「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2009年03月09日

英軍基地襲撃、記事ははてなブックマークでクリップしています。(現段階での英メディア記事まとめ)

7日夜に発生したアントリムのMasserereene Barracksでの襲撃事件について、英メディアの記事は、8日と9日のはてなブックマークでクリップしています。
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/20090308
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/20090309

私が見ているのは、BBCとガーディアンとタイムズと、テレグラフを少々です。

アイルランド(共和国のほうも含む)のメディアにまでは手が回りませんが、今から数時間以内にはNewshoundが集めてくれると思うので(もっと日数が経過してトップページから消えていたら、3月分のアーカイヴを参照)、そちらでチェックしてください。

全体的に見てきて、今回最も優れた報道をしているのはタイムズです。

BBCは、SRR投入のときにも謎の記事削除が発生しましたが、今回もちょっといろいろと謎です。記事になるのが遅いし。

ガーディアンは、いろいろとあるのはわかるんですが(ちょうど1年前でしたね、ジョナサン・パウエルのNI和平内幕暴露本が出たのは)、イマイチ冴えません。悪くはないけれども、タイムズに比べると……。

テレグラフは、正直手が回らないのであまり見ていません。チェックしたい方は下記からどうぞ。トップページでの扱いはあまり大きくないので。
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/northernireland/

なお、ベルファスト・テレグラフはこういうときは濃すぎてちょっと「うっ」となるので、もう少し状況がはっきりしてから落ち着いた状態で見ようと思っています。ベルテレを見ればインディペンデントは見る必要がないので、インディは見ていません。

Slugger O'Tooleも見ていますが、ブラウザの画面で一方的にだけど「知ってる」人たちの直接の反応を読むのは、ちょっときつい……これも落ち着いてから。

それにしても、テレグラフのこれ(↓)はひどいよね。Real IRAのRealを省略しちゃったら、別の組織になってしまう。見出しには長すぎるから省略しているのかもしれないけど、「RIRA」と「IRA」は違う。テレグラフのスタイルガイドってどうなってるんだろ。



以下、8日と9日昼までにブクマした記事の中から、特にこれ、というもの。

■襲撃の様子@9日昼(日本時間)の新記事:
Security guards stood by as gunmen killed Northern Ireland soldiers - Times Online
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/article5871263.ece
※初期報道の疑問点が氷解した記事。軍施設にはNorthern Ireland Security Guard Serviceの武装警備員がいたが何もせず、兵士は武装しておらず。NISGSは軍施設の警備の仕事を始めて10年以上だそうだが、それはおそらく「紛争」終結後。兵士の非武装は、NIではいろいろとあったので……。また、犯行声明の電話で、Real IRAは「軍基地にピザを届けるピザ屋の店員はcollaboratorsだ」と。まったく無茶苦茶。「その道路はヒズボラが使っているので軍用道路」というのと同じ理屈。

First British troops killed in Northern Ireland due to leave for Afghanistan | UK news | The Guardian
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/mar/09/northern-ireland-british-killings
※殺された兵士2人は、数時間後にはアフガンに向けて出発する予定だった(スケジュール通りなら既に出発していたはずだが、飛行機が遅れた)ことなど(同じトピック@テレグラフ)。また、現時点でわかっている現場の状況と、事件後のダナット参謀長や一般の人々の反応。

■資料:
BBC NEWS | In Pictures | N Ireland killings: In Pictures
http://news.bbc.co.uk/2/hi/in_pictures/7931146.stm
※襲撃された車の写真など。

BBC NEWS | Northern Ireland | How the barracks attack unfolded
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7931260.stm
※現場の地図など。

Two soldiers executed in drive-by shooting as terror returns to Northern Ireland | Mail Online
http://www.dailymail.co.uk/news/article-1160317/Two-soldiers-executed-drive-shooting-terror-returns-Northern-Ireland.html
※現場のあたりの写真など。(記事は読んでませんから何が書いてあるのかは知らない。)

