kafranbel-aug2011.jpgシリア緊急募金、およびそのための情報源
UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)
WFP (国連・世界食糧計画)
MSF (国境なき医師団)
認定NPO法人 難民支援協会

……ほか、sskjzさん作成の「まとめ」も参照

お読みください:
「なぜ、イスラム教徒は、イスラム過激派のテロを非難しないのか」という問いは、なぜ「差別」なのか。(2014年12月)

「陰謀論」と、「陰謀」について。そして人が死傷させられていることへのシニシズムについて。(2014年11月)

◆知らない人に気軽に話しかけることのできる場で、知らない人から話しかけられたときに応答することをやめました。また、知らない人から話しかけられているかもしれない場所をチェックすることもやめました。あなたの主張は、私を巻き込まずに、あなたがやってください。

【お知らせ】本ブログは、はてなブックマークの「ブ コメ一覧」とやらについては、こういう経緯で非表示にしています。(こういうエントリをアップしてあってもなお「ブ コメ非表示」についてうるさいので、ちょい目立つようにしておきますが、当方のことは「揉め事」に巻き込まないでください。また、言うまでもないことですが、当方がブ コメ一覧を非表示に設定することは、あなたの言論の自由をおかすものではありません。)

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2009年02月17日

英国、対テロ法 (the Counter Terrorism Act) セクション76発効。警官などの写真撮影に注意。

※記事タイトルは長くなりすぎるのもうざいので「英国」としましたが、正確には「イングランド&ウェールズ、および北アイルランド」です。スコットランドは立法が別だと思います。

'Photographing The Photographers' by sharkbait on flickr
* a CC photo by sharkbait on flickr

確かベルファストでの11月の英軍パレードのときに誰かの書いたことで「そういうことになってるのか」と思ったのだが、そのまま忘れていた……英国で「2008年対テロ法 (the Counter Terrorism Act 2008)」 の「セクション76」が、2月16日に発効した。上の写真は、スコットランドヤード前でそれに抗議する人たちを撮影した一枚(the National Union of Journalistの呼びかけで、300人が集まったとのこと)。

探すのがかなり大変だったのだが、この「セクション76」が議会で審議されていたのは2008年(秋に上院に行っている)で、途中で番号が「83」から「76」に変更されている(←リンク先でclauseとあるのはたぶんsectionの誤記)。あまり時間をかけられないので細かくは確認できていないのだが、例の「42日間拘置」の審議(2008年6月:結局これは廃案となったが)のときにこの「セクション83 (後の76)」も入っていたのかもしれない。(ブレア政権で拘置期間を延長した時に、最初は「90日間」とかいうストローマンを立て、それにあえて反対させることで、現行の「28日間」を通した、ということを思い出させられる。英国のテロ法、対テロ法の立法の過程はかなり無茶が通っている。)

「この法律によって可能となること」という観点で思いっきり単純化して説明すると、「対テロ法、セクション76」は、警官や軍人、情報機関職員の写真が撮影され、その写真がテロリズムの目的で使用される可能性がある場合、その撮影者を違法行為に問うことができる(罰金または禁錮刑)、というものだ。

まず、検索して見つかった、the British Journal of Photographyという媒体の1月下旬の記事から。(ほかの記事はエントリ末尾に。)

news 28 January 2009
Jail for photographing police?
http://www.bjp-online.com/public/showPage.html?page=836675

Set to become law on 16 February, the Counter-Terrorism Act 2008 amends the Terrorism Act 2000 regarding offences relating to information about members of armed forces, a member of the intelligence services, or a police officer.
2月16日に発効する2008年対テロ法は、軍や情報機関のメンバー、また警察官の情報に関連する違法行為について、2000年テロ法を修正するものである。

The new set of rules, under section 76 of the 2008 Act and section 58A of the 2000 Act, will target anyone who 'elicits or attempts to elicit information about (members of armed forces) ... which is of a kind likely to be useful to a person committing or preparing an act of terrorism'.
2008年(対テロ)法のセクション76と、2000年(テロ)法のセクション58Aのもとでの新たな法規定は、「テロ行為を行なう者、またその準備をしている者にとって利用価値がありそうな形で、(軍のメンバー……)についての情報を引き出す者、また引き出そうとする者」すべてに適用される。

