「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2009年03月24日

北アイルランド、警官殺害事件で1人起訴(+もう1人起訴)。起訴されたのは17歳の少年(→1975年に17歳で人を殺したロイヤリストの現在)【メモ】

今月9日のクレイガヴォンでの警官殺害事件(Continuity IRAが犯行声明)で警察に逮捕されていた人々のうち、1人が起訴された。

この事件では7人が逮捕され、取調べを受けているが、起訴されたのはその中で最年少の17歳の男性だ。彼は法定年齢にも達していないから、起訴されても名前も公表されない。起訴事実は次の通り。

A 17-year-old youth has been charged with the murder of Constable Stephen Carroll in County Armagh earlier this month.

...

The youth is also charged with having a firearm with intent to endanger life and membership of a proscribed organisation, the Continuity IRA.

...

The 17-year-old also faces a further charge of collecting information likely to be of use to terrorists.

http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7960463.stm


つまり、殺人、生命を危険に陥れる意図を有した上での銃器所持(後刻の報道によればアサルトライフル: was in possession of an assault rifle and 26 rounds of 7.62 calibre ammunition)、特定組織(日常語でいう「テロ組織」)のメンバーシップ、テロリストに利用される可能性が高い情報の収集。

わずか17歳でこれだけ並べられて、警察の捜査がいつものごとく的外れ(顕著な例としては、ノーザンバンク現金強奪事件)でないことを祈るしかないが、それ以前にmurderで起訴されたのが17歳ということが、かなりショッキングだ。つまり実行犯ということだから。

17歳ということは、1998年のグッドフライデー合意のときは6歳である。北アイルランドの主要なパラミリタリー組織は1997年に停戦していたから(ただしCIRAは停戦していなかったし、この「停戦」をめぐってPIRAからRIRAが分派した)、世間で起きていることがある程度筋道だって把握できる年齢に達したころには、「北アイルランド紛争」は、形式的には(と留保をつけざるをえないのが現実だが)、終わっていたはずだ。

AFP BBの記事:


英語の報道記事は、3月24日にまとめてブクマしてある。大きく分けて2つの件が同時進行している(うえに、ビリー・ライト・インクワイアリとか、トマス・デヴリン殺害事件の報道もどかっと出てきた)のでかなりごちゃごちゃしているが。
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/20090324

3月の2件のdissident republicansによる殺人事件については、23日から24日にかけて(←GMTと日本時間が自分の頭の中で混在しているので、曖昧ですみませんが)、次のようなことが報じられていた。

Two released in PSNI murder probe
Page last updated at 18:05 GMT, Monday, 23 March 2009
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7960129.stm

クレイガヴォンの警官銃撃事件で逮捕されていた7人のうち、27歳の男性、31歳の男性の2人が釈放。残る5人が引き続き拘置。

一方、アントリムの英軍基地襲撃とクレイガヴォンの警官銃撃の2件の事件で逮捕された11人(←確か。このうち上記のように2人釈放で9人になっているはずだが、この前の段階で2人釈放があって7人になっていたかもしれない<よく覚えていない)のうち、6人がHigh Courtに対し、拘置延長(警察はさらに7日間の延長を申請している)に対する異議申し立ての手続を開始(欧州人権条約のもとの自由権に抵触するとして)。これら6人のうち出廷したのは、アントリムの事件で尋問されているコリン・ダフィのみ。

それから、この記事でも、またこの日のほかの記事でも言及が見られなかったのだが、クレイガヴォンの事件で逮捕されたうちで31歳の男性が「食を拒んでいる」ことが、先週末には明らかにされていた。「食を拒んでいる」と遠回しな表現になっているが、ハンガーストライキである。別の記事か何かでは、ハンストをしているのは2人と出ていたが、BBCでは1人しか言及されていなかった。

Murder arrest man refusing food
Page last updated at 16:44 GMT, Saturday, 21 March 2009
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7957033.stm

アイリッシュ・リパブリカニズムとハンガーストライキの歴史については、Peter Berresford Ellisが歴史家として書いた文章などを参照(Ellisは、ピーター・トレメインという筆名で小説を書いてもいるが、歴史家であり、コーンウォール語の専門家である)。

ハンストをしていた人たちは、23日付のRSF (共和主義シンフェイン) の声明によると、23日に釈放された2人だそうだ。

しかし、今度はアントリムの事件で逮捕されたクレイガヴォンの隣町であるラーガン在住の(ややこしい……)コリン・ダフィがハンストを行なっている、という記事が出た。

Ex-prisoner held over Northern Ireland soldier murders on hunger strike
Henry McDonald
guardian.co.uk, Monday 23 March 2009 12.17 GMT
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/mar/23/colin-duffy-northern-ireland-hunger-strike
In a statement issued through the Republican Unity Network, Duffy's family said he was refusing food "to highlight the injustice he is suffering".