■「非(反)主流派リパブリカン dissident republicans」についての解説:
Q&A: Northern Ireland attack | UK news | guardian.co.uk
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/mar/08/faq-northern-ireland-shootings

Analysis: who are the dissident republicans? - Times Online 【必読】
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/article5869386.ece
※焦点はReal IRAだが、「非主流派リパブリカン」についてのまとまった解説になっている。

BBC NEWS | UK | Northern Ireland | Who are the Real IRA?
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7931694.stm
※「ダメ記事」の見本。内容はほとんどがIMCの昨年11月の報告書の引用で、そうでないことはウィキペディアにも書かれているようなこと。しかも、RIRA結成時のリーダーの配偶者がボビー・サンズの妹だからって、ボビー・サンズの写真を出す意味はない。出すなら32CSMの思想を解説しなければ話が見えないのに、32CSMのことはまったく書かれていないというダメっぷり。この数年のBBCのNI解説は、名前を出しているNI拠点の記者の記事でなければ読む価値なし、という確信を強めてくれただけ。

■襲撃事件直前、テロ警戒レベルが引き上げられたことについて、およびPSNIが軍特殊部隊を要請していたことについて:
'Critical threat' to troops in North - Times Online 【必読】
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/ireland/article5864941.ece
※ボムではなく銃による警官個人への襲撃が警戒されると当局筋が語っていた。つまり大掛かりな爆弾攻撃より、単独でも可能な銃撃にシフトしている、という分析。

FT.com / UK - Orde under fire over special forces
http://www.ft.com/cms/s/0/c758e026-0a9e-11de-95ed-0000779fd2ac.html?nclick_check=1
※6日付、充実した解説記事。FTにこういうのがあったとは。

■シン・フェインの立場:
Sinn Fein statement on Ulster barracks shooting - Times Online
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/article5868363.ece
※声明全文。正直なところ、何を言っているのかよくわかりません。

Massereene attacks find Sinn Fein like deer in headlights :: Mick Fealty
http://blogs.telegraph.co.uk/mick_fealty/blog/2009/03/08/massereene_attacks_find_sinn_fein_like_deer_in_headlights
※Slugger O'TooleのMick Fealtyのテレグラフ・ブログ。かなり早い段階で出した記事。さすがに明晰。(こういうのを読んでしまうと、ガーディアンの社説とか、ガーディアンの偉い人のアームチェアな解説が読めない。)

Army shootings: No grief, no anger as 14 hours after attack Sinn Féin has its say - Times Online
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/ireland/article5871060.ece
※容赦ない。

Sinn Féin leaders tiptoe through the atrocity | Paul Bew - Times Online 【必読】
http://www.timesonline.co.uk/tol/comment/columnists/guest_contributors/article5870796.ece
※By Paul Bew. (Lord Bew is an independent crossbench peer and Professor of Irish Politics at Queen's University, Belfast)

■北アイルランド政界の反応:
No retaliation pleas after barracks attack - Local & National, News - Belfasttelegraph.co.uk
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/local-national/no-retaliation-pleas-after-barracks-attack-14217897.html
※UPRG(ロイヤリスト武装勢力、UDAの政治部門)のフランキー・ギャラガーのコメントがたっぷり。これをやってくれるから、ベルテレさんは。

■あと、いろいろメモ。
There are an estimated 200-300 dissident republicans active in Northern Ireland, and even though no more than a dozen may have been directly involved, detectives believe the two masked gunmen who opened up before being driven off in a getaway car on Saturday night were clearly experienced in the use of high powered weaponry.

...

After the Real IRA bomb atrocity in Omagh the dissidents more or less went to ground.

But in the last three years the level of activity has gradually picked up, even though virtually all of their attacks ended in failure or were foiled.

The republicans suspected of orchestrating the violence are effectively under round the clock surveillance, especially one based in south Armagh and another in Fermanagh.

