリースされたばかりの、Fatman On The Vibesというフランスのバンドの "Tetris Spirit" というアルバムの1曲目を聞いています。ジャズ・ファンクでとても生っぽい、と思ったら説明のところに「コンサートのライヴ録音です」って書いてある(のだと思う。フランス語だから、勘違いしてたらごめん)。
http://www.jamendo.com/en/album/44470



「みんなの翻訳」についてのNICTプレスリリース:
http://www2.nict.go.jp/pub/whatsnew/press/h21/090406/090406.html

「みんなの翻訳」についての東大大学院の図書館情報学研究室のサイト(アーカイヴ):
http://panflute.p.u-tokyo.ac.jp/~kyo/shiitake.html

「みんなの翻訳」についてのネット上の記事:
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/04/06/23048.html
http://slashdot.jp/it/09/04/15/0035202.shtml
http://marketing-brain.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-aa36.html



Creative Commonsのライセンスで翻訳(派生)の再配布がOKなサイトとしては、有名どころでは:

Creative Commons blog (Creative Commons Attribution 3.0): 当たり前すぎる……
http://creativecommons.org/weblog
http://creativecommons.org/licenses/by/3.0/

Boing Boing (CC Attribution-Noncommercial 2.5 Generic):
http://boingboing.net/
http://creativecommons.org/licenses/by-nc/2.5/

あと、BBCのサイトにCCライセンスのついたものがいくつかあったりします。BBC Musicのディスクレビューとかもね(下記はその一例)。
http://www.bbc.co.uk/music/reviews/44zf
http://www.bbc.co.uk/music/reviews/wz4h
http://www.bbc.co.uk/music/reviews/55mq

あ、Prefuse73のレビューもある。これは近々買うので、盤を手に入れたら翻訳するかな。
http://www.bbc.co.uk/music/reviews/zhvr

Duke Specialのもある。これはやろうか。
http://www.bbc.co.uk/music/reviews/hvn8

Open Democracyも慎重に選べばCC-BY-NCの記事はあるかもしれません。私が見たのは全部NDで、翻訳の公開については問い合わせが必要だけれども(「翻訳されるなんて考えてなかった」ということもよくある)。
http://www.opendemocracy.net/

それから、Jamendo.comの音源については、「au one ラボ」さんで「にたうた検索」というのが始まったそうで、これが楽しい&有益です。
http://nitauta.kddilabs.jp/

というところで。

※この記事は

2009年04月30日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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