The family added: "Following his arrest Colin's legal representative was astounded to be informed that the arrest was 'not based on evidence'. In the absence of any evidential basis for his arrest, it is clear that the PSNI had other sinister motivations for detaining him.

"It is the view of his family that the PSNI's motivations are based upon sheer vindictiveness and also as a reaction to the media frenzy."


声明を出したthe Republican Unity Networkは、Republican Network for Unityのことだろう。つまり、「32CSMとIRSPの連合」(という話なのだろうと思うけれど、もうごちゃごちゃで何が何やら……)。

ダフィはReal IRAのメンバーシップを否定している。

それから、上記のヘンリー・マクドナルドの記事で気になるのが次のくだり:
Among those still in detention are the sons of former Irish National Liberation Army leader Dominic "Mad Dog" McGlinchey. They also include former Sinn Féin councillor Brendan McConville.

「狂犬」マックグリンチーの「息子」が、複数形になってるよ、いつの間にか。ただのタイプミスだと思いたいけど。

さて、17歳男性の起訴については、英各メディアで報道されているが、最もコンパクトで内容が濃かったのがタイムズの記事だ(タイムズは、外部コラムニストの論説はグダグダだったりするが、報道はいい記事が多い)。BBCが逐次すぎてごちゃごちゃになっているのをきれいに整理してくれている記事、という感じ。

March 24, 2009
Teenager charged over murder of Ulster policeman Stephen Carroll
David Sharrock, Ireland Correspondent
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/crime/article5963701.ece

ポイントとしては、17歳男性(彼のことをタイムズは、boyという語で表している)が、CIRAが犯行声明を出している警官殺害事件で、殺人と銃器所持、CIRAメンバーシップ、情報収集で起訴され、24日の午前中にアントリム州リスバーンの法廷に出廷する、ということ。それから、殺害された警官、スティーヴン・キャロルさんは、あの日、クレイガヴォン在住の女性から窓が割られたとの通報があって現場に行き、車の中にいて、後頭部を撃たれたということ(この点について、初期情報は混乱があり、「車から出たところを」となっていたが、CIRAのステートメントで左記のようになっていたらしい)。

そして、起訴された17歳男性が、既に13日間拘置されており、それは1975年にインターンメント政策(裁判を受けさせぬまま、単に拘置しておく)が終わって以降、最長期間の拘置であったこと。この点については、シン・フェインのジェリー・アダムズも反応している(アダムズ自身がインターンメントを経験し、そのときに拷問を経験している。ナショナリストのコミュニティでは、彼と同世代やその上の人たちの多くが同様のことを経験している)。ただし、インターンメントの時代とは違って、拘置施設の中で暴行・拷問が行なわれているということはなく、ただ長期間人を置いておくにはあまりにひどい環境であるということは、人権コミッショナーの視察から、確かなようだ(DUPは脊髄反射しているけれども)。

そして、なぜ起訴が今日だったのかについて、タイムズの記事は次のように端的に説明している。
Today police would have had to have released him or applied through a judge to continue holding him for another five days. Under the Terrorism Act 2006 suspects can now be held for up to 28 days.

