「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

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2009年03月21日

Google Street Viewで、ベルファストに行って、ほぼ初期状態での「プライバシー保護」の様子を観察してみた。

Google Street View (UK)のサービス・インで、ここまでハックニーハリンゲイおよびフィンズベリー・パークと、個人的に「懐かしがる」ヴァーチャル・トリップをしてきたのだが、あるとわかってるのにヴァーチャルで訪れないわけにはいかないのがベルファスト。というわけで西ベルファストの有名エリアだけ見てみました。(ヒマな人は、Google Street View (UK)でBelfastの上に人形をドラッグ&ドロップしてみてください。最初に出てくる写真が、Lisburnなんですけど、これって撮影する意味あんの?という感じの写真だと思います。これはこれで、すごく旅行気分になれるのだけど。)

結論的には、これは「いくら時間があっても足りません」って感じ。本や年表の類でしか知らなかった街が、壁画データベースのようなものとは違って「街」というコンテクストの中で、また、flickrのような個人投稿の写真サイトとは違って「街路」という流れの中で見える。私はベルファストは行ったことがないので、当然、ロンドンとは違って「懐かしがる」感覚はまったくないのだけれど、ロンドンとはまるで違う「コンテクスト」の存在がすごすぎ。

まず、Googleの顔認識技術の性能がいかんなく発揮されたベルファストでの一枚は、Sluggerのコメント欄に投稿されていたURLを見ると、誰かが通報したらしく、画像が消されてしまっている。(→このほか、通報で早速消された画像についてはBBC記事参照。日本でのサービス・インよりさらに混乱してるかもしれない。)



これのひとつ手前のカットは残っているが、それも壁画に描かれている人物の顔が見えない(木があるので)。


※広く知られていることなのでわざわざ書く意味もないと思うのですが、この絵が描かれている建物はシン・フェインの拠点です。

ここまで来ると、陰謀論思考で意味などないところに意味を見出したくもなってくるが(ボビー・サンズはある種のタブーだから)、実際に「意味」などないのだということは、次の例で証明されるだろうと思う。



リンク先で、画面右上にある「ユーザーの写真」を見ていただきたいのだが、これは2002年に亡くなったクイーン・マザー(エリザベス2世のお母さん)を讃える壁画で、ロイヤリスト地域のシャンキル・ロードにある。この壁画も、サンズ壁画と同じように、顔が認識されて「プライバシーが保護」されてしまっている。

ボビー・サンズはIRAの闘士で「テロリスト」だから顔が消されたのだろう、と考えたくなった人がいたとしても、「でもクイーンマザーも消されてますけど」という事例を見れば、単に顔認識技術が笑える結果を出しているだけだということで納得するだろう。

それから、Falls Rdにあるパット・フィヌケンの壁画は、コマによってぼかしが入っているのと入っていないのとがある。(ついでに言えば、車がいたりいなかったりするのだが。)



下記の「西ベルファストの観光」というテーマの看板も、カットによってぼかされていたりそうでなかったりいろいろだ。


※描かれているもので私にわかるのは、リパブリカンの壁画、教会など昔の建築物やモニュメント、Divis Flatsなど近代の建築物、スポーツ。右上の子供たちのは何だろう、教育のことかな(特にアイルランド語)。あとはまったくわからないけど、いずれにせよ、絵が部分的に誤認識されていたりする。

一方で、どう見ても「顔」なのに「プライバシー保護」されていない壁画もある。様式化されているから、人間には「顔」に見えても機械にはそうではないのかもしれない。



※この壁画はいかにも「リパブリカン」な壁画。下に並んでいる4つの紋章はアイルランドの4州の紋章で、左からマンスター、コナハト、レンスター、アルスター。標語はアイルランド語なので私には自力ではわからないが、Eirí amach na Cáscaは英語でいうThe Easter Risingのことで、壁画で人物の横に描かれているのはGPOだ。壁画に埋め込まれているのは、処刑された人々の名が刻まれたものだろう。

それから、私にはテーマがわからない壁画。死者/犠牲者の顔を並べたものであることは確かだけれども、わからない……。


と思って、このサイドストリートの方に行ってみたら、1981年ハンストと……何だろう、人数が多いのだが、ここでもまた、お1人だけ「プライバシー保護」されている。



同じ壁画を引いて見ると、左のほうにアルファベット・スープ。

RSYMというのは、IRSPのユース、つまりINLA。

このサイドストリートをもっと進むと、また別な壁画が出てきて:


こんなふうになった後に、住宅街へと続いてゆく。


別な通りには、かなり上手い壁画が。これも顔認識はされてないっぽい。


という具合に、西ベルファストを、Google Street Viewを使って散策してみましたよ、というお話でした。

おまけ (1): フォールズ・ロード名物のアルファベット・スープ(笑)。

IRA, Celtic, Eirigi, INLAなど。


おまけ (2): 営業している様子のない美容院のシャッターには、"GAZA BLEEDS, THE WORLD FIDDLES" の文字。


ベルファストの撮影は2008年3月から4月くらいに行なわれていたようで(別な通りで、「道路工事のため4月何日から数週間、通行止めになります」という表示が写りこんでいた)、最後のガザについてのメッセージは、2008年12月のあのとんでもない攻撃についてのものではないと思います。(アイリッシュ・リパブリカンは歴史的にPLOとの連帯があるので、ガザ封鎖開始後のいずれかの時期に書かれたのだと思います。)

ベルファスト散策はまだ続けるつもり。エントリにするかどうかはわかんないけど。



Sandy Rowのジョージ・ベストもプライバシー保護されてた!


同じくSandy Rowで、何かの旗ではこんなことが!

※この記事は

2009年03月21日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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