A person found guilty of this offence could be liable to imprisonment for up to 10 years, and to a fine.
この点で違法行為をはたらいたと立証された者は、最高で10年の禁固刑、また罰金刑に処せられる可能性がある。

The law is expected to increase the anti-terrorism powers used today by police officers to stop photographers, including press photographers, from taking pictures in public places. 'Who is to say that police officers won't abuse these powers,' asks freelance photographer Justin Tallis, who was threatened by an officer last week.
この法律は、現在警察によって行使されている対テロの権限――報道機関のカメラマンを含め、カメラマンが公共の場所で写真を撮影するのを阻止する権限――を増大させることになると思われる。「こういった権限を警察官が濫用することはないと断言できる人などいますか」と、フリー・カメラマンのジャスティン・タリスは言う。彼は先週、警官によって(そんなことをすれば違法行為になると)おどかされた。


実際に、何かの機会で写真を撮影していて警官から「ちょっと撮影やめて。あーたどこの人、ここで何してんの」といった感じで職質(stop-and-search)を受け、写真撮影を阻止されたとかいった体験談は、いくつかの機会に報告されているのを私も読んだことはある。北アイルランドだけではなく、イングランドでも。

上記のthe British Journal of Photographyの記事には、次のような事例が報告されている。
In December, freelance press photographer Jess Hurd was detained for more than 45 minutes after she was stopped while covering the wedding of a couple married in Docklands.
12月、フリーランスの報道写真家のジェス・ハードさんが、(ロンドンの)ドックランズでの結婚式を撮影しているときに警官に止められ、45分以上にわたって身柄を拘束された。

She was detained under section 44 of the Terrorism Act. Her camera was forcefully removed from her, and while she showed her press card, three police officers insisted on viewing the footage she had taken.
ハードさんはテロ法のセクション44を法的根拠として法則された。カメラは強制的に取り上げられ、ハードさんはプレスカードを示したが、3人の警官が撮影した写真を見せなさいと言った。


この件について、記事にはこの後で警官が同誌に対し、「プレスカードを持っているからといって、テロ法セクション44に基づいて止められることはない、ということにはなりません。その警官が写真撮影者の行動が不審だと考えた場合、特に慎重さが要求される場所での場合は、撮影者の身柄を拘束し尋問する権利を有しています」と説明していることが書かれている。

ドックランズについては、説明不要だと思うけれども、一応ウィキペディアのURLを。簡単に説明すると、80年代以降大掛かりな再開発が行なわれ、経済的に非常に重要な地域となったロンドン東部の一帯のことだ。
http://en.wikipedia.org/wiki/London_Docklands

ドックランズは過去に「テロリスト」の標的となったことがある。1996年2月9日午後7時にはIRAのカーボムがSouth Quayで爆発(これはただの「IRAの爆弾」ではなく、1994年の停戦の破棄の宣言でもあったという点で特に重要な事件だが)、店の様子を確認していたニューズエイジェントのオーナーと従業員の2人が死亡、約40人が負傷した。最終的な経済損失は£150mと言われている。

閑話休題。まずは16日に発効したセクション76の条文を見ておこう。

http://www.opsi.gov.uk/acts/acts2008/ukpga_20080028_en_9
76
Offences relating to information about members of armed forces etc


(1) After section 58 of the Terrorism Act 2000 (collection of information) insert―
"58A
Eliciting, publishing or communicating information about members of armed forces etc


(1) A person commits an offence who―
  (a) elicits or attempts to elicit information about an individual who is or has been―
    (i) a member of Her Majesty’s forces,
    (ii) a member of any of the intelligence services, or
    (iii) a constable,
   which is of a kind likely to be useful to a person committing or preparing an act of terrorism, or
  (b) publishes or communicates any such information.

(2) It is a defence for a person charged with an offence under this section to prove that they had a reasonable excuse for their action.

(3) A person guilty of an offence under this section is liable―
  (a) on conviction on indictment, to imprisonment for a term not exceeding 10 years or to a fine, or to both;
  (b) on summary conviction―
    (i) in England and Wales or Scotland, to imprisonment for a term not exceeding 12 months or to a fine not exceeding the statutory maximum, or to both;
    (ii) in Northern Ireland, to imprisonment for a term not exceeding 6 months or to a fine not exceeding the statutory maximum, or to both.