警察は今日、彼を釈放するか、あるいは判事を通じて、さらに5日間の勾留延長を申請するかしなければならなかった(ので起訴に踏み切った)。2006年テロリズム法では、容疑者の勾留は最長で28日間。


うむ、正直北アイルランドで「2006年テロリズム法」の「28日間」が問題になるとは、という気が。(問題になるとしたら、イングランドでのイスラム過激派の活動に関連してだろうと思っていた。)

TA2006といえば、それを改めるための2008年の例の「42日間拘置」の審議(2008年6月:結局これは廃案となったが)で、最初に労働党が多数を確実にするために頼ったのがDUPの9議席だった、というものすごい皮肉を思い出すのだが、そもそもTA2006はブレア政権で、このときに「14日間」の拘置期間を「28日間」に延長した際、政権側は最初は「90日間」とかいうストローマンを立て、それにあえて反対させることで、現行の「28日間」を通した。

まあ、実際には「28日間」の域に達する前に起訴されているのだが。2人が釈放されていることとあわせると、まさに「起訴するか釈放するか」

なお、TA2006に関する法的なバックグラウンドについては、BBCのこの記事(少し上でもリンクしたけど)が詳しいので、それをご参照のほど。

さて、起訴されて出廷した17歳男性はというと、本人は一切反応せず、弁護士が起訴事実否認と述べたとのこと。また、警察の取り調べでも一切口を開かなかったとのこと。なお、保釈請求はしない。

Youth denies killing NI constable
Page last updated at 13:05 GMT, Tuesday, 24 March 2009
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7961080.stm

He appeared at Lisburn Magistrates Court which was told he made no reply to the charges, but his lawyer said he would deny them.

The court was told that the youth had been in custody for 13 days and during that time had refused to speak during police interviews.


もうちょっと詳しいやりとりがベルテレに。

Teen in court on officer Carroll murder charge
By Victoria O'Hara
Tuesday, 24 March 2009
http://www.belfasttelegraph.co.uk/business/business-news/teen-in-court-on-officer-carroll-murder-charge-14240709.html
Detective Inspector John Caldwell told Magistrate Rosie Watters that he could connect the youth to the charge.

Defence solicitor Paddy Moriarty asked the officer how long his client had been held for and how many times he had been interviewed during that period.

Det Insp Caldwell told the court the boy had been held in custody for 13 days and said he believed the number of times he had been questioned was "in the late teens".

Mr Moriarty also asked him if his client had made any admission during this time.

Det Insp Caldwell told the court: "He refused to speak throughout the interviews."

The solicitor said his client would be denying all the charges, but made no application for bail.


次回の法廷は4月3日で、17歳の被告はビデオリンクでの出廷となる。

それから、コリン・ダフィら6人がHigh Courtに対し、拘置延長に対する異議申し立ての手続を開始した件での報道がどかっと出た時間帯を挟んで、クレイガヴォンの警官銃撃事件でもう1人、37歳男性が起訴されたとの報道。出廷は水曜日。

Second charged with police murder
Page last updated at 18:40 GMT, Tuesday, 24 March 2009
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7962252.stm

この37歳男性の起訴事実は、charged with the murder of Constable Stephen Carroll(警官殺害)と、charged with having a firearm with intent to endanger life(銃器所持)となっているが、水曜日午前中(現地時間)にならないと詳細はわからない。

これで、当初9人逮捕されていたクレイガヴォン事件では、2人が起訴、2人が釈放となり、3人がいまだ勾留されている。



Sluggerの投稿のコメントがものすごい数になっていて、最後のほうのはなぜその話になっているのかついていけないから見ていないのだけど、最初の方のは、「なんでそんなに若い子が」という反応と、「この起訴がデタラメでないことを祈る」という反応が主。「真相がどうあろうと悲劇 (whatever the outcome, this is tragic.)」という内容のコメントがあったが、それが響いてしまって息苦しい。

17歳といえば、BBCが制作したドラマ、Five Minutes of Heavenで描かれた「ロイヤリスト武装組織UVFのテロリスト」は、「カトリック野郎」を殺した時に17歳だった(ドラマでは、事件から30年ほどあとの彼を、リーアム・ニーソンが演じている)。

この「元テロリスト」が、BBCの番組で自身の経験を語っている音声ファイルが、奇しくも24日に公開された。この状態で聞ける話だとは思わないからまだ聞いていないけれども。

Loyalist killer turned peacemaker
Page last updated at 10:47 GMT, Tuesday, 24 March 2009
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/7961035.stm

Caught up in the Troubles in Northern Ireland, Alistair Little murdered when he was 17. The story is the subject of a new award-winning BBC drama Five Minutes Of Heaven starring Liam Neeson and James Nesbitt.