There was no advance intelligence of any threat at the Massereene Barracks, one of the lesser known military installations in Northern Ireland where the Engineers Regiment had been based since last summer.

http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/northernireland/4959722/Antrim-soldiers-shooting-Dead-soldiers-just-minutes-from-leaving-for-Afghanistan.html


ディシデンツの人数については、下記BBCでは全然数字が違う。
The actual number of dissident republicans is believed to be around 100. But our correspondent said they are believed to have a significant pool of expertise left over from the 1990s, while actively trying to recruit new members.

http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7931774.stm


別の記事にあったのだけど、攻撃された基地では、ピザの出前をよく取っていたそうで、その時間を狙ったということは、前もって調べていたということになる、と。そして軍・警察はそれに気付いていなかった。とすれば、これはディシデンツ監視のために特殊部隊SRRを投入したということが露見したことに対する、ディシデンツからの返事、ということかも。

RIRAの犯行声明の前の記事だけど重要なので:
Inevitably, there is much speculation about who is responsible for the Massereene Barracks murders. Is it the Real IRA, which has claimed responsibility, the Continuity IRA or Oglaigh na hEireann, the last comprised of experienced former Provisional IRA activists? But putting a label on the culprits has little point. They are essentially republicans who once operated alongside and in support of the Sinn Fein leadership but have broken with them in a dispute over tactics rather than ideology.

http://www.telegraph.co.uk/comment/columnists/philipjohnston/4958740/Its-not-that-the-Troubles-are-back--they-never-left.html


それから、SRRの監視対象の件。March 7, 2009だから襲撃事件前の記事。
Last week Sir Hugh Orde, the PSNI chief constable, said the threat posed by republican terrorists was at a "critical" level. He admitted requesting support from the Special Reconnaissance Regiment (SRR), a special forces unit, to gather intelligence on dissidents.

Among those whose movements are being monitored by the security services is Gary Donnelly, 38, a prominent republican from Londonderry, who has previously called on the RIRA and CIRA to join forces to oppose British rule in Northern Ireland. Donnelly is regarded as a key driving force in the revival of physical force republicanism.

The SRR, which conducts intrusive and long-range surveillance, has been given responsibility for monitoring other dissidents in Armagh, Fermanagh and Derry, including RIRA bomb-makers and CIRA explosives experts. The National Surveillance Unit (NSU), an elite garda unit, has also been deployed to the border region.

http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/ireland/article5864941.ece


Gary Donnellyは特に地下活動っぽい感じではない。2006年のレイセオンの「デコミッショニング」に参加していたり(なぜ32CSMのメンバーが反戦抗議行動に参加するのか、よくわかんないけど)、www.phoblacht.net (now defunkt) に寄稿していたりする、よく知られた人物だ。検索して出てくる32CSMのプレスリリースに名前が出てきたりもする。だからこそこういう記事に名前が出るのだろう。



追記:
AFP BBに記事。この写真が、襲撃現場の道路幅の感じとかがわかるかも。


あと、Sluggerにも書かれていたのだけど、「リアルIRAが犯行声明を出した」段階で、実際に銃撃を行なったのが彼らなのかどうかは現場検証とか科学捜査とかが終わらないと裏づけはないことなので、しばらくは慎重に。

それと、しつこいのですが、Real IRAは、いわゆる「IRA」(つまりProvisional IRA)の分派で、両者は組織としては別です。Real IRAの構成員は、昔はProvisional IRAにいたとしても。

なんかまた、「IRAってこわいんですね」的なコメントを見てしまったので、しつこいのですが、上記、一応書いておきます。(今後RIRAに言及する投稿ではこれをいちいち書くかもしれません。ちょっとうざいかもしれませんが。)

あと、Real IRAにはセントラル・コマンドが存在していないそうです。つまり地域ごと(か何かよくわかんないけど)の少人数の集団で意思決定などが可能です。そこが最も危険な部分ではないかと思います。この点は、もうひとつのProvisional IRAの分派、Continuity IRAにも共通しているようです。

※この記事は

2009年03月09日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

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