(4) In this section "the intelligence services" means the Security Service, the Secret Intelligence Service and GCHQ (within the meaning of section 3 of the Intelligence Services Act 1994 (c. 13)).

(5) Schedule 8A to this Act contains supplementary provisions relating to the offence under this section.".

……以下略


少し読みづらいと思うが、こういうことだ。(以下、「説明」のための日本語であって「翻訳」ではありません。つまり法律用語的に厳密にやっていません。)

76
軍隊等の職員に関する情報にかかわる違法行為


(1) 2000年テロ法のセクション58(情報収集)の直後に、以下を挿入する。

「58A
軍隊等の職員に関する情報の収集、公表、伝達


(1) 以下の行為をおこなった者は違法行為をはたらくこととなる。
  (a) テロ行為を行なう者、またその準備をしている者にとって利用価値がありそうな形で、(i) 軍の職員および元職員、(ii) 情報機関の職員および元職員、(iii) 警察官および元警察官である個人についての情報を引き出す、もしくは引き出そうとすること
  (b) そのような情報を公表もしくは伝達すること

(2) このセクションに基づき違法行為を働いたとして起訴された場合、自分の行動は合理的な理由あってのものだと立証するのは起訴された側の責任となる

※以下、ほんとに概略のみ。

(3) 起訴されて有罪となった場合は禁錮刑(最大で10年)および/または罰金刑に処する
即決裁判の場合は、イングランド&ウェールズでは禁錮刑(最大で12ヶ月)および/または法定上限内の罰金刑、北アイルランドでは禁錮刑(最大で6ヶ月)および/または法定上限内の罰金刑に処する

(4) なおこのセクションでいう「情報機関」とは、Security Service (つまり「MI5」のこと)、Secret Intelligence Service (つまり「MI6」のこと)、およびGCHQのことである

(5) この法律のSchedule 8Aに、このセクションでの違法行為に関する附則がある」


(5)にある附則は、ざっと見たところ、ネット上で細かいことについての話(英国外でホスティングされている場合、など)なので飛ばしてもOKだろう。

この条文を、あくまでも「可能性」ということで読むと、やや「煽り」めいたことを書くけれども、観光客がバッキンガム宮殿で衛兵交代を撮影したとき、その撮影に「合理的な(誰もが納得するような)理由」があると警官が認めない場合は(衛兵交代を撮影することに合理的な理由はないなどという警官はいないだろうけれども、それはさておき)、その観光客は起訴される可能性がある、ということになる。そしてそのときに起訴された側が「自分はイノセントな観光客です」と立証しなければならない(起訴した側が「被告はイノセントではない」と立証しなければならないわけではない、というふうにこの条文は読めるのだが……何がrule of lawだよと悪態のひとつもつきたくなるが)。

あるいはサッカーの試合を観戦に行ったときに騎馬警官が出動していた、これは珍しいからと写真を撮影したときに警官に止められたら、それが「珍しい」から撮影したのだということを言葉で説明して相手を納得させられない場合は、違法行為に問われ起訴される可能性がある。(「日本では馬に乗ったおまわりさんはいないんですぅ」と説明したら「ああそうなんですか」という展開になればいいのだけど、「馬に乗ったおまわりさんがいないということを証明せよ」という展開になることも、考えられないわけではない。)

つまり、条文を普通に読む限り――私は法律の専門家でも何でもないからそこは割り引いてもらいたいのだが(実際には英国の警察が法律を熟知しているかどうかというのもいろいろと微妙だったりするが)――、イミグレで「女王陛下の代理」(<英国の場合、「国家権力」はこれである)に納得してもらい、入国を許可していただくのと同じようなことが、ロンドンの街角での写真撮影にもついて回る、ということになってるのではないかと思う。