Now he works in conflict resolution in the world's war zones. He tells BBC Radio 5 live what drove him to kill and what made him re-evaluate his beliefs.

北アイルランド紛争の激流の中、アリステア・リトルは17歳のときに人を殺した。BBC制作のドラマ、Five Minutes of Heaven(主演、リーアム・ニーソン、ジェイムズ・ネスビット)の主題となった事件だ。

リトルは現在、世界各地の紛争地帯で紛争解決の分野で仕事をしている。彼はBBC Radio 5に出演し、なぜ人殺しをおこなったのか、どうして自身の信念を再考することになったのかを語った。


彼が以前書いていたことについて、私が書いたことから。
http://nofrills.seesaa.net/article/100847837.html
the Forgiveness Projectにページがある。
http://www.theforgivenessproject.com/stories/alistair-little

そのままドラマに出られそうな風貌。いかにも「テロリスト」然としたマッチョマンな雰囲気ではない。

14歳でUVFに入った時点から始め、本人が経緯を語っている。

【要旨】
UVFに入った理由は、友達のお父さんがリパブリカンに(=IRAに)殺されたからだ。復讐をしたかった。お葬式にはまだ小さな娘さんもいた。脚を銃撃されていた。パパ、パパと泣き叫んでいた。次はうちの親かもしれない、と思った。そして14歳で、やり返す機会というものがもしあれば絶対にやり返す、と誓った。

人間は自分の言っていることが伝わっていないと感じたとき、あるいは自分自身が脅かされていると感じたときに、いとも簡単に暴力に走る。これは人間が、痛みや傷に反応するときのやり方だ。私が経験したのはそういうことだ。

17歳のときに、まったく知らない人の家に入っていって、その人を撃ち殺した。自分がやると申し出てやったことだ。

暴力を否定するようになったのは、メイズ刑務所で12年間服役していた間のことだ。いきなりそうなったわけではない。ゆっくりと、変わっていった。苦しいことだった。孤独、孤立、それは半端なものじゃなかった。でも暴力を使う人間は、自分も含めて、物事を一方からしか見ていないのだということに気付いた。自分が暴力を行使すれば、他人が復讐や憎悪をかきたてられるのだと、そういうことに気がつかない。そうやって行き着く先は、終わりのない暴力の連鎖 (a never-ending circle of violence) だ。


ジム・グリフィンを射殺したとき17歳だった彼を終身刑にすることはできなかったので(英国・NIにも少年法のようなものがある)、彼は大臣の監督下に置かれ、13年をロングケッシュ(メイズ刑務所)で過ごした。

1975年から13年というと1988年まで。グッドフライデー合意の10年前だ。……略……

出所後、彼は暴力の原因をなくすことを目的とするプロジェクトで仕事をしてきたという。南アでMichael Lapsley(ANCで活動した白人の神父)と一緒にトレーニングを受け、この5年間(いつのことかは具体的には不明)はthe Healing of Memoriesという組織のNI支部まとめ役をしている。また、コソヴォ、ボスニア、セルビア、イングランドでワークショップを行なっている。

自分のしたことの結果は、一日たりとも自分から離れたことがない。内的平和 (inner peace) という点では、自分が何を失ったのかはよくわかっている。もう一度あのときをやり直せるならば、ああいう行動は取らなかった。

けれども、自分には「許してください」などという権利はない。そんなことをすれば傷つけた上に侮辱することになる。ご遺族にまた新たな荷を負わせることになる。ほとんどの場合、許しを請うことは、加害者の必要のため、被害者や被害者の家族の必要のためではない。

そして、許すということができない、と言う人たちもいる。それは弱いからじゃない。怒りや負の感情に飲まれているからでもない。これまでに会った人たちの中にはどうしても許すということができない人たちもいた。でもそういう人たちは、起きたことによって自分が麻痺するということも許していない。つまり、人間として、修復できないくらいに深く傷ついてしまった、ということだ。そういう人たちにも許すべきです、などとはとてもじゃないが言えない。

