先日は、路上に倒れている民間人を救出するために救急車から出た救急隊員が狙撃されました。現場にいたカナダ人支援ワーカーの状況の説明と、その瞬間の映像が下記に(「パレスチナ情報センター」さん。翻訳は山田和子さん)。
http://palestine-heiwa.org/news/200901140326.htm
……医療スタッフのハサン・アル・アタルとジャマルが救急車(101救急車とはっきりと記されている)を降りて、道の真ん中に横たわっている遺体に向かっていった。ふたりともパレスチナ赤新月社(PRCS)のユニフォームを着ている。ハサンは蛍光帯のついた明るい赤、ジャマルは同じく蛍光帯のついた明るいオレンジ色と白のベストだ。ゆっくりと近づいていくふたりの手には、遺体を運ぶストレッチャー以外には何もない。アルセがその様子をヴィデオに収める。ハサンとジャマルが死んだ男性を抱え上げ、ストレッチャーに載せ、救急車に戻りはじめる。突然、アルセがまだ撮影を続けている時に、銃撃が起こった。明らかにスナイパーの銃撃だ。マシンガンではない。ハサンとジャマルは、信じがたいことに、それでもなお遺体を運びつづけようとし、死んだ男性を載せたストレッチャーごと走った。でも、とうとう、自分たちの命を守るためにストレッチャーから手を放さざるをえなくなった。
時間は午後1時半ころ。イスラエル自身が宣言した「時間限定停戦」の最初の日に、スナイパーが医療スタッフを狙い撃っている。……
14日の毎日新聞では、「3時間の時間限定停戦」なるものが、そんな短い時間でさえ、現に血を流している負傷者にとっては「人道的」でも何でもありはしないということを示す事例が伝えられています。
ガザ 救えぬ命 けが人路上に放置 検問で救急車足止め
1月14日13時58分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090114-00000015-maip-int
……ワレさんのようにエジプトへ搬送された子供は多くない。救急隊に加わったエジプト人医師、ハッサム・アテフさん(40)は「子供たちの多くは、搬送に耐えられず途中で死亡するリスクが高いと判断され、対象から外さざるをえなかった」と話す。爆撃で破壊された道路を走るため振動が激しく、イスラエル軍の検問で長時間止められる危険性があるからだ。
救急隊は、人道支援搬入のためにイスラエル軍が攻撃を停止する1日3時間の時間帯を使ってガザ地区に入った。それでも途中、イスラエル軍の検問で約30分間足止めされたため、ガザ市とジャバリヤ難民キャンプの計2カ所の病院で負傷者を乗せ、帰路に就く直前に停戦時間が終わってしまった。このため、救急隊は爆弾が落ちてくる中をエジプト側へ戻ることになった。
アテフさんによると、帰路の途中、路上に放置されている負傷者を何人も見かけたが、車を止める余裕すらなかった。……
こういった点について、「まとめ」的な13日ガーディアン記事。クリス・マクグリールがエルサレムから書いています。
Demands grow for Gaza war crimes investigation
Chris McGreal in Jerusalem
The Guardian, Tuesday 13 January 2009
http://www.guardian.co.uk/world/2009/jan/13/gaza-israel-war-crimes
住宅区域への「見境なく無差別の」砲撃・爆撃が行なわれていることや、イスラエル軍兵士がパレスチナ人の家族を人間の盾として利用しているとの疑惑をめぐり、イスラエルに対し、国連の上級職員や人権団体から、ガザでの国際的な戦争犯罪調査を行なうべきだとの声がますます高まっている。
イスラエルのガザ地区に対する17日間の攻撃で、死者数は900を超え、避難民センターになっていた国連学校への砲撃(40人が死亡)といった個別の事例について、またイスラエルによって使われている軍事的戦術が体系的に人道法を犯しているとの疑問について、独立した調査・審問(インクワイアリー)を求めるプレッシャーが増大している。
国連の上級人権組織【注:UNHCRのこと】は昨日、イスラエルの攻撃について「甚大な人権侵害」と非難する決議を採択した【→参照。1月12日報道】。ある国連上級筋は、同組織の人道局は戦争犯罪の証拠をまとめており、その証拠は適切と考えられる「最高レベル」に提出する、と述べた。【注:すみませんが、この部分の日本語訳は「厳密な日本語訳」とは程遠いです。英文が切り貼り状態なので難しすぎて厳密な訳は今はちょっと無理。】
一般市民にどのような犠牲が出ようとも、軍の死傷者を低く抑えるべしという命令をイスラエル指導部が出していると主張する人権団体もある。彼らの話では、その戦略こそがパレスチナの領域に対するイスラエルの攻撃で最も犠牲の多いもののひとつに直接寄与しているのだという。
駐ガザ国連パレスチナ難民機関【注:UNRWAのこと。どうして機関名で書いてくれないのかなあ、英メディアは】のトップであるJohn Gingは、「使用される武力の妥当性、使用される武力の釣り合いの問題、そして一般市民への注意義務 (duty of care) という問題についてのアカウンタビリティが問われている」と述べた。
「判断を下す大合唱に加わろうというのではなく、国際法に違反する行為があったのではないかという懸念がある事例については一つ残らずすべて、調査があってしかるべきである」
イスラエル軍は下記の件で非難されている:
- 軍が、そうすれば事態に関係のない人々を多く殺傷するだろうということを知っていながら、民間の地域で強力な砲弾を使用すること
- 白燐弾のような禁止されている兵器を使うこと
- パレスチナ人の(一般の)家族を人間の盾とすること
- 医療機関を攻撃すること。例えば、医療機関の印をつけた車両に乗った救急隊員12人を殺したことなど。
- 軍事的な役割は一切担っていない警察官を大量に殺したこと
イスラエル軍の行動は、国際赤十字から異例の公然たる非難を呼んだ。軍がパレスチナ人の家族をある建物に移動させておいて、そこを砲撃し、30人が死亡した件である。生き残っていた子供たちは、4日間にわたって母親の死体にすがりついていたが、それは軍がブロックしていたので救急隊が負傷者のところに行けなかったからだ。
(以下略)
マクグリールの記事はかなり長く、このあとでHRW、AIといった国際的な人権組織や、イスラエルの人権組織(B'Tselem)のコメントが多く紹介されています。
特にイスラエルでは、B'Tselemともうひとつの有名な組織が最高裁判所に対しこれらの事例の調査を求めるレターを出したそうです。
AIは居住区域への砲撃・爆撃の映像について、prima facie evidence of war crimes(戦争犯罪の明々白々たる証拠)と述べ、人口密集地で使うなど論外の兵器が使われていることを非難しています。
また、AIは、これまで何度も行なわれてきたように、イスラエル軍がパレスチナ人の家族を自宅の1階に閉じ込めて、ほかの階を軍拠点として利用するという形で一般市民を「人間の盾」として利用している証拠も集まっていると述べています。
ただし、マクグリールのこの記事は、こういった戦争犯罪についての調査が実現するかどうかという点については、非常に悲観的です。国連安保理が戦争犯罪調査や戦争犯罪法廷を決議しようにも、米国は必ず拒否権を発動するし(ICCに対する態度を見てもそれは確実です。政権が変わろうとも)、おそらく英国も拒否権を発動するだろうと。
一方でイスラエル軍は「国際法は犯していない」の一点張りです。そのくらいに分厚いツラの皮があれば、なんだってできると思えるほどです。
驚きはしませんが、呆れるし、怒りを覚えます。
タグ:2008年12月ガザ攻撃
※この記事は
2009年01月14日
にアップロードしました。
1年も経ったころには、書いた本人の記憶から消えているかもしれません。
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