イミグレで苦労したことがある人なら具体的にわかると思うが、こちらに何も後ろ暗いところがなくても相手が「お前は怪しい」という前提の場合は、時として非常に厄介なことになりうる。特にその「相手の説得」に言葉が――英語が――不可欠な場合、ちょっとした単語の選び方のミス(「ガムを噛む」の「噛む」をbiteと言ってしまう、とかいうような類の)で沼にはまったようなことになる場合もある。単に第二言語でしゃべっているときに電池が切れて急に言葉がうまく出なくなるという現象が、「言いよどんでいる」とか「何かをごまかそうとしている」と解釈されることもある。

それに、「怪しい」とか「不審だ」の根拠が個人に任されている場合は、何によってそう思われるかがまったくわからない。「日本人だから」といって、それだけで常に「ただの観光客」だと思われるという保証はない。

実際に街中でそのへんを撮影していて止められた、というケースは非常に多く報告されている。例えば、この新しい法律について検索して出てきたブログ(後述)に、次のビデオクリップが紹介されていた。6分ほど。(テレビ番組の「視聴者が作ったビデオ・レポート」のコーナーのようだ。)

'Authority' paranoia over photography in London
http://www.youtube.com/watch?v=RKl2sEN4yNM

2008年3月の投稿だから、ビデオの内容は2007年後半か2008年初めのものだろうか。ロンドン中心部(ピカデリーか?)で雑踏をビデオカメラで撮影している人に、「POLICE」の文字の入った蛍光イエローのジャンパーを来た男性がつかつかと歩み寄り、いきなり「撮影をやめなさい、撮影の理由を言いなさい」と言い、カメラのレンズを手で押さえる。

サイドバーにある説明によると、この「POLICE」のジャンパーの人は厳密には「警官」ではない。Police Community Support Officer (PCSO) だ。この "Community Support" という表現もかなりnewspeakめいているのだが、PCSOは2002年に新法で導入された職で、YouTubeサイドバーの説明によると、その導入には「警官っぽい姿」があればanti-social behaviour(迷惑行為、とでもいうべきか)が抑制できる、という理由が与えられていたそうだ。(その議論があったことは私も記憶しているので、BBCあたりで探せばもっと確実な話が見つかると思うけど、今はサボる。)

ビデオのことに話を戻す。

このPSCOの人は、風貌が東アジア系で英語に少しくせがあり、周囲の雑音と紛れて聞き取りづらいのだが、レンズを手で押さえられた撮影者が「暴力をふるうんですか」と抗議すると手をひっこめて「撮影の理由を説明しなさい」と、「アグレッシヴ」と言いたくなる勢いで迫る。彼とペアを組んでいる白人のPSCOも同じことを撮影者に質問しているようだ(ほとんど聞こえないけど)。ロンドン中心部でのこの「騒動」を、通行人の何人かが立ち止まって見ているけれど、ほとんどはただ歩いてゆくだけだ。

ここまででだいたい40秒。このあと、National Union of Journalists (NUJ) のジョン・ターナーさん(と聞こえる)のコメントで、この人が北アイルランドかスコットランドのアクセントなので聞き取りづらいが、「公共の場所での撮影を制限する法律はない」と述べる。

ここで先ほどの「PSCOによる撮影阻止」の画面が挿入され、雑踏の撮影者が「法的には撮影の制限はない」と主張、東アジア系のPSCOとちょっと言い合いになっている。撮影者が「なぜ阻止されるのか」と尋ね、PSCOが「不審な行動だ」と言い、撮影者が「どこが不審だというのか、どのような法的根拠があって撮影を阻止するのか」と尋ね、PSCOが……よく聞き取れないです、すみません。「観光客でもないのに」と言っているのだけははっきりわかる。

そして撮影者が「ここは自由な国でしょう At least this is a free country」と言ったところで画面が切り替わり、サイモン・テイラーさんという人が首相官邸サイトの「署名」のコーナー(<というものが英国にはある)で、「公共の場所での撮影を制限・禁止することに反対する」という主旨の署名を始めた、という話題に移る。

サイモンさんの署名は多くの人たちの関心を集め、ネット上で急速に広まって67000人ほどが署名した。サイモンさんのもとには意見を求めるメールや相談のメールも寄せられるなどしている……。(ちなみに、サイモンさんは極めて聞き取りやすいコックニー。)