残念なことに、和解や許しは政治化されてしまっている。自分にとってはもう価値を持たなくなってしまった。


……なんて「悲しい」言葉だろう。なんて透徹した言葉だろう。

……略……「和解や許しは政治化されてしまっている」のだ。和解や許しは、「政治的なポーズ」になり、それが「政治的に」意味や価値を持つ。「紛争」を「過去のもの history」とする、という「政治」のために。その過程で、武力紛争を経験していない民主主義社会と同じような(あるいはそれよりもさらに激しい)「権力闘争」が絡んでくる。そこで「語られていることば」のどれほどが、「真実」を表そうとしてのものなのか、「ことば」に対する信頼の根底の部分がぐちゃぐちゃになっているような。

アリステア・リトルさんは「政治化されてしまった和解や許しは、自分にとっては価値のないものになってしまっている」と書き、「自分にとって希望となっているのは、人間という代償 (human cost) を知っている人たちと実地で活動することだけだ」と書いている。彼はおそらく「ことば」を信じていない。特に「政治家たちのことば」を信じていない。

「自分のような者に手を差し伸べて友情を示してくれる人、許しを示してくれる人がいる。心を動かされないわけにはいかない。自分も何かしなければと思わないわけにはいかない」と彼は語る。……

※リトルさんの書いたことの続きは、引用元(ここの過去記事)でどうぞ。



追記@25日午後8時半ごろ(日本時間):
現地時間で25日午前11時半ごろだが、37歳男性が出廷したことと、コリン・ダフィらがhigh courtで勝ったことが報じられている。それらについてはこの次のエントリに書く。

一方で、過去にブクマした記事のこと。起訴された17歳男性が逮捕された直後、3月12日にベルファスト・テレグラフが出した記事。

Teenager arrested for constable’s murder has an alibi, claim parents
By David McKittrick and Lesley-Anne Henry
Thursday, 12 March 2009
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/local-national/teenager-arrested-for-constablersquos-murder-has-an-alibi-claim-parents-14222625.html

同じ日にベルテレ系列のインディペンデントで、By Kim Sengupta and David McKittrickのクレジットで出ている記事と比較すると、David McKittrick(ベテランのNI記者)が書いているのは、ベルテレ記事の後半、RSFスポークスマンのリチャード・ウォルシュのコメント(たぶん、マックキトリックが独自に取材しているのだと思うがよくわからない)と、EirígíスポークスマンのBreandán MacCionnaithのステートメントについての部分で、ベルテレ記事の前半、逮捕された17歳男性の家族の反応は、ベルテレのLesley-Anne Henry記者の取材で、ベルテレ独自の内容だろう。

この記事では、逮捕の様子を生々しく伝えながら、逮捕直後に17歳男性の母親と、17歳男性の継父(おそらくお母さんのパートナー)に話を聞いた内容をまとめている。

内容を箇条書きにすると:
-逮捕に向かった警察はサブマシンガンで武装していた。

-母親:「あの子は政治には興味はない。好きなのはサッカーだけという子だ」(ただし、「現場」において、CIRAやRIRAが「政治」なのかどうか、という問題もある)

-継父(デイリー・テレグラフのインタビュー):「あの子が逮捕される道理などない。酒は好きな子だが、暴力をふるったことなどない」

-継父:「事件のあった時刻には、あの子は付き合ってる女の子の家で酒を飲んでいた」

-逮捕現場は継父の家の前。ガールフレンドと歩いてきたところを、the Prevention of Terrorism Actで逮捕された。(なぜTAではなくPTAなのかは私にはわからない。)

-警察は継父の家を強制捜査、ガールフレンドの家も強制捜査。これでコンピュータや靴といったものが押収された。

-継父:「このような扱いをするとはひどい。かつてはこの辺りにはProvisionalsがいたが、もう存在しているとは言えない、ごくごく少数だ」(現地語すぎて直訳は危険。Provisionalsというのは厳密に「PIRA」のことではなく、「リパブリカン武装組織」のことではないかと思われる。)

-継父:「しかし警察は一方的に決め付ける。人が撃たれたので何かをしなければならない、しかも警察の一員が撃たれたのだから。しかし、このようなことをすれば、ああいう組織(武装組織)に入る人が増える結果になる」

この継父は逮捕・尋問などはされていないとのこと。

いずれにせよ、あんなに小さなコミュニティで、これはあまりに痛々しいことだ。昔からのハードラインの人物ではなく、17歳という年齢の「ポストGFA」世代の人物が、「実行犯」として逮捕され、起訴されたということは。

※この記事は

2009年03月24日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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