
そんななか、「ポーランド人の男」がアイルランド警察の手配の網をくぐりぬけ、アイルランド共和国各地で交通違反を重ねていた。スピード違反に違法駐車……ひとつひとつは大して重大ではないにせよ、神出鬼没状態でところかまわず、これはあまりに目に余る。しかも警察が現場を押さえた場合でも、その男は毎回違う住所を告げる。
というわけで、その男、Prawo Jazdyはいつまで経っても捕まらなかった。
というか、そもそも捕まるはずがなかったのだ。だってそれ、人間じゃないもの。
"Prawo Jazdy is actually the Polish for driving licence and not the first and surname on the licence," read a letter from June 2007 from an officer working within the Garda's traffic division.
"Having noticed this, I decided to check and see how many times officers have made this mistake.
"It is quite embarrassing to see that the system has created Prawo Jazdy as a person with over 50 identities."
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7899171.stm
つまり、アイルランド警察が「この男」として手配していたPrawo Jazdyというのは人名ではなく、ポーランド語で「運転免許証」という意味のフレーズだ。これに気付いたアイルランド警察交通部門の警官は、幾度この間違いが重ねられたかを調査し、50人以上が「Prawo Jazdy」という名前の人物だとされていたことを突き止めて、アホかと思った、という。
在アイルランドのポーランド人コミュニティでは「運転免許証」さんはカルトヒーロー化しているそうだ。
The mystery of Ireland's worst driver
Page last updated at 11:45 GMT, Thursday, 19 February 2009
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/7899171.stm
というわけで、いろんな意味でツボるoddly enoughニュースだが(ほら、アイルランド人のステレオタイプとかね)、「公用語」の文章でやらかしたウェールズの自治体当局(下記)と、「外国語」の非常に単純な一般名詞でやらかしたアイルランド共和国の警察と、頭の中で渾然一体となってじわじわくる。しかもアイルランド島の北東の片隅ではやれアイルランド語だのやれスコッツ・ゲーリックだのという話が「政治問題」として語られている。
2008年11月01日 「公用語」だからって「母語」じゃないという言語をめぐる悲喜劇
http://nofrills.seesaa.net/article/108902892.html
教訓:
辞書は大切。
http://www.poltran.com/
http://www.dict.pl/dict_iso
http://www.ectaco.co.uk/English-Polish-Dictionary/
http://www.lingvosoft.com/English-Polish-Dictionary
http://www.freelang.net/online/polish.php
なんか、レプラコーンについて調べてみたら名前をつけてくれるサイトがあったのでnofrillsを投げてみた。これからは「小さなキャベツの葉」とお呼びいただいてもかまわない。(確かに、小さいキャベツの葉はフリルがないかもしれない。結球するずーっと前の段階のもの。)
Your Leprechaun Name Is: Little Cabbageleaf |
![]() Top of the mornin' to ya, Patty! |
※この記事は
2009年02月22日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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