3:55あたりでまたさっきのPSCOの映像が出てきて、ここで撮影者が「法的に云々」と食い下がるのに対し、このPSCOが "Shut up" と吐き捨てるように言っているのが、ははは、もう笑うことでしか反応ができない。そのあとは街のいたるところに設置されているCCTVの話で、本気で笑ってしまったのが、2005年7月21日の地下鉄爆破未遂事件のときに警察は「情報提供求む、CCTVに撮影されていたこの人物を偶然撮影していた方はいらっしゃいませんか」みたいなことをやっていた、ということ。

いくらイギリスでも、そこまでモンティ・パイソン化しなくってもいいんだよ。みつを

YouTubeの関連ビデオを少し見ていたらこんなのもあった。自分で撮影した映像をYouTubeに投稿しているダレン・ポラードさんの2007年8月の投稿。(なお、ダレンさんは、たぶんブラミーだと思うけど、「ア」音が「オ」音になって「エイ」が「アイ」に傾くアクセントなので、ちょっと聞きとりづらいかも。)

The Police - Your Freindly Guides
http://www.youtube.com/watch?v=VfQrDK9YHas

自宅前に警官がいるので自宅の敷地内からズームで撮影していたら警官がやってきて、云々、という5分弱のビデオ。この時点ではこのようにして「警官を撮影すること」自体には法的制限もなかったようで、ダレンさんのレクチャーの前に、警官たちは黙って立ち去っているが、2月16日からはこれはど真ん中で「違法行為」になるのだろうか。

とはいえ、このエントリの上のほうで触れたジェス・ハードさん(ドックランズで結婚式を撮影していて職質されたカメラマン)の事例に出てきたように、「セクション76」の前にも既に「テロ法のセクション44」によって、警官は「不審な」写真撮影者を呼び止めるなどする権限を有していた。

これについては昨年4月にBBCのMagazineのコーナーに記載されている。これは「対テロ」と「児童ポルノ」の2点から、街に出て写真を撮影するということが潜在的に「怪しまれる」行為になってきているという現状についての読み物記事で、具体例として、2007年12月にクリスマス・ツリーの点灯式に芸能人が来たときに写真撮影を止められた人や、運河を撮影していて止められた国会議員(趣味は写真)のことが書かれている。

Innocent photographer or terrorist?
Page last updated at 16:45 GMT, Thursday, 17 April 2008 17:45 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/magazine/7351252.stm

法的根拠についての部分。
There are also restrictions around some public buildings, like those involved in national defence.
また、国家防衛関連の施設のような公共の建物の周囲での撮影は制限されている。

And under Section 44 of the Terrorism Act 2000, police officers may randomly stop someone without reasonable suspicion, providing the area has been designated a likely target for an attack.
そして、2000年テロ法のセクション44で、警察官は合理的な疑いがない場合でも、それが攻撃の標的になる可能性がある地域であれば、ランダムに人を呼び止めることができる。


この記事の下の方にある読者の投稿は、一度目を通しておくといいかもしれない。ロンドンで観光名所となっている建物を撮影していていぶかしがられた、といった体験談も読める。「まるで冷戦時代の共産圏」といった意見もあるし、「携帯電話のカメラとかある時代に、どっからどう見てもカメラという目立つ機材なら職質とか、ナンセンスすぎ」という意見もあり……。

で、この「2000年テロ法、セクション44」と、「2008年対テロ法、セクション76」とがどう違うのか、というのは両方の条文を見るのが一番確実だろうが、私はまだそこまでは見ていない(「テロ法Section 44」を見ていない)。(→と思ったら、両方の条文をポストしてくれているブログがあった。嬉しい。)

さて、「2008年対テロ法、セクション76」についてウェブ検索したら、下記のブログが見つかった。少し上のほうでリンクをはった「ロンドンの中心部で雑踏を撮影していてPCSOに阻止された」というビデオは、このブログで紹介されていたものだ。

15 February 2009
Section 76 Of The Counter-Terrorism Act 2008
http://daniel1979blog.blogspot.com/2009/02/section-76-of-counter-terrorism-act.html

「セクション76」が発効したら、警官または元警官、軍や情報機関の職員の写真を撮影している者は誰であれ、起訴され、および/または罰金刑を科される可能性があり、同法において警官は、警官らを撮影している人から撮影機材を取り上げることができる、といったようにこの法律のことを説明したあとで、ブログ主のDaniel1979さんは、「自分が子供のころは、ソ連や東ドイツではカメラは禁止されていると教わった」と書き、セクション76の発効する日を「労働党の全体主義国家がまた大きく一歩進む (We take a big step further into Labour's totalitarian state)」日である、と述べている。

その後は、私にはやや「煽り」と感じられる記述が続いているが、記述はどうであれ書かれていることがまったくの的外れだとは思えない。法律っていうのは、具体的に何に適用されるのかが完全に把握できるわけではない。最近も、金融危機で無茶苦茶になったアイスランドの銀行について、その英国内の資産を押さえるために英国政府がthe Anti-terrorism, Crime and Security Act 2001を持ってきた、というケースがあったばかりだ。

で、こういう法律ができても、浅知恵的には、止められたら写真が仕事だという説明をすれば大丈夫なのではないかとか思うかもしれないが、実際にはそういうふうには運んでいない。上のほうに書いたように、結婚式の撮影の仕事をしていた人まで「不審」と思われたという実例もある。そして、エントリの冒頭で「NUJの呼びかけでの抗議行動」の写真をflickrのsharkbaitさんのページから借りてきたが、16日に発効した法律についてNUJ(とBritish Press Photographers' Association: 英報道写真家連盟)が大きな危機感を抱いて大掛かりな抗議行動を呼びかけているのは、プロの写真家であっても「怪しい」としてstop-and-searchされているという現実があるからだ。

Photographers fear they are target of new terror law
Jo Adetunji
The Guardian, Thursday 12 February 2009
http://www.guardian.co.uk/media/2009/feb/12/photographers-anti-terror-laws
Marc Vallee, a photojournalist who specialises in covering protests, said photographers were frequently harassed by police using stop and search powers under section 44 of the Terrorism Act 2000. The new powers would be too vague to prevent abuse.
抗議行動を専門とするフォトジャーナリストのマーク・ヴァレーは、警察が2000年テロ法のセクション44を根拠にストップ&サーチをおこなうので、フォトグラファーは頻繁に邪魔されていると語る。今回の新法は、乱用を防ぐためにはあまりに曖昧すぎる(と彼は言う)。

He said: "They will now be able to arrest you if a photograph could potentially incite or provoke disorder. But isn't that any protest?"
「写真が潜在的に秩序の壊乱を引き起こす可能性があるものとなれば、逮捕することも可能になります。しかし、抗議行動というものは秩序を乱すものではないですか」

Justin Tallis, a freelance, said although legislation did not necessarily mention photographers, they were often targeted. "I moved to London six months ago and it's already happened to me two or three times."
フリーランスのジャスティン・タリスは、法律にはフォトグラファーと明記されているわけではないにせよ、頻繁に標的にされていると語る。「6ヶ月前にロンドンに引っ越してきましたが、2度か3度はそういう目にあっています」

...

Val Swain, a member of Fitwatch, a collective which photographs police intelligence teams taking pictures of protesters, said: "I took a picture of an officer on my camera phone and he walked over and said, 'you are going to delete that'. We're in a public place, he's in a public role and he knew that. They've been gearing up for it but so far they've stopped short of arresting people. Now they will have the power to do it."
抗議行動参加者の写真を撮影している警察情報部のチームを撮影しているFitwatchのメンバーであるヴァル・スウェインは、「携帯電話のカメラで警官を撮影したらこっちにきて、『その写真を消しなさい』といわれました。私たちは公共の場所にいて、彼は公務中で、しかもそれを知っていた。警察は装備は準備していましたが、それでも逮捕まではしていませんでした。でも(新法の発効で)その権限ができた、ということですよね」と語る。


この記事に出ているマーク・ヴァレーさんの記事:
Documenting dissent is under attack
Thursday 12 February 2009 11.30 GMT
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/feb/11/police-terrorism-photography-liberty-central
Terror legislation has been increasingly used by this government, and sometimes brutally enforced by the police, to criminalise not only those who protest but also those who dare to give the oxygen of publicity to such dissent.


Oxygen of publicity(宣伝という酸素)というのは、マーガレット・サッチャーのサウンドバイトだ。(IRAおよびシン・フェインのメンバーの声を放送禁止にしたときのもの。)ここでこういう書き方をしているのはマーウ・ヴァレーさんの主張なのだけど(詳細は全文をご参照のほど)、報道関係者にはそういう側面がもつ意味がとても大きいということは把握した上で、これは問題の矮小化(あるいは報道関係でない者の立場からいえば「他人事化」というか)の危険性がある、と私は思う。

別の例として、こんなことが報告されている――ロンドン南部のエレファント&カッスルで、街を写真に撮ったりスケッチしたりしてきた芸術家が、対テロ法で警察に尋問されたりしている、と。そういうときに、「この法律はポリティカル・ディセントを押さえ込む」ということは、それ自体小さな問題ではないにせよ、ひとつの側面ということじゃないかと。
http://arbroath.blogspot.com/2009/01/photographers-criminalised-as-police.html

脅かされているのは「市民的自由」そのものだ。

で、この件についてウェブ検索してみて、内務省および労働党が主張する「警官とかの写真が撮影される→テロリストが利用する」っていうのもひどいパラノイアなのだが、「こういう無茶苦茶な法律ができる→検閲される」っていうパラノイアがあるらしいということも何となく伝わってきた。とりあえずはここまで。



記事:
Photographers angry at terror law
Page last updated at 15:04 GMT, Monday, 16 February 2009
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/7892273.stm

Is it a crime to take pictures?
By Victoria Bone
BBC News
Page last updated at 10:16 GMT, Monday, 16 February 2009
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/7888301.stm

New law making it an offence to photograph a policeman should worry us all
Posted By: Kate Day at Feb 16, 2009 at 17:46:00
http://blogs.telegraph.co.uk/kate_day/blog/2009/02/16/new_law_making_it_an_offence_to_photograph_a_policeman_should_worry_us_all

Police protest over terror law ban on holiday snaps
Justin Davenport
16.02.09
http://www.thisislondon.co.uk/standard/article-23643922-details/Police+protest+over+terror+law+ban+on+holiday+snaps/article.do
Tourists could face prosecution for taking holiday snaps of London's sights, police said today.

The Metropolitan Police Federation has joined a protest against an anti-terror law making it a potential offence to photograph police guarding London's landmarks.

...

Peter Smyth, chairman of the federation, said: "This is open to wide interpretation or, rather, misinterpretation.

"How, for example, will it be expected to apply in practice to the 2012 Olympics, which will be both a photo-event par excellence and subject to an intense security operation?

"Are going to be rounded up and arrested en masse for taking suspicious photos?"


あー……あの、警察が反対してるって、ええと。(^^;)

Police warning on anti-terror law
Monday 16th February 2009 at 00:00
http://www.epolitix.com/latestnews/article-detail/newsarticle/police-warning-on-anti-terror-law/
The Metropolitan Police Federation has warned that anti-terrorist legislation could prove unworkable and undermine public perceptions of the police.

In a statement released on Monday, the organisaion warned that "poorly-drafted" laws could also hit tourism and the 2012 Olympics. ...

※この記事は

2009年02月17日

にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。


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【2003年に翻訳した文章】The Nuclear Love Affair 核との火遊び
2003年8月14日、John Pilger|ジョン・ピルジャー

私が初めて広島を訪れたのは,原爆投下の22年後のことだった。街はすっかり再建され,ガラス張りの建築物や環状道路が作られていたが,爪痕を見つけることは難しくはなかった。爆弾が炸裂した地点から1マイルも離れていない河原では,泥の中に掘っ立て小屋が建てられ,生気のない人の影がごみの山をあさっていた。現在,こんな日本の姿を想像できる人はほとんどいないだろう。

彼らは生き残った人々だった。ほとんどが病気で貧しく職もなく,社会から追放されていた。「原子病」の恐怖はとても大きかったので,人々は名前を変え,多くは住居を変えた。病人たちは混雑した国立病院で治療を受けた。米国人が作って経営する近代的な原爆病院が松の木に囲まれ市街地を見下ろす場所にあったが,そこではわずかな患者を「研究」目的で受け入れるだけだった。

……全文を読む
▼当ブログで参照・言及するなどした書籍・映